凪の日々
■引きこもり専業主婦の子育て愚痴日記■
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結局夫の親戚の葬儀には夫が一人で行った。 私の運転で子連れで行くより一人で行って帰りは弟さんの車に乗せてもらってきた方が気楽だからだろう。 親戚から毎回「あんたが運転できなきゃ」とバカにされるのがいやなのもあるんだろう。 だったら練習しろよ、と思うが、そっちに逃げるならそれならそれでもいいか、ともう放置モード。 葬儀に顔を出さない私に夫の親戚からは顰蹙かってるかもしれないけれど、それも別にいいや。
「お土産貰った」と抱えてきた荷物の中に、健康系の茶葉があった。 こっちの野菜は田舎からで、こっちのお菓子は一緒に行った親戚から、こっちのお菓子は夫が買った物だったっけ。 これは誰のセレクトなんだろう?と「これはどうしたの?」と夫に聞くと「高血圧に良いんだって、血液がさらさらになるんだってよ」 いや、だから、そうじゃなくて、これは、どうしたの?って。 「体に良いんだって。飲んでみようかと思って」 いや、だから、
貰ったのか、自分で買ったのか、親戚が買ってくれたのか、そういう点が聞きたいんですけど。 「効能を聞きたいんじゃなくて、これは、誰かからのお土産なのか、貴方が自分で買ってきたものか、それを聞きたいの」と丁寧に質問してやっと理解してもらえた。
私の質問の仕方が悪いのかしら… 夫とはこういう感じで会話がまったくかみ合わないので本当に疲れるし、うんざりする。 昔から天然ボケではあったけど、歳を取るにつれ真剣なボケになってきてる。 気分はボケ老人と会話する感じ。 もうしゃべる気になれません。
アユムが私の傍らに来て照れくさそうに身をよじりながら宇宙語で何か交信してきた。 とりあえず理解しようと試みてみるも無理。 「えーわからないよぉー?」と言うと「えー?わからないのぉー?」といきなり明瞭な日本語でもって不機嫌な顔をされ、また宇宙語で交信を始める。 おい。
こちらのいう事はほとんど理解できているわけだよね。 なのに、何故相変わらず宇宙語の長文をしゃべりまくるんだろう。 単語でもいいから日本語をしゃべった方が理解しやすんですけどー アイを追いかける時なんかは「まってー!まってー!」とちゃんとしゃべってるし。 考えると赤ちゃん言葉で話しかけてないからかなぁ。 普通に話してるから覚えられないのかなぁ。 「おかーさん」の発音は不明瞭でも「ママ」ははっきり言えるもんね。 でも「ママ」なんて言われた日には恥ずかしさに身悶えしてしまいそう。 キャラじゃないって。
まぁ、このくらいのたどたどしい頃が一番可愛いんだろうから、あと何ヶ月しゃべるのかわからない宇宙語を楽しませていただこう。
夏期講習初日。 「つまんなかった…」とがっかりしてくるのを想像してた。 塾がそう楽しいものでもなかろう。 公開テストでは愛想の良い先生方も、授業となると別だろうし。 でもまぁこれも世間を知るという事だ。 その時は「それでも自分が行きたいって言ったんだから、頑張って最後まで続けなさい」と言い聞かせ、次は本当に塾が必要となった年齢になってからで良かろう。 そう思っていた。 しかしアイは「楽しかった」とご機嫌。 見ると算数はパズルのような頭の体操風問題。 国語は国語辞典の使い方で、誰が一番に引けるか競争したらしい。 「アイは二回も一番になったよ」と嬉しそう。はぁそうですか。
だって辞書の引き方なんてとっくに教えていたし。 ひけて当然じゃん。 頭の体操はアイが好きなTVのクイズ番組と似たようなものだし。 あああやっぱり一年生じゃこの程度よ〜 これなら家で教えてやれるじゃん〜 こんなのに大枚はたいたのか〜と内心がっくり。 それでもアイは貰った宿題のプリントに取り組みながら「早く明日にならないかなー」と言う。 「なんで」と聞くと「明日も塾だから」だそうな。 はぁ。
これでいいのかなぁ。 とりあえず、午後からはスイミングに行かせるけど、こちらは先日お姉ちゃん達とのテストの件があってからすっかり行く気が失せてしまっているようで。 私的にはスイミングに燃えて欲しいんだけどなー お姉ちゃん達という明確な目標というか、ライバルもいるわけだから切磋琢磨して上達していってほしいんだけど。
