| 2003年11月08日(土) |
■双龍出海(11)/順応型と非順応型・考 |
■「十字小手」と「略十字小手」は、手の触れた時の状態=上げ下げで技に名称が付いている。同じ発想で片手として考えるなら、「切り小手」と「巻き込み小手」も同じである。
ただしこちらは、手の上下で違うジャンル/切り小手系と逆小手系に分かれてしまう。寄り抜きも、内外の捻りによって、送り小手系と押し小手系になる。
■こんなことがあった。映画『少林寺』の撮影で中国に一月ほど滞在した際、彼の地で様々な貴重な体験をした内のひとつである――。
ある日、何が発端であったか、逆技のことでチョット論争になったのだ。野外ロケの最中、私たちも僧侶姿に扮し、出演者や老師方も混じって侃侃諤諤/カンカンガクガクをした。内容は逆小手の握り方というか、掛け方であった。
中国の(当代一流の)武術家達が、それ=逆小手(の握り方?)がおかしいというのだ。当然、私達は手の内側の握りを主張し、彼等も切り小手系である外側の握りを譲らず、言葉の問題もあり、結局うやむやになって終わった。
■…思い出した! 修行シーンの中に逆技を入れようという監督の発案に、では逆小手などはどうだろう、と示したのが発端であった。
彼等の握り方に当方は切り小手の存在を示すと、リー・リンチェン/現在のジェット・リー氏は合気道のような手を上に被せる?捕り方を見せてくれた。さしずめ、略切り小手であろうか…。
今、こうして双龍出海シリーズ?を書きたい放題していて、この問題は大変興味深い。つまり、中国人武術家達は、力に逆らわない、乃至自然体からの捕り方を主張したのである。『纏糸勁』(てんしけい)ということが影響していたのかもしれない。纏わり付くような捕り方=逆小手?であった…。
■対して、我々日本少林寺拳法は『鈎手の理』を使って攻撃方向を無力化した。その限り、反撃逆技が相手の力に逆らっても問題は無い。しかし実際は、我が方には両用の技が存在/混在?しているのだ。
問題点を述べる。
*鈎手には順応型と非順応型がある。
*それは、抜き、逆技の順応型と非順応型ということになる。
*この点、寄り抜きからの一連の変化構成は極めて順応型の体系である。
*切り小手系の片手の握りに対し順応型の鈎手で対応すれば、逆小手系で捕れると考える。そうでなければ巻き込み小手は成立しない。
*しかし、巻き込み小手には母技たる(順応型の)抜き技がない。教範には両手=諸手の技として載っているが、片手三角抜き?ではニュアンスが異なるであろう。
*巻き小手の握りで、例えば彼我が右中段に構えたとして、右手で相手の手を持って時計回りと反対方向に押し下げたとする。この抜き技と逆技がない。他の例もあるが、これ一例を上げておく。
*中野先生は諸手の「片手投げ切り返し」の際、切り返さない。できないと言われる。したがって、四指を掛けて引き倒すように順応して倒す。以前、山崎先生から諸手押し小手があったと聞いたことがある。これなら順応する。
以上、技術史的にも興味がある。また組織的な検討が必要であろう。
【注意】本「書きたい放題」は気持ちの問題もあり、即日にアップします。