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女房様とお呼びっ!
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2002年06月25日(火) メディカル・パーティー #1

時刻は深夜零時。雑踏を僅かに避けて建つこのビルは、怖じける程の静寂に沈む。
エントランスの冷たい灯りをくぐり、エレベータに乗り込む。運転音だけが響く。
扉が開いた途端、流れ込むクレゾール臭。場に似つかわしくない空気感に戸惑う。
清潔を装う匂いの中、指定された部屋を探す。表札のない扉の数字だけが頼りだ。

最初に訪れた部屋で、支度を整える。既に着替え始めた女達の嬌声がかしましい。
黒い普段着を脱ぎ捨てて、純白のコスチュームを纏う。長い髪をひっつめに結う。
その特徴的な帽子を頂に乗せた瞬間、見知った女達の顔が、別人のそれに変わる。
いや寧ろ、そのナリのせいで、いつか会った誰かのような錯覚を覚えてしまった。

女たちの劇的な変貌に舌を巻きながら、私もまた、非日常への身支度を始める。
下着は、いつもの黒を敢えて選ばない。肌に馴染む淡いオレンジ。新鮮な気分だ。
白い網タイツで奇をてらう。だって、手持ちの白い靴はまるで清楚じゃないから。
スリップはつけず、そのまま白衣を羽織る。胸に名札を、首から聴診器を下げる。

・・・・・。

次に訪れた部屋には、診察を待ち望む男たちが早々と集う。鬱陶しい位の熱気だ。
期待と不安が彼らの口をつぐませて、エナジーだけが静かに沸々とたぎっている。
そして、受付で渡された問診票を食い入る様に眺めては、慎重にペンを走らせる。
彼らの間を縫って、看護婦達が診療の準備に勤しむ。ナースシューズの音が響く。

宴は粛々と進む。各々が各々の役割になりきって、余計なお喋りをしないせいだ。
皆の仕事の邪魔にならぬよう、所在なく他の部屋を見て回る。ドア越しに2部屋。
そこは、本来なら照明を落とし、阿鼻叫喚のプレイが繰り広げられている場所だ。
しかし、今宵は隅々まで明るい光が満ち、真っ白なパーテーションが目に眩しい。

二畳ほどずつに区切られた白い小部屋にはそれぞれ、それらしい器具が配されて、
業病に冒された男たちを待ち受ける。彼らはここで、相応の検査を受ける予定だ。
その後彼らが向かうもう一部屋は、更に大まかに区切られて、ベッドまである(!
傍らのワゴンには治療にふさわしい道具が並べられ、禍々しい風景を作っている。

・・・・・。

「服を脱いでお待ち下さい」受付のナースが声を放った途端、場がざわめき始めた。
こそこそと、だが皆が一斉に脱衣するさまは、まるで捕虜の強制収容所みたいだ。
きびきびと統率するナースの声に促されて、彼らは行儀良く並ぶ。手には問診票。
行列の先、白い仕切の向こうから名を呼ばれるのを待つ。無言で色めく裸体たち。

その光景を見届けて、私は仕切の内側へ。いかめしい机の脇、パイプ椅子に座る。
肘掛けのついた尊大な椅子では、お医者様が脚を組む。妖しい黒のストッキング。
私達は、互いの嘘臭い恰好に笑いをかみ殺しながら、しかつめらしく息を整える。
そして咳払いひとつ。それを合図に、係りのナースが患者を呼ぶ。さぁ始めよう。

一人目の患者がおずおずと仕切をくぐり、促されて、ちょこんと丸椅子にとまる。
「どうされました?」いつもは患者側で聞く台詞をなぞる医者。肩が笑っている。
かたや患者は、緊張のあまり表情をなくし、問診票を持つ手だけが異様に震える。
カルテを用意しながら、私も可笑しくて仕方ない。三者三様に悶絶する狭い空間。

・・・・・。

けど、笑っちゃいけない。これは、オトナの大真面目なお医者さんごっこなのダ。
そう、今宵の女たちはエセ医者やエセナースになりきって、お病気を治すのよっ!
マゾという不治の病を患った可哀想な患者さんたちに、愛の治療を施しましょう。
診療時間は夜明けまで。まだ夜は始まったばかり。楽しいお仕事はまだまだ続く。


2002年06月22日(土) 電話でプレイ #4

『オトコなんて(中略)だよね・・・ね?センセイ?』



「センセイ」・・・初めて彼にこう呼びかけた時のことを、今でもよく憶えている。
やはり、こんな風に電話で責めて、予定通りに彼は興奮して、喘いで、絶叫して。
私も熱に浮かされたようになって、それなのに、脳味噌がバタバタと回転してて。
そうそう、こういう時って、正に思考回路が音を立てて駆動してる気がするの(笑

しかし、タガが外れた彼の貪欲は容赦がない。私の回路がショートしそうになる。
その時、不意に閃いてしまったのだ。意識の中に、「センセイ」という語彙が灯る。
けれど、その閃きに狼狽えもした。その呼称は禁句だ。彼の聖域を侵してしまう。
瞬時に凄い速度で葛藤が走る。とどめを刺すか、やり過ごすか。緊張で汗が出る。

・・・・・。

彼は、「センセイ」と呼ばれる職にあった。老いも若きもそう奉り、期待する位置。
聞き及ぶ彼の日常は苛烈だ。世襲としがらみが生む期待の中で、激務に追われる。
けれど、彼から愚痴めいた話は出てこない。明るく希望に満ちた話題に終始した。
そのステイタスを鼻にかけることも一切しない。謙虚で誠実な「センセイ」だった。

彼にとって、「センセイ」であることは存在意義を支える誇りだったのだと思う。
もちろん、それをひけらかしはしないけど、その職にある自信が彼を支えていた。
だから、彼の「センセイ」である部分を侵すことは、彼そのものを侵すことになる。
例え恋人であっても、SMの関係であっても、そこに触れてはならないはずだった。