親子とはいえ、別の生き物。 双方の思うようにはいかないもんだ。
アイは今日から夏期講習。
……小学校一年生で夏期講習って。何の意味があるのかしら(遠い目) ってか、内容的にもまだ親が見て上げれるレベルなのに、高い金を払って塾に通わせるのってなんの意味が。
そう思いつつも、無い袖を振りまくって会費を払ってアイを送り出したのは、アイが塾に行きたいと希望するから。
まぁ、一時的なものだろう。 夏休みが始まって遊びに忙しくなったら宿題するのも手一杯になるんだろうし。 そう思って最初は申し込まなかった。 田舎の葬儀がいつ入るか分からないので予定を立てられないというのもあったし。
しかし夏休みが始まって、アイはまず朝顔の観察から始まって、夏休みの宿題と、赤●ン先生の問題をせっせとやる。 飽きてくると本を読む。 適当に幼児向け教育TVをアユムと眺めたりする。 「お友達を遊んでくれば?」と促すと、とりあえず帽子を被って出かけていくが、気がつくと一人で公園にぽつんといたり、集合住宅内の駐車場に一人でいたり、ととにかく一人でいる。 「●ちゃん達がいたから仲間に入れてもらったら?」と促しても、しばらくすると一人でうろうろしてたりする。 どこまでもマイペースなんだろう。 しかし女の子が一人でいるのも親としてはかなり不安。 お友達を見つけては「ほら、入れてもらったら?」と何度も送り出すが、結果は同じ。 「一緒に蝉取りしたんじゃないの?」と聞くと「だって蝉が可哀相だったもの」とつぶやく。 はぁ。
そんな感じで気がつくと一人で一年生の漢字一覧表なんか眺めてたりするアイ。 「塾に行く?」と聞くと「行きたい」と即答。 「アイはお友達と遊ぶより、塾に行きたい?」「うん」
こんなじゃいけないと思うんだけどなー アイって子供世界の人間関係についていけないで、勉強に逃げているような気がするんだけどなー 虫に触れないと仲間に入れてもらえないけれど、勉強すれば成果は点数となって明確に評価されるし、何より大人に誉めてもらえるし、そこが魅力なのかなぁ。 でも子供の頃ってそういうんじゃないって思うんだけどなー 点数に表れないものを体験して自分の中に積み重ねて成長していくものだと思うんだけどなー でもアイが勉強に逃避して、それで心が安らぐのなら、とりあえず気が済むまでやらせればいいのかなぁ。 成長して勉強以外の逃避方法を見つけてしまった時どうなるんだろうなぁ。 親としては健全な逃避先を示唆してやるしかできないのかな。 ってか、逃避したくなるって点で、すでに問題かと。 逃避しないで立ち向かっていく強さと柔軟さを身につけて欲しいけど、自分だってそんなもん身につけてないので、どうやれば身につくのか見当もつかないのでした。 はぁ。どうしよう。 とりあえず、夏期講習は通わせるけど、申込書の「希望中学」なんて欄、当然空欄でしたよ。 一年生だし、いいよね…。
スイミングのテストの日。 幼稚園OBのお姉ちゃん達と一緒にプールへ行ったアイは落ち込んで帰ってきた。 「どうしたの?」と聞くと「テスト、ごうかくしなかった」との事。 あらら、そりゃ落ち込むね。 「じゃぁ夏休みはプール頑張ろう。次のテストは受かるように一生懸命練習しようね」と慰める。 落ち込んだままのアイは「アイちゃんがかなしいと、おかあさんはうれしい?」とわけのわからない事を聞いてくる。 「なんで?」と驚いて聞くと、お姉ちゃん達に「アイちゃんがテスト落ちたらあたし達合格するからアイちゃん落ちたらいいのに」とわけのわからない事を言われたらしい。 そしてそのとおり、アイは落ちて、お姉ちゃん達は合格したので、かなりショックを受けてしまったよう。
あららー子供ってそういう意地悪言うよねぇ。 でもだからといってそれを100%真に受けるアイもどうかと。 いや、これも子供だから仕方ないのか。
