道院長の書きたい放題

2004年03月10日(水) ◇将棋・レスリング/知的格闘技☆

■この間、七日(日)に放映された、NHK杯将棋トーナメント「名人・羽生善治vs棋王・丸山忠久」戦は面白かったです。解説者が永世棋聖・米長邦雄氏と役者が揃い、観ていて面白いのなんのって。

対戦内容、後手の丸山九段が「八・五飛戦法」を用い、これは米長九段曰く、「もっともアマチュアに分かり辛い戦法=プロ好みの戦法」だそうで、もう、ハラハラドキドキでした。

終盤に先手、羽生名人に八・六歩という、「うん!?…これは悪手か?」と米長氏に言わしめた難解手が出。ところがこれが妙手で、羽生さんが勝ちました。

将棋番組で「面白いなー!」と思うのは、時間があると番組上で感想戦が行われることです。まあ野球などでも試合終了後、勝利者インタビューが行われますが、勝者、敗者共になって勝負所の手の内を検討することはありません。将棋(囲碁やチェスも同様でしょう)独特のものです。

羽生さんは天才(他にも将棋界には天才と呼ばれる人が何人かいます…)と呼ばれ、その名に恥じない成績を各棋戦で残しています。彼がまだ十代で四段の頃、讀賣新聞の将棋欄に載っていた記事が印象に残っています。

対局終了後、感想戦の内容をある八段の棋士が聞き、「そんなことまで読んでる!…あの男には到底勝てない、と感嘆の声を上げた」(要約)というものです。今回の感想戦でも、司会者の女流三段が「へぇー!」「ほォー!」と、羽生さんの常識外の読みにただただ感嘆してるんです。まっ、驚きました。

■それで内容が一週間遅れますが、女子レスリングのある番組が先先週の日曜日に放映されました。

「吉田沙保里vs山本聖子」戦を取材した番組でした。二人は吉田/55kg級世界チャンピオン、山本/59kg級世界チャンピオン。アテネ五輪行き一枚切符である55kg級の代表資格を得る為、両者で争われた死闘を取材したものでした。…もの凄い世界で、二人の勝つ為の執念と努力に、これも驚きました。

番組中で印象深かったことは、「…レスリングは体力だけではなく、知力の勝負でもある。相手の次の一手をどう読むか…。いよいよ後半戦がはじまる…」(放映ママ)というナレーションでした。

イイですね。格闘技でもただ力任せ、あるいは根性だけではね…。それと打撃系と組み技系では、勝負に関する感性が明らかに違います。吉田選手、山本選手の二人は最大の好敵手として、一回に止まらず何回も何回も対戦してるんです。

■そう言えば、昨年末「曙vsボブ・サップ」戦の後、負けた曙が「彼とはこれからも勝負して行きたい」(要約)と述べていましたが、曙は貴乃花と、同じく何度も何度も名勝負を繰り返しており、その延長線上に思考があったようです。

対して(プロ)打撃系では、この前、世界タイトル戦で四度目の対戦カードがありましたが、これなど例外で、三回あたりが限度のようです。

何でですかね。打撃系と組み技系では、観客の感性までもが違うんでしょうか。ちなみに、将棋でも同一対戦カードは多いですね。強ければ各棋戦で何度も当る訳で、ファンは、むしろそれを喜ぶものなのです。

最後に、勝った吉田選手より、負けた山本選手の涙交じりのインタビュウーが素敵だったので、全文を残しておきます。

■「聖子さんにとって、吉田選手はどんな存在ですか?」(アナウンサー)

「そうですね…、自分のレスリングを凄い伸ばしてくれた選手だと思います。もしサオリが出て来なくて、自分がそのまま勝っている存在だったら、きっと前へ努力しなかっただろうし、こんなに自分を追い込むこともしなかっただろうし、だから…凄い私の人間の幅もレスリングの幅も広げてくれた選手だと思います。もう絶対オリンピックで金メダルを取って来て欲しいです。ありがとうございました。」(放送ママ)

――勝負の世界に止まらず、二人の友情の絆が高まることを祈ります。



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【注意】本「書きたい放題」は気持ちの問題もあり、即日にアップします。ですので、当日中、あるいは翌日にかけ、表現の過不足を改める場合があります。印刷して読む場合は数日後にお願いします。

表現が異なったまま残るのは、私にしてみれば不本意であります。いずれ、リニューアル?=改訂して行きたいと考えています。★印なんか付けますか…。


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あつみ [MAIL]