・・・・・。

しかし結局、私は禁を犯すことを決断する。駆り立てられるように直感に従った。
それは、壊したがる私の欲望からか、壊されたがる彼の欲望からか。わからない。
恐らくは、機が熟したってことなんだろう。私達はその目的で結託したのだから。
意を決してトドメの一言を放った。自らの選択が生む結果に怯え、鳥肌が立った。



『オトコなんて(中略)だよね・・・ね?センセイ?』

「・・・ひぃぃっっ・・・」

『センセイも、馬鹿で淫乱で(中略)なんでしょう?ね?センセイ?』

「・・・あぁっ・・あぁぁぁ・・・」

『センセイってマゾの・・(笑)・・マゾの変態なんでしょう?センセイ?』

「・・・あ、あぁん・・や、やめてっ・・・」

『やめてって仰っても、そうなんでしょ?(笑)・・マゾで変態なセンセイ?(高笑)』

「・・・ひぃぃ・・・ごめんなさいごめんなさいごめんなさい・・・」



受話器の向こうで、ゴメンナサイがリフレインする。イカれたレコードみたいに。
既に、言葉は言葉たる意味を持たず、そのリズムだけで彼の自我を飛ばしていく。
彼が壊れる音を聞きながら、私は暫し呆然となり。やがて満ちる安堵に息をつく。
気の済むまで飛んで、帰ってらっしゃい。段々と安らぐ彼の息遣いに耳を傾ける。



『ん・・・大丈夫?』

「・・・うん・・・ヨカッタ・・・ありがとう」



激しいプレイを終えた私達に穏やかな会話が戻り、おやすみの挨拶を交わしあう。


2002年06月20日(木) 電話でプレイ #3

「・・・あーーーっ、やめてやめてやめてやめてぇーッ・・(絶叫)」



妻と浮気相手に自分の不能をなじられる物語に、彼は激しく反応し、叫び続ける。
ヤメテと言われて、私が止めるはずもなく。ヤメテと身悶える声に更に煽られる。
彼もまた、ヤメテと訴えつつ、止めて欲しい訳でなく。更なる責めを求め続ける。
絶叫の間に間にねじ込むように、彼を貶める語句をねじ込んでいく。凄い緊迫感。


やがて、絶叫尽きたかのように彼に静寂が訪れ、様相を一転させた彼の声が続く。



「・・・オ・・オマエなんかに、ボクの気持ちがわかってたまるかっっ!」

『あはは、わかんないわよ、そんなもん 』

「・・・そうだよな・・・オマエはオンナだからな・・くくっ・・」

『えぇそうよ。女だわ・・・だから?』

「・・・くくく・・・オンナは馬鹿なんだよっっ・・・あはははは・・・」

『うんそうね。女は馬鹿かもしんないね 』

「・・・そうだよっ!オンナなんて、みんな馬鹿で淫乱なんだよっっ・・・(高笑)」

『あはは、淫乱ねぇ・・・確かに、女は馬鹿で淫乱だわ 』

「・・・いつでも、男のちんこハメたがってんだろっっ・・・はぁはぁ・・」

『そうよ。女なんて、馬鹿で淫乱でいつでも男のちんこハメたがってるわ 』



以下、延々とこうした応酬を重ねる。彼の罵詈雑言を、正確になぞって返すのだ。
とは言え、機械的に答えてはダメだ。電話であっても、気は伝わってしまうから。
傷口から噴き出す血を拭うように、丁寧に手当する。痛みをそのまま受け止める。
実際罵られるごと、体が痛くなったっけ。言葉って、それ程の力を持ってるのね。


息詰まるような時間が流れ、彼の血も出尽くしたのか、徐々に言葉が間遠になる。



『もう終わり?(笑)』

「・・・うっ・・・」

『わかってるのよ(笑)』

「・・・な、なにが?・・・」

『今まで、アタシに言ってくれたこと、ホントはアナタのことだって』

「・・・ひっっ・・・」

『オトコなんて、みんな馬鹿だ・・・(くすくす)』

「・・・あぁぁ・・・」

『オトコなんて、みんな馬鹿で淫乱だ・・・(くすくすくす)』

「・・・あっ・・あぁっ・・・」

『オトコなんて、みんな馬鹿で淫乱で女とヤリたがってる・・・(高笑)』

「・・・や・・や、やめてっ・・・」



さっきと同じ時間をかけて、彼が望む痛みを投げ返す。彼は望み通り壊れていく。
壊されたがる者を壊す事に躊躇はない。思う存分壊れてしまえ。私に激情が走る。
彼は再び狂ったように喘ぎ始め、煽られる私に熱が籠もる。境界が薄らいでいく。
ただ、頭だけは恐ろしい程クリアで、冷静に状況を見ている。我ながら不思議だ。


そして、とどめを刺す時がやってくる。受話器を持つ手が汗ばみ、全身が震える。



『オトコなんて(中略)だよね・・・ね?センセイ?』


2002年06月19日(水) ノケモノ萌え

以前、出張ホストを呼んだことがある。女に性感マッサージをしてくれるアレだ。
当時プレイパートナだったM魚を交えて、ちょいと変則の3Pしようと企んだのね。
っても、男二人並べて交互に鞭でビシビシなんて、ベタなSM行為じゃなくって(笑
私がM魚に申し渡したのは、ただ見てて頂戴とだけ。出来れば、口も出さないで。

驚きながらも彼は了承した。てのも、そん時の彼は、端から分が悪かったのよね。
それ以前に何度かアポを反故にして、埋め合わせに何デモシマスと宣言したのヨ。
アァソウ、何デモスルノネ?とばかりに仕組んだのがこの3Pで、全て私の思惑(笑
彼と私は嗜好の相性がよかったから、このシチュエーションも試したかったんだ。

私の描いた絵はこうだ。お仕置きを理由に、一切の手出し口出しを封じられる男。
もぅ、これだけで私的には結構クルんだけど、そこへ男よりも出来のイイ男登場。
本当なら自分が関わりたい女(=私)が、まさに眼前で、第三者との性技に耽る。
しかも彼は、私のソコに未だ触れた事がない。彼は思惑通りの心境に陥るかしら?