「アイが悲しい時はお母さんも悲しいよ。アイが嬉しい時はお母さんも嬉しい。それが親子っていうの。アイちゃんがテスト落ちてがっかりしてたらお母さんもがっかりするし、合格して嬉しかったらお母さんも嬉しい。それが当たり前なのよ」と言い聞かせる。 「●ちゃん達はアイよりお姉さんだから、アイが自分より上手になったらいやだなーと思ったのね。アイも年長さんのH君がアイが出来ない逆上がりを上手にするのが羨ましいでしょ?そういう気分だったんだよ。でも気にしなくていいの。アイはアイのペースで練習していけばいいから。」 これで説明になっているかなー納得してもらえるかなーそもそもこの説明でいいのかなー 悩みつつもアイを見て話す。 アイは納得したのかどうか、「うん」と小さくうなずく。 「とにかく、アイが悲しいのをお母さんは喜んだりしないよ。アイが悲しい時は悲しいし、嬉しい時は嬉しいの、アイと一緒なんだからね」 くどいほど念を押す。 ここを履き違えられると後々面倒だ。 幼児期って何がトラウマになるんだかわからないから怖い。 何があっても、親の愛だけはなくならないのだ、としっかりしたものを植えつけておかなきゃ。 こういう点で無宗教は不利なのかな。 「どんな時もカミサマは見てらっしゃる」という究極の気休めがあれば、生きるのも結構どうにかなるのかもしれないなぁ。 親鸞聖人の教えでも話して聞かせるか。(←おい) でも宗教はキライ。それこそ、履き違えると面倒だから。
TVでとん●るずの番組をやってた。 芸人が芸が終わると舞台下に落下する場面でアユムは大笑いしていた。
…って、2歳で。お笑い番組(?)見て笑うって。
気のせいかと思っていたが、芸人が落ちるたび、アイと二人で大笑いしている。 うひゃー。こいつオムツも取れないくせに(←それは母の怠慢のせい)ギャグ見て笑ってやがるよ。
今朝は一人でリアル鬼ごっこならぬひとりかくれんぼをしていたアユム。 ひとりでかくれて「もーいーかー」「まーああよー」をエンドレスで繰り返してました。 いつ「もーいーよ」になるのか。誰が探してくれるのか。 ちょっと見守ってましたが(放置とも言う)きりが無かったので「みーつけた!」と捕まえてやりました。 前日、一つ二つ年齢が上のお友達がかくれんぼして遊んでいたのを見ていたのでそれを反芻していたのかと思われます。
いやはや、もうとりあえず色々分かってきちゃってるなぁ。 やっぱりこの夏は本腰入れてオムツはずしするかぁ… あー面倒臭い。ってか、おしっこ臭いのよね。 オムツはずしの練習期間の室内って。 室内消臭剤買ってきてスプレーしまくりながら頑張るかなぁ。 来年じゃダメかなぁー
町内の夏祭り。 子供達は毎年これを楽しみにしている。 カキ氷と綿菓子が食べ放題なのだ。 大人達もちょっと楽しみにしてる。 焼きそばとおにぎりがこれまた食べ放題なので、うまくいけば夕飯代わりになるのだ(笑 そんな老若男女の様々な思いを込めた(?)お祭り。
浴衣を引っ張り出しアイに着せる。 アユムにはアイのお下がりの甚平。 これはアイが1歳の時の誕生日に友達がくれたものだ。 アユムに着せるとぴったり。 暑いと嫌がるかと思いきや、大人しく着てくれる。 お姉ちゃんがいつもと違う格好をしているので納得したのか?
会場では子供たちが綿菓子を食べながらカキ氷の列に並んだり、カキ氷を食べながら綿菓子の列に並んだりと大忙し。 「これ、四杯目!」「僕なんか全種類食べたもんね!」と男の子達が張り合って報告に来てくれる。 「おなか壊すよ〜」と笑って注意するが、「次、いちご!」「僕メロン!」と聞く耳持たない。 アイも負けじとカキ氷を食べまくる。 「アユムちゃん、食べる?」と分けてくれる子供達。 口元に差し出された氷を喜んで食べるアユム。 それを見て喜ぶ子供達。
音楽に合わせて盆踊り。 お手本の大人の踊りを見ながら真剣な顔で踊る子供達、適当にだらだらと、それでも踊る六年生の男の子達。 来年はこの子達も中学生。 こうやってふざけて踊ったりカキ氷食い競争に夢中になるのも今年が最後かもね。
抽選会に一喜一憂。 100円ショップの景品に大喜び。 最近の100均は花火も売ってるのか。 アユムとアイの分のそれに「いいなー」と子供達。 帰り道に花火をする事になる。
大喜びで火をつけはしゃぐ子供達にほろ酔いの大人達が一緒にはしゃぐ。 やっと奥様方のご主人の顔も覚えてきた私。遅すぎ。
楽しい夏休みは目の前。
