雑感
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2008年08月31日(日) チェロソナタ

昼休みになじみのCDショップに寄った。
テーブルと椅子が置かれた視聴コーナーのスピーカーからは
グレゴリアン聖歌の歌唱が天使のように語りかける。

Bの棚で立ち止まる。
バッハは間に合っているので、べトのピアノトリオとチェロソナタ
の棚を見やった。
ピアノトリオで聴きたい逸品が見つからないのでチェロを探すと
ソナタ集がある。ロストロポービッチとリヒテル、フルニエ
とグルダ。2枚を手に取ってしばし迷ったが、結局フルニエのチェロが
聴きたくてこちらに決めた。1960年の録音だ。
普段なら大人買いするところだけど、20ユーロと高かったので、
一組でがまん。

レジのお兄さんが「いい選択ですね。」という。
「リヒテルのと迷ったのですけど。」と応えたら、BGMと声がだぶって
聞き取れなかったのだけど、「○○のロンドン演奏のDVDもあるので
すがCDより音質がいいんですよ。」と教えてくれた。
どっちの盤のことを言ってたのかな。

ぴちぴちと飛び散る雨で、寒くて気分もへこみそうになるが
CDの入ったビニールを小脇にかかえて軽やかな気分でオフィスに戻った。

残業で帰宅したのが遅かったが早速チェロソナタを聴いた。
フルニエの流麗な音と軽やかなグルダのピアノが、これってベートーベン?
というくらい明るい肩の凝らない演奏だった。

バッハの無伴奏チェロ組曲を旧約聖書に例えるなら、べトのチェロソナタ
は新約聖書と言われるのだそう。
また集めたい病が復活しそうだ。


2008年08月30日(土) 好意の泡

20年以上も前に同じドイツ語講座に通っていたAさんの近況を
偶然知ることとなった。
アマゾンで検索していたら偶然、聞いたことのある名前に気がついて
ググッってみたら今はとある大学で教職と研究活動に専念されて
いるという。

ドイツに留学して半年ほど経った頃、寮の自室の扉の下に一枚の
メモが挟まっている。誰かなと思ったらAさんから。
Aさんも留学生として別の街の大学で学ぶために渡欧して、ついでに
私の住んでいる街に寄ってくれたらしい。

その日のうちに何とか滞在先の宿に連絡を取って、2年ぶりくらいだ
ろうか再会を喜び合った。
私はその後、大学入学資格を取り、半年ほどして、別の
大学へ。Aさんは1年ほど研究活動に専念して元の大学に戻られた。
それ以降、音信不通になってしまった。

現在教鞭をとっている大学のサイトにメルアドが掲載されていた
ので一昨日送ってみた。
たぶん覚えていないだろうなと思いつつも、ご無沙汰しています
と書いて。
数時間後、Aさんから返信。なんと私のことを覚えていてくれた。
講座のあと、皆でサーティワンのアイスを食べたこととか、
ドイツでの夕食に食べた料理のこととか映像のように覚えておられた。
写真記憶ならぬ動画記憶をお持ちのようだ。

私も少しづつ当時の記憶が蘇ってくる。小さな川が流れている
こじんまりとしたレストランの風景が浮かんだ。
わざわざ私の住んでいるところに寄ってくれたことを考えると
決して私のことを嫌がってはいなかったのだろう。

Aさんのことは、一緒に勉強していたときから何となく好意を持って
いたように思う。Aさんの卒論や院生の入試が目前に迫っていたのと
私も将来の留学計画をしていて、講座が終わってからは年賀状を
やりとりするだけだった。

20年も過ぎた今は好意の泡がぶくぶくと増えることはないけれど、
あの時分の自分の気持ちを思い出したことが単に嬉しい。

たぶん、もう再会することもないと思うが、いつかおいしいワイン
を飲みに行きましょうと返信した。


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