・・・・・。

先日記事にちらと書いたが、私は、自分を欲する男をノケモノにするのが好きだ。
彼の欲望を知りながら、他の男とヤる。しかも隠し立てなく。寧ろあからさまに。
その事で彼が味わうだろう哀しみや切なさを思うと、肌がそそげたってくるのよ。
そして、まさに彼のため、更なる哀しみや絶望を呼ばんと、私は激しく行為する。

たぶん、私にとって、性対象たる男を裏切る行為は背徳の悦びを生むのだと思う。
今更の言い訳だけど、私には人を裏切って喜ぶような性向はない。寧ろ、苦手だ。
もしかすると、単に、底意地の悪さを隠しているだけなのかもしれないけどネ(笑
ま、真相はどうあれ、「裏切り」は、私の性衝動のキーワードになっているらしい。

と同時に、裏切られた男が哀しみや絶望を抱いてなお、欲望し続けることを望む。
だから、やっぱ、この辺に感応できるマゾヒズムが必要なんだよね、男の側にも。
だって普通なら、哀しみと共にで怒りや諦めも生じて、関係自体が立ちゆかない。
でも、それは裏切る側の本意じゃないのヨ、勝手ながら。辛くても、欲情してよ。

・・・・・。

SM以前、初めてヤったノンケの3Pで、既に私は男をノケモノにしちゃったのね(笑
こん時は、もう一人の男と結託して、その彼を浴室に閉じこめたって成り行きで。
ベッドで共犯者とまぐわいながら、愉快で仕方ない。二人きりよりずっと萌えた。
浴室まで聞こえるように大きい声で喘ぐ。可哀想な男。もっと意地悪したかった。

「こういうの好きでしょ?」共犯の男が突き上げながら笑う。図星ヨ。腰で答える。
男とはもう何度もヤってたから、私がこの状況に反応するのを感じて面白がった。
「カレ、自分でヤってるかな?」「いや、キミとヤるために我慢してんじゃない?」
ケタケタ笑いながら昇ってく。体感を遙かに上回るハイな気分で絶頂する。快感。

男とワンラウンドした後、浴室の男を救出に行き、ようやく普通の3Pが始まった。
思った通り、気弱なアプローチしか出来ない男で、それはそれで面白くて笑えた。
だぁって、先の男に促されないと手を出せないの(笑。ま、それでも男の手が4本。
だから、確かに体感は倍増してヨカッタんだけど、興奮度はイマイチだったなぁ。

・・・・・。

さて、冒頭のM魚との変則3Pはどうなったか?長くなるので、この話はまた(笑)

***

複数プレイ関連の過去記事です。


2002年06月17日(月) 電話でプレイ #2

『マゾの旦那なんて、浮気されて当然じゃないの?(高笑)』



念の為ここで注釈を入れると、私は、本心からこう思っているワケじゃないのね。
しかし、この台詞が彼を欲情させることを私は知ってる。だから言葉にしてやる。
彼は、妻を他人に寝取られる自分を性妄想として抱いてるの。ありがちなパタン。
私も、自分を欲望する男をノケモノにするのが大好き。なので、この設定に萌え。



『新婚旅行の初夜くらいはつき合ってアゲルわよ』

「・・・でも、いつかはヨソの男と浮気しちゃうんでしょう?」

『そうね・・・初夜を済ませて、アナタが寝たあとに・・・』

「・・・ひっっ・・・」

『相手はそうね・・・旅行先で引っかけようかな・・・』

「・・・そんなの、無理ダヨッ!ボクがずっと一緒だもの・・・」

『うふふ、そうかな?・・・ホントにそう思う?(くすくす)』

「・・・そんな・・・新婚旅行なのに・・・」

『もしかしたら、浮気相手も一緒に来てるかもしれない・・・隣の部屋に』

「・・・あぁぁ・・・」

『そいで、アタシたちが初夜を済ますのを待ってる・・・耳を澄ませて』

「・・・き・・聞かれてるの?」

『そう・・・アタシが本気でイってないのがバレちゃうね(笑)』

「・・・や、やめて・・・」

『あ、違うな・・・やっぱりそうかって笑ってるかもね、カレ・・・』

「・・・ど、どうして?・・・」

『だって、アタシ、カレに抱かれる度に、アナタのこと話してるもの(笑)』

「・・・ひっ・・・なんて?・・・」

『アタシの夫になる人、マゾで役立たずなのよって(高笑)』

「・・・あぁぁぁ・・・ひどい・・・」

『触るのも舐めるのも下手で、挿れられてもちっともよくなくって』

「・・・あぁっ・・ああぁぅ・・・」

『あんなチンコなら、ないほうがマシよねって(高笑)』

「・・・あーーーっ、やめてやめてやめてやめて・・(絶叫)」

『あーはっはっは・・・(高笑続く)』



実際は、もっと微に入り細に入りストーリーを膨らませてくのね。偏執狂的に(笑
だって、ディテールを増すごとに、彼の息遣いが荒くなり、ハマってくんだもの。
と同時に、私も確実に高まっていく。何かに憑かれたように、言葉が次々溢れる。
勿論、溢れるのは言葉だけじゃない。股間が頼りなくぬかるんで、切なくなるワ。

・・・・・。

実は今も、このテキストを書いたせいで、すっかり濡れちゃってたり。やぁね(笑


2002年06月15日(土) 紅い雫

もう殆ど拭きあげた
湯上がりの体のあわいから
新しい体液が滴るのを感じた。

あぁそうか・・・
予感を抱いて、目を落とせば、
白いタイルに散った紅い雫ひとつ。


だから、
キミを呼ぼうと思った。



呼ばれて、キミは見るだろう。
まず、アタシの顔を。
そして、裸体を。

けれど、
すぐに目を伏せてしまう。
臆病なキミの視線の先に、紅い雫。


わかるでしょ?
早くしないと、乾いてしまう。



キミは、
操り人形のようにくず折れて
アタシの足許にひざまずく。

まだ薄桃の火照りの残る足先に、
額を擦りつけるようにして、
雫に唇をよせていく。


そういえば、
今日のペディキュアと同じ色ね?