久しぶりに知人から葉書が届く。 早めの暑中見舞いかな…と見てみると、結婚の報告だった。 照れ屋の彼らしい、ちょっとひねったほのぼのした書面。
とても良い人なのに、仕事に追われてなかなか出会いを発展させる時間がなく、おまけに転勤族なので、色々難しい事もあったんだろう。 良かった!!彼なら絶対明るい幸せな家庭を築けるはず。 お祝いを贈らなきゃ。それとも電話でもしてみようかしら? 奥さんが出るかしら。彼が選んだ人だからきっと素晴らしい人だ。 久しぶりに楽しい出来事に心が弾む。 その数時間後、田舎から電話。
夫の従兄弟が死んだとのこと。 都会の孤独死。臭いに気づいた近所の人に発見されたらしい。 確認に行ったが、おそらく本人に間違いなかろうと義父。 警察の調査や書類上の手続きの問題等で遺体の引渡しがまだ先にになる。 火葬して、連れて帰って来るので、葬儀もそれからになる。 まだ日程は決められない、等。
ちょっと、感情の波が大きすぎた日だ。 こういうのは生きていれば時々ある。 母の長期入院が終わり、退院するその日の朝に祖母が死んだ時とか。 良い事と、悪い事は、時々こうして一緒にやってくる。 そして、大概良い事は悪い事に打ち消されて無くなってしまう事が多い。
今はただ、夫に事故死で先立たれ、長男にもこうして先立たれてしまったおばさんの嘆きが、少しでも早く癒される日を待ち望むばかりだが、その前に葬式用に子供達に黒い服を買いにバーゲンに行くか…とぼんやり考えたりと、考えがまとまらないでいる。
アユムは石ころを見つけると拾い、誰彼構わずそれを「はい」と渡してくれる。
今日のターゲットはアユムの一つ上のH君。 「はい」とアユムが渡した石ころをH君はお母さんに見せ「かーちゃんアユムちゃんがいしころくれた」と報告しに来た。 そして「アユムちゃんやさしい」と一言。
H君。 優しいのはアユムのはた迷惑な芸を優しいと思ってくれる君だよ。 そのまま大きくなっていってね。
アイが塾に行きたがっている。 例の学習塾の夏期講習のチラシを貰って、実力診断テストみたいなのを受けに行ったのがきっかけ。 この塾のテストが楽しかったらしく、記念品のペンなんかももらえたし結果もまぁ良かったのでアイは味をしめてしまった(?) 「夏休みに塾に行きたい」と言う。 うーん。別に良い中学目指してるわけじゃないのに一年生で塾ってどうかと。 だいたいそこ通うのちょっと不便だし。 そうこうしてると近所の●研の夏期講習のチラシがポストに入っていた。 ここなら近いから一人で通ってもらえるし楽かなー 何より、費用が学習塾の1/3ってのが一番の魅力。 さっそく体験を…と思うと、こちらも実力診断テスト。 まぁいいか、と参加すると、教室はマンションの一室でとてもアットホームな感じ。 一時間後に迎えに行くと、アイは一人だけベッドにねそべり本なんか読んでいた。 どうやらテストがすぐ終わったらしい。 うーん、こんな緊張感の無い教室にお金を払って通わせる意味あるのかなぁとちょっと悩む。 だって小1程度の勉強ならまだ親が見てあげれるわけだし。
テストの結果は満点だった。 ってことは、今の所学校と家庭学習で間に合っているって事よね。 ってか、今の学習内容ははっきりいって幼稚園ですでに習っている内容なので、アイ達にとっては復習にすぎないので理解できて当然なはず。 問題は二学期からの学習内容は初めて習う事ばかりってところ。 アイの真の実力が分かるのはそれからだろう。
そういう意味もあって、この夏休みは特に塾に通う必要性がないと思っているんだけれど、アイは「えー…塾行きたい」と言う。 なんでそこまで塾に行きたいんだろう?
学級通信に七夕の短冊に書いた皆の願い事が書かれていた。 「あいどるになりたい」「そらをとびたい」「およげるようになりますように」などと書かれた願い事の中でアイのそれは「さんすうのずけいがじょうずになりますように」だった。 うひゃーあんた一人浮きまくりじゃん!ってか、これ読んだお母さん達はきっとうちの事教育熱心な家だと思ったんじゃない? あんた算数の図形よりも逆上がりができますようにとか、自転車上手になりますように、とか、せめて水泳のテスト受かりますように、とか、そういう子供らしい願い事は思いつかなかったんかい!