キミの震える舌先が、
白いタイルの上をおずおずと這い、
紅い雫を味蕾にのせる。

その味わいを惜しむように、
唇を引き結んで仰ぐキミの顔は、
艶めかしく上気して。


だから、
アタシの奥がトクンと疼いた。



そして、再び、
紅い滴りが内股を伝い、床を汚す。


2002年06月14日(金) 電話でプレイ #1

時折話題に出る「かつての恋人」とは遠距離恋愛で、毎晩のように電話で話した。
巷の恋人達のように、時に話は艶めかしい流れを辿り、互いの心と体を濡らした。
しかし、彼はこてこてのマゾヒストだ(笑。まともなエッチ会話じゃ満足出来ない。
彼のマゾヒズムは、私のサディズムを煽る。結果、とことんつき合ってしまった。

ただ、互いに自慰しながら会話することは殆どしなかった。体は反応してたけど。
それでも、互いに満ち足りて、会話を終えた。すっかりイったような感覚だった。
気分だけの問題じゃなくて、実際酷く疲労して、肉体的にも虚脱してしまう感じ。
寧ろ、体を介在しないせいで、より濃密なセッションが出来たのだと思っている。

昨日記事した「言葉責め」のいちバリエとして、当時の会話を再構成してみよう。
たぶん、大凡の方には理解不能だろうと思うけど(笑。悪しからず、ごめんなさい。
ちなみに彼は独身。私と同年。旧家の子息。資格を得て、家業を継いだ身の上だ。
人格に優れ、周囲の期待と信頼を集める。容姿にも恵まれ、非の打ち所のない男。



「・・・ねぇ、なんで、ボク、結婚できないのかしら?」

『さぁ、なんでかしらね?(笑)』

「・・・どうして、そこで笑うの?」

『結婚したくないんだと思ってた(笑)』

「・・・そんなことないよっ!普通に結婚したいと思ってる」

『じゃ、普通に結婚すれば?』

「・・・できない・・・」

『ん、どうして?』

「・・・だって、キミがボクを変にするからっ・・・!」

『あら、アタシがアナタを変にしたの?』

「・・・そうだよっ ボクが結婚できないのはキミのせいだっ」

『そっか、アタシが悪いのね。じゃどうすればいい?』

「・・・責任とってよっ!」

『うーん、じゃ、アナタと結婚してもいいけど、だいじょうぶ?』

「・・・なにが?」

『アタシを満足させられるの?・・・例えば、セックスで(笑)』

「・・・うぅぅ」

『女をイかせたことなんてないでしょう?(笑)』

「・・・うぅ・・・あるよッ」

『ホント?女がイったふりしてただけじゃないの?』

「・・・あぁぁ・・・」

『アナタのテクニックでイク女なんているのかしら?』

「・・・あぁぁぁ・・・」

『それじゃアナタと結婚しても、アタシ、外に男が要るわね?(笑)』

「・・・ひどい・・・」

『あら、酷いのはどっち?女をイかせられない夫のほうじゃないの?』

「・・・・・」

『マゾの旦那なんて、浮気されて当然じゃないの?(高笑)』



さて、この辺で、彼は既に一山迎えているのよね。ワカルカナ(笑)
こうして書いてみると、私的にはかなーり面白いので、続きを書くつもりデス^^ゞ
ひとりよがりの極地ですが、よろしければお付き合い下さいませ m(__)m


2002年06月13日(木) 言葉責めあれこれ

SMプレイのひとつとして、「言葉責め」ってのがある。割とポピュラーな責めなんだろう、SMの嗜好を問われて、そう答える人は少なくない。特に、初心者に多いカナ。文字通り、言葉を交わす自体が刺激になる。SMぽい道具だては不要だし、SMにつきものの身体的な痛苦も生じない。だから、ビギナにはとっつきいいのかもね。

羞恥を煽る「言葉責め」あたりが、とっつきやすいパタンかな。「もぅこんなに濡らして…」「あぁっ…」てな感じ?(笑)特にSMじゃなくても、セックスの前戯的に「言葉責め」をすることもよくあるね。相手の乱れる様をつぶさに伝える。受け側は、乱れる自分を恥ずかしい言葉で露わにされて、羞恥に咽んでは興奮していく。

この逆に、受け側に恥ずかしい言葉を言わせる場合もある。「どこがいいのか言ってごらん」「いやっ…」「言えないなら止めるよ?」この辺になると、受け側に多少Mっけがないと、上手く運ばないかもしれない。恥ずかしい言葉を無理矢理言わされて興奮とかね。だって、ハキハキと即答されちゃったら、つまんないもの(笑

・・・・・。

いかにもSMぽい「言葉責め」となると、「この変態っ…!」「あぁぁ…」てなトコが連想されるのかしら。あまりに陳腐で、タイプしながら笑っちゃうけど、実際にこうやり取りはある。勿論、私もヤる(笑。ただ、この手の恥辱を与える「言葉責め」は、やはり相手にも呼応する嗜癖が必要だ。じゃないと、引かれること必至(笑

つまり、M側を望む人の全てが、「変態ッ」と言われて興奮するワケじゃないんだね。却って醒めちゃうという人も多いみたい。更には、「変態ッ」で興奮出来る人でも、「マゾ豚ッ」と罵られると一気に萎えるとかね。この辺、好みというか、NGワードは個々人で違う。本当の禁句もある。だから、慎重にならざるを得ないだろう。

事前に確認しておくのが慎重を期す一番の方策だが、打ち合わせ済みの「言葉責め」なんて興が殺がれる、ってのもワカル。なので、経験上思うに、日常にある事実を指摘しないのが安全かもね。いわゆる素に戻るような事はNG。日頃スタイルを気にしてる人に、「マゾ豚ッ」なんて言ったら、プレイも何もあったもんじゃない。

・・・・・。

ところが、コンプレックスを指摘されてこそ興奮するマゾヒズムもある。先日記事したヅラの彼は、このタイプ。「ハゲッ」と笑われて勃起する。普段隠している負の部分を暴かれ、貶められることでカタルシスが起きるらしい。M魚には、意外にこのタイプが多いように思う。ストレス発散型というか。んー、屈折してるわぁ(笑

あと、自尊してる部分をこそ貶されて、そこに刺激を感じる組もある。「普段は社長面してエバってるくせに、一皮剥けば変態なのねッ」とか。んぁー、これも、ベタなポルノの描写みたいだけど、好きな人は好きなのよ。同時に、先のコンプレックス指摘を行えば、相当強烈な「言葉責め」になる。ヤバイ宗教みたいだけどネ(汗。

・・・・・。

っと、随分ディープな話になってしまったけど、「言葉責め」って、実に奥の深い分野なんだね。究極の責めだと説く人もいるくらい(笑。確かに、程度の差はあるにしても、「言葉責め」は精神を責めてるに他ならない。”SMプレイ”と線引きしてこそ、言葉を凶器にすることが出来るけど、考えればおっかない行為だと思うよ。

実際、程度が進めば、本当に苛酷な責めになる。受け手はもちろん、責め手も酷く消耗する。なので、厳しい「言葉責め」を実践する時は、心身ともにイイ状態で臨むのがいい。しくじると、肉体的な行為よりもダメージがデカイからね。もちろん、信頼できる相手と納得できる関係でやることが大前提。末筆ながら、ご参考まで。


2002年06月12日(水) サヨナラ・キッス

じきに電車が駅に着く。
アタシが降りて、男が残る。
サヨナラの間際。

「また会いましょう」



行儀良く頷く男の頬に掌を宛い、
アタシは、ズイズイと顔を寄せていく。
突然の出来事に慌てる、その瞳に抗いの色。

後頭部を支えつつ、一気に口づける。
抵抗を封じるべく、のっけから唇を割る。
強引に差し込まれる舌。
あっけなく応じる男の口腔。

反射的に追ってくる舌を僅かに味わい、
唾をたらし込みざま、ツッと身を引く。
身勝手な強制終了。



唐突な幕引きに、言葉をなくして呆ける男。
その唇を指で拭ってやる。
指先を汚す、名残の紅と透明な粘液。
それを男の耳朶で拭く。
軽く爪の先で引っ掻いて、ちょっと悪戯。
そしてサヨナラ。

ヒラヒラと手を振って、電車を降りる。
振り向けば、男の視線がアタシを追いかける。
だから、さっき悪戯した指を咥えてみせた。



独り残された男。
今頃、どうしているかしら?

アタシの掌が触れた頬や
アタシが力を込めたうなじや
アタシが奪った唇や
アタシがこじ開けた歯列や
アタシに絡め取られた舌とともに。

アタシの紅と唾をまぶされた耳は
湿った音の幻を聞くかしら?

辛く苦しい昂ぶりに苛まれ、
何度も何度も寝返りを打ってるとイイナ。



サヨナラしても、デイトは続いてる。


2002年06月11日(火) M魚図鑑 〜ヅラ露出 2〜

露出好きの大方は、見られる機会を作るのに腐心する。ま、普段は隠されたモノを見せるのが肝だから、何らかの仕込みは必要だよね。それに、彼らにとっては、誰に見られるかも重要なポイントだ。勿論、誰かに見られてるかもって状況や気分だけでOKな組もある。が、大抵は、性対象となりうる人限定で見られたがるみたい。

ヅラの下の禿頭を笑われたい彼も然り。笑って欲しいのは、彼好みの女に限る。しかも彼の場合、偶発的な事故を装い、失笑や嘲笑を誘わねばならない。「なかなか難しいんデス。やろうと思ったら、野郎が通りかかったり…」あはは、ひとりどっきりカメラみたいだね。「ええ、色々工夫シテマス」自慢げに彼は胸を張るのだが。

「ビル風が最高デス」彼が天啓を受けた最初の事故は、まさにビル風の仕業だったらしい。身だしなみを整える彼の手許を、突風が吹き抜けた。万事休すの想い。路上に転がるヅラを必死に追った。その背後に突き刺さるOLらしき女の失笑。これが、彼の原点だ。「飛ばし方にもコツがありまして…」へぇ、そこまで極めたか(笑

・・・・・。

しかし、そう都合良く風は吹かないし、OL風の女だけが通りかかる好機もない。「で、コレですよ」またも自慢げにそう言うと、彼は胸元から一本のペンを抜く。その軸をスルスルと伸ばす。指示棒だ。次に、軸先でこめかみの辺りを所在なくなぞる。展開が予想されて可笑しい。そして予想通り、一瞬ヅラが浮くのが見えた(笑

「やってみて下さい」と、指示棒を渡される。もぅ、手にした瞬間から笑いがこみ上げる。「遠慮なくどうぞ」と、彼はあらぬ方向を見遣る。コントの仕込みみたいだとまた笑える。と同時に、酷く胸が高鳴ってしまう。だって、こんなこと普段なら絶対出来ない。まさに禁断。笑いのせいか興奮のせいか、手が震えちゃったワヨ。

勿論、こんなことで、私が性的に興奮するワケじゃない。けど、子どもが悪戯に興じるような心持ちになって、妙にテンションが上がってく。悪ふざけって、人をハイにさせるよね。だから、普段はしないような馬鹿な真似もしたなぁ。禿頭に油性ペンで落書きしたり、ヅラでキャッチボールしたり。いいオトナが大騒ぎしたさ。

・・・・・。

一番楽しかったのは、野外露出をした時だ。バーの常連客同士で、食事会だか催した折。河岸をかえて飲み直そうってんで、通りに出て次の店を目指す。と、道すがら、彼が私に指示棒を寄越したのだ。瞳をきらきらさせて(笑。「じゃ、好みのコがいたら言ってね」その途端、二人とも、すっかり挙動不審な人物になり果てた。

「あのコどうかな?」うわずった声で、彼が囁く。OK。手許の指示棒をさりげなく伸長する。いや、内心はドキドキなんだけど。ターゲットとの距離が縮まっていく。緊張で口元が緩みそうになる。ダメダメ、不審がられるワ。密かに葛藤しつつ、タイミングを測る。ヨシ、今だ。えぃとばかりに、彼のヅラを僅かに持ち上げる。