この、アイの「塾に行きたい」という希望はかなえてやるべきなんだろうか。 一回体験させれば懲りて言わなくなるかもなぁとも思わないでもないんだけれど。 近所の●文は時間が合わないし。困った。
アイがどっぷりはまっているカードゲーム。 大概ずらりと順番待ちの列が出来ていて、軽く30分は待つ。 その間、アユムと私は適当にぶらつき、そろそろかな、と時間を見てゲーム機周辺に戻る。幼稚園児や小学生の女の子達が列を成してカードをスキャンさせ、ボタンを叩きまくるその姿を、ただ傍らで凝視しているだけだったアユム。
行列の無い時間帯。 ゲーム画面を見つめ続けるアユムに「たまにはやってみる?」とプレイさせてみる。 いつもお姉ちゃん達がやるのをじっと見て、終わるのを待ってるだけで、可哀相かなぁと思っていたのだ。
硬貨を入れるとアユムはいきなりゲームモードに入った。(え?) カードを握り締め、必死にスキャンさせる。 しかし身長が足りないアユムはうまくスキャンできない。 取り上げて代わりにやってあげようとすると激しく喚いて自分でやると抗議する。 な、なんだこいつ。 適当なカードなのでコーディネイトもなにもない。 それでも画面を凝視したままのアユム。 背中に青い炎が揺らめいているかのよう。 音楽が始まるや否や、激しくボタンを連打! 彼女なりにリズムに合わせているつもりらしいが、そこはまだ2歳児。 代わりに押してやろうとすると私の手を「邪魔!」「余計な事しないで!」といわんばかりに払いのける。ええええ??? 鬼気迫るような後姿に思わずひいてしまう母。
もちろん、一回もクリアーできませんでした。 「●△∵ぅkぁ〜!!(まだやる〜!!!)」と喚くアユムを抱きかかえ、その場を逃げる用に去りました。 この子って…。
次回からアイがやる時アユムもやると言い出すのかしら…とかなり不安。 余計な味を覚えさせてしまった、と後悔してます。
夏になるとミシンを引っ張り出す。 手芸品店で買った安い布を引っ張り出し、子供の服を縫う。 簡単なウエストゴムのスカートとか、ファスナー無しのゴムだらけのワンピースとか、そんなのしか縫えないけれど。 頭を空っぽにしてただ手順どおりに作業をしていけば、時間さえあればいつかは出来上がる。
ミシンを動かす時の空っぽの頭がいい。 「何縫ってるの?」とアイが嬉しそうに聞いてくる。 「アイのスカートよ」と言えばもうご機嫌だ。 ミシンを動かしている間はアイも近寄らない。 邪魔しないように大人しく自分で遊んでくれている。
でも別にアイの為に縫っているわけじゃない。 この、ミシンを使っている間は家事放棄。 母業はやりませんよ、という意思表示。 だって私は今「子供の為に服を縫っている」んですもの。 忙しくて他の事までできませんワ。 そういう正当な理由を振りかざして、自分の殻に篭もっているだけ。 空っぽの頭と空っぽの心でただ手を動かしているだけ。
出来上がったスカートを、アイは嬉しそうに着てみせる。 ピンクのそれを「お姫様のスカートみたい」と喜ぶ。
私は空っぽの心でその姿を眺める。
私の心がどうであれ、アイの心が喜びで満ちればそれでいい。 「子供の頃、お母さんがよく服を縫ってくれた」と暖かい思い出になって残ってくれたら良いと思う。 私の空っぽの心なんか気付かないままで。
先月一杯で会社を辞めた夫。 とりあえず、契約社員みたいな仕事を見つけてきたらしい。 だいたい見当はつく。 あの夫の唯一のお友達、会社が忙しすぎて鬱になって退職したTさんの影響だろう。 大体夫の鬱だって、Tさんの受け売りというか、感化されてってのが分かりきっていたし、一緒にいると会社の先は無い、無能な上司ばかりで話にならない、だの自分が通っている会社を貶しまくるのに異様なくらい盛り上がっていた二人だったもの。
実際夫の会社の唯一仲の良かった同期の方は、依願退職というか、早い話リストラされて現在契約社員で働いているらしい。 その方の影響もあるだろう。
でもね、鬱のお友達は独身だし、同期の方は夫より学歴があるし、子供は生まれたてが一人だけだし奥さんは手に職持っているから再就職も容易いし。 うちは子供二人なんですけど。 夫が出世できないのは無能なせいもあるだろうけれど、夫いわく仕事の能力より学歴優先の会社だからだ、という事だったらしい。 仕方ないじゃない。それが世間一般の風潮なんだし。 同じ能力あるんなら学歴のある方が有利だし。 おまけに私は何もまともな資格も持っていない専業主婦暦7年の社会不適合者なんですが。 うちが一番金がかかるってわかってても仕事辞めたんだよね。
あぁもう夫なんかどうでもいいや。 生活費さえ振り込んでくれればそれでいいから。 前の会社で単身赴任しててくれたほうが楽だったんだけどな。
TVで前の会社のCMが流れるたびにチャンネルを変えてしまう私。 こんな男と結婚するんじゃなかった。
暁
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