何喰わぬ顔をして歩を進めながら、彼女の反応を待つ。笑うか?無視するか?気がつかないか?ギャンブルめいた興奮。そして、何事もなかったかのように、同じ速度で彼女とすれ違っていく。この数分間が、やたらに長く感じられる。「笑ったよね?」ようやく緊張が解けた地点、共犯者同士は、微笑みながら達成感を味わった。

・・・・・。

きっと、今でも日本のどこかで、彼はヅラを持ち上げてるんだろうな。街中で、偶に、ヅラ丸バレの男に遭遇する度、思い出すヨ。そして、コイツも露出マゾかな?なんて、不埒な想像をしてもみる(笑。誰でもコンプレックスを抱えるものだけど、それが興奮のネタに転化出来るなんて、人間って、つくづく不思議で面白いね。


2002年06月10日(月) M魚図鑑 〜ヅラ露出 1〜

彼は、掛け値なしにイイ男である。ナイスミドルを具現するとこうなるだろうってな位に。まず、見た目がイイ。人好きのする程度に男前。無駄のない肉付き。雰囲気もイイ。カウンターで独りグラスを傾ける様には見惚れてしまう。声もイイ。一度、洋モンの唄を歌うのを聴いたことがある。女の腰を砕く色気に圧倒された。

間違いなく彼は、女にモテるだろう。そして、彼も上手に女を捌けるはずだ。いや、日常にあれば、道ならぬ恋の一つや二つ、女に恵んでるんじゃないカナ?少なくとも、過去にはそういう事もあったろう、その日までは。そう、その日彼を襲った事故が、フツーのモテ男の運命を変えた。図らずも、禁断の扉が開いてしまった。

彼が踏み込んでしまった禁断を聞くだに、私は泣けた。っても、笑い過ぎたせいで(笑。その哀れな告白には、誰もが抱腹絶倒するだろう。保証する。ちなみに、彼と初めて遭ったのは、私が行きつけにしてたSMバー、つまりM魚ばかりが集う場。だから、言うまでもなく、彼はM魚である。彼は露出の癖を持つ。それも奇妙な。

・・・・・。

告白の幕開きは突然だった。まさに虚を突かれる感じ。カウンターの隅で物慣れた風に酒を飲む彼を見遣ったその一瞬、三つ揃いにふさわしいダンディーな面影が崩れた。その光景に、私は文字通り息を飲んだ。が、目を疑うべくもない絶妙な間合いで、ソレは晒されたのだ。黒髪が後ろへずれて、露わになった半端な禿頭(!)

当然の如く、私は反射的に噴き出してしまったけど、それはつまり、彼の狙い通りってことだ。ヤラレタッと後悔したものの、腹の痙攣は治まらず。見れば、当の本人は黒髪を元の位置に戻し、何事もなかったかのように酒を飲む。その様に、また腹が攣る。無限地獄だ。ドウニカシテクレ。一頻り、抗議も出来ずに笑い転げた。

ようよう息を整えて、声を掛ける。「スゴイ技だね」「いえ、笑ってもらえて嬉しかったです」笑顔で答える彼は、白い歯がこぼれて、一層イイ男だ。うーん。「無視されたりしたら、マジ凹みますもん」笑って正解?「えぇ、凄く感じました…」衒いなくはにかむ表情が、これまたイイ。「見られて、思い切り笑われたいんデス」

・・・・・。

彼のハゲ歴は長い。十代からハゲ始め、相当深刻に悩んだそうだ。彼程に器量が良ければ、尚更だろう。やがて、カツラをつけることを決意する。それは同時に、誰にも明かせない秘密を抱える決意でもあった。実際、身近な妻にさえ、生頭を見せてないと言う。「知ってはいるんですけどネ」すまなそうに、彼は言葉を継いだ。

賢明な彼の妻は、敢えて彼の禿頭を見たがらない。「助かってます」照れたように微笑む彼は、愛妻家だ。言葉の端々に、家族への深い愛情がにじむ。ナリを見れば、仕事も順調なのだろう。どこから見ても、彼は理想的な壮年男性だ。本人だって、そう思ってるんじゃないかな。それで一層、ヅラがバレるのを怖れたのかもね。

ところが、その秘密はある日露見する。見知らぬ相手ではあったものの、誰にも晒したことのない禿頭を見られてしまったのだ。死にたい程の羞恥に身がすくみ、絶望的に混乱する。そこへ、目撃した女の容赦ない笑い声が襲いかかる。と、その途端。電流の様な衝撃が躰を走り抜け、彼は、エクスタシーに達してしまったのだ。

・・・・・。

何度も披露しているネタらしく、軽妙なジェスチャーを交えて、彼はその成り行きを語った。「で、目覚めちゃったんですヨ」悪戯っぽく笑いながら、スーツの下に仕込んだレースの下着をちらつかせる。あぁ、そっちへ行っちゃったの?「あ、これはオマケみたいなもんで…」やはり、彼が見られたいのは、ヅラの下の頭らしい(笑


2002年06月07日(金) 笑う女

笑う女をご想像下さい。
あなたが頭の中に描いたのは、どんな状況で、どういう風に笑う女ですか?

笑うという動作についての印象は、
どちらかというと明るく、平和なイメージですが、
女がそうすると限ると、イメージがもっと違う方向に向かうのを感じませんか?



「女の笑顔には敵わない」と言う男性も数多くいらっしゃることでしょう。
それを盾にとって、笑顔を武器に、男を手玉に取る女も沢山います。
思い当たる節はありませんか。

後で悔やんだところで、笑う女を恨むよりも、
その笑顔に騙された自分を責めるのが関の山の男たち。
そして女は、勝ち誇った笑みを、またその顔に浮かべるのです。
「男なんて単純ね」
嘲笑にも似た、女としての自信に満ちたその笑みが、
より一層の凄みを伴った美しさを、女に与えることでしょう。



そしてまた、笑う女に魅せられてしまう男がいます。
女が笑ってくれるのなら、何でもしてしまいたいと懇願する男。

既に男の表情に笑みはなく、切なそうな苦悩の色さえ窺えて、
対する女は、不敵な笑みを絶やすべくもありません。
「そう・・・なんでもするのね?あなたが辛い事でも?苦しい事でも?」
既に女の虜となった男は答えることでしょう。
「キミが楽しいと思うことならば、なんでも・・・」

そう。なんでも。
女の心の中に、愉快で残酷な気持ちが満ちてきて、
やがて、男の望む笑い声に変わることでしょう。
男は自ら望んで女の足許に下り、
頭上から降り注ぐ嘲りと蔑みの笑い声の中で果てていくのです。



それは、女にとっても快感なのです。
少なくとも、女である私にとってはそうです。

女のために、敢えて苦痛をも厭わない男に捧げられる女の笑い声。
傷ついた男を見据えながら、声を立てて笑う女の身体の芯に、
強烈な快感が電流のように走り、
そしていよいよ後ろ暗い欲望に、女を男を向かわせるのです。

それを私は知っています。
だからそう・・・私にとって笑う女は、とても隠微なイメージなのです。


2002年06月05日(水) 悩みオナニー

掲題。女友達が言い出した言葉だ。うまいなぁと感心したけど、同様の言い回しをなさる方はおいでだろうか?あるいは、一般名詞でしょ?とか(笑。ま、一般的かどうかはともかく、この言葉は使いでがある。なぜなら、私の身近には、コイツ、絶対悩むことに耽溺してるんだッとしか思えないような、タフな輩が多いんだよね。

そう!ヘタレな私としては、彼らはタフとしか形容できない。だって、悩むってのはしんどいことで、心が風邪引いたみたいなもんで、休養したり、薬飲んだりして治したほうがラクじゃん?と、私なら思う。本当の風邪でもそうしてるしサ。なのに彼らは、風邪で辛い〜と嘆きながら、水浴びしたりする。ね?タフでしょ?(笑

勿論、彼らだって、風邪を治したいと言い募るのよ。実際、そう願ってもいるだろう。それが、何故わざわざ悪化させるような真似をするのか?ワカラナイ。この手の輩と付き合い始めた頃、私は理解に苦しみ、途方に暮れた。そして、専ら自分が納得するために辿り着いた答えが、「あぁ、悩むことが好きなんだなぁ」という解釈。

しかし。彼ら的には、悩んでる状態が好きなんだとは、まず認めない。彼らは大抵の場合、人一倍の向上心を持ち合わせてるからね。寧ろ、そんな自分を許せない。だから、あの手この手でしんどさから逃れる努力はしてみるのよ。傍観してる私も、そん時はヤレヤレと思う。けど、土壇場になってまた水をかぶってるし。嗚呼!

・・・・・。

さて、不毛な考察となるが、なぜ彼らが、わざわざ水をかぶってしまうのかについて。本人に訊くのが一番だから、訊いてみる。っと、本来の悩みを語るに劣らぬ勢いで、理由だか言い訳だかが返ってくる。曰く、遅々として改善されない現状に業を煮やしてとか。曰く、悩みから逃げていいのかと思い直したとか。ナンダソレ?

そして、振り出しに戻ル。あ、そこまでの経過があるから、更にパワーアップしてってとこかな(笑。ある者は、「こんなアタシじゃダメ!」とハイになりつつ。ある者は、「どうせアタシは・・・」と自棄気味に。「なんでアタシだけがッ!」と逆ギレして。そうして、手許に残った「悩める自分」を再びこねくり回し始めると。

はっきり言って、真面目につき合ってると疲れるヨ(笑。いや、真剣につき合うにしても、彼らのそうした傾向を踏まえた上で話を聞いてないと、消耗する。とはいえ、予備知識なしには、何クールかつき合わないと実感出来ないかもね。っと、私はわからなかったナ。コレは癖なんだと受け入れた時、凄い発見だと嬉しかったさ。

・・・・・。

痛苦を求めるマゾヒストが宣う。「痛みは確かに辛いです。デモ。痛みによって、生きてる実感を得るのです」。当人以外は想像もつかない感覚だが、当人にとっては、言葉の通りなんだろう。或いは、その衝動や行為を省みて、そう言語化することで、普通なら厭うはずの痛みを求めてしまう自分を肯定してるのかもしれないね。

とすれば。辛がりながらも悩みを手放そうとしない彼らは、マゾヒストだろうか。「悩みによって、生きてる実感を得るのです」ナンテネ(笑。まぁ、そこまで開き直りはしないものの、身近な連中は「悩みオナニー」なんて言葉で、ドツボにハマった自分を俯瞰する。或いは、発作中とかサ(笑。うんうん、見てる方も楽だよぅ。

・・・・・。

ちなみに、この言葉の発案者の女友達は、私に限らず、数多の人に「オナニー」を見せつけては、ヨガッテタ。んー、露出も好きなのねん(笑。流石、M女だワ(爆


2002年06月04日(火) ココロ 〜シテない理由〜

「ココロ」と表題して、SM行為や関係に大きく影響する心理や気持ちのあれこれを綴ってきた。特にSMに限らずとも、ココロと行為は密接に結びついている。同じ行為をなぞっても、相手が違えばココロが変容し、行為の結果も当然違う。相手が同一でも、その時のココロ次第で結果が変わり、それがまたココロに影響してしまう。

だから、どんな関係であれ、人と相対する時は、相手のココロに注意を払うことが肝要だ。しかし、SM行為を介して親密さを図る場合、相手のココロを読み解く作業は、俄然複雑になる。言動に現れるココロの裏を読む必要に迫られたりする。てのも、SM行為って、相手のココロを弄びつつ進めてく側面があるからサ。あぁ厄介ダ。

ま、その厄介さも込みでSM行為が好きなんだから、ヨワッタ性癖だね(笑。ココロを弄ばれるを嗜好するM側も然り。ただ、この心理的な駆け引きは、相互のココロの状態が正常でないと、まず良い結果を生まない。本当にココロを傷つけてしまう危険性をも孕む。なので、互いのココロの状態には、相当気を配ってるつもりだ。

・・・・・。

ところが、私は、基本的に人の心理に鈍いほうなんだよね。この鈍さは、私の弱点のひとつだ。場の空気を今ひとつ正確に掴めずに振る舞って、後になって慌てた前科は数知れず(笑。だから、S側にある自体、不適格なのかもしれないと反省することは多いよ。鈍さを補うべく、充分考えるようにしてるけど、おっつかないや。

もっとも、自分本位の勘や思考よりも、M側の実情を明かしてもらうのが早道だと知っている。いや、彼らが、「S側は何もかもお見通し」的な夢想を抱く気持ちはわかるヨ。けど、私はエスパーじゃない。それどころか、むしろ鈍いほうなんだから言ってよねと開き直ってもいる。しかし、なかなか思惑通りにはいかない(笑。

相手が、「従」の位置にある奴ならば尚更だ。セオリに従えば、主である私が「言ってよね」と命じたら、奴は迷わず自身の心情を吐露するはずだ。がっ、そうは問屋が卸さないんだナ(笑。コンナこと言ったら、主の心を煩わせるかも…だの、従の分際で、モノ言うべきでない…だの、自分自身に枷を填めるのに忙しいらしい(笑

・・・・・。

さて、ここで、話の発端となった、半年近くシテない身近な奴隷について。この長きに亘り、奴のココロはあまり調子がよくなかった。不調を招く様々な原因があったろうが、全て私とつきあう中で生じたもののはずだ。ところが、「従」の立場に拘る奴は、その各々をクリアしないままに、身の内に鬱積させてしまったんだね。

もちろん、奴としては、「従」として行儀良く、飲み込んだつもり、自浄したつもりになっていたのだと思う。そう、あくまで”つもり”。だって、この鈍い私が、雰囲気でわかってしまう程の鬱陶しさを醸し出していたんだもの(笑。これじゃあ、流石の私もヤル気になれない。でもま、せめて身の回りの世話位を頼んでたワケだ。

ところが、鬱陶しい「気」というのは、ことごとく影響を及ぼすんだなと思い知ることになる。肩を揉んでもらっても、まるでヨクナイ。それどころか、暫く経つと却って調子が悪くなる(笑。まんこを弄らせても、いつものようにイケなくて、くたびれる。コレってある意味、奴と私は波長が合いやすいってことなんだけどサ。

・・・・・。

てな成り行きで、奴のココロに振り回されてる私が、SM行為に及べるはずもなく。ただただ、奴の復調を待つばかり。つまり、これがシテない理由の詳細。お粗末。


2002年06月03日(月) ココロ 〜本当のS・本当のM〜

「自分は、本当にMなんでしょうか?」身近な奴隷と付き合い始めて一年近く経った頃に、奴が訊いた。ナニを今更…と噴き出しそうになりながら、その質問の意を質す。と、どうやら、奴が私と交際する上で折々に抱く、或いは感じ続けている不安のひとつらしい。そして、そう自問する根拠を聞くだに、また笑ってしまった。

いや、笑ってしまったけれど、奴がその命題にぶち当たってしまったこと自体は理解できる。というか、私自身、「犬」の主だった頃に、そう自問した時期があるからね。私の場合はこうだ。「私ナンカが”主”になって、彼はいいんだろうか?」あぁ、今となれば、やっぱり呆れて笑っちゃう。だけど、当時は深刻に悩んだのヨ。

つまり、艱難辛苦を乗り越えてMとして求道する「犬」に対して、引け目というか、負い目を感じてたのね。成り行きで「主」に奉られただけの私は、自分のS性に確信がなかった。巷で囁かれる「本当のS」なんて言葉に怯えてた。殊に、「犬」は「Mの鑑」と目されてたから、自分は彼にふさわしい主だろうかと常に不安だった。

・・・・・。

当たり前の話だが、性癖と称される性嗜好の傾向や程度は、各人で違う。ずばり、個性といってもいいだろう。だから、人と比べるようなもんじゃない。ましてや、それらを測る普遍的な尺度は存在しないはずだ。なのに、S/M性が高いの低いのと比較しあったり、「本当の」SだMだと絶対評価めいた言葉が使われたりする。

確かに、歴然とした個人差として、性癖を自覚してから実践に至るまでの経験の差のようなものはある。が、その差も、あるからどーした?程度のもんだと思うヨ・・・っと、今だからそう思えるのかもね。やっぱ私も、ある時期までは、経験値のあるなしで人を測ってた節があるナ。経験のない自分は、まだまだだなァとかサ(笑

まぁ、たかが性癖であっても、自分のありようを見つめる上で、自分と他者を比較してしまうのは仕方ないことだと思う。けれど、その目的は、他者基準で自分にランクをつけることじゃなく、自分の願望を実現する適正な他者と出会うためだろう。とすれば、相手を得てから、自分の相対位置を疑うのは、意味がないかもね(笑

・・・・・。

さて、冒頭の奴の質問、ないしは不安について。私の回答は、「さぁどうかしら?」だった。冷たいようだが、ホントにそうなんだもの。逐一の具体的な事象には、せめてもの見解を示したが、奴が「本当にMかどうか」は、今んとこ不明だ。というか、たぶん、この先もはっきりとした答えは出ないと思うよ。出す気もないや(笑

答えがあるとすれば、私達が関係してることそのものだろう。だって私は、奴に、M性を期待して交際を始めたのだから。もちろん、付き合いを重ねる中で、認識を新たにすることもあると思う。お互いにね。でも、それらに納得しつつ、相互に興味を抱ける対象であれば、充分なんじゃない?S性とかM性とか問うべくもなく。

ま、結論としては、私がよければそれでいいのヨ、OK?私の判断について、奴が取り越し苦労をする必要はないのダ。考えるだけ、エナジーの無駄だワ(笑。かつて、自分のS性について散々悩み、自家中毒を起こしては消耗し、「犬」が「犬」である以上、「主」でいていいんだと諦めた私が言うんだから、たぶん間違いない(笑

・・・・・。

もっとも、キミが「自分は本当のMじゃないから、奴隷やめます」なんて申し出たらば、キミのM性とやらをあげつらって、その迷いを蹴散らしてあげようネ(笑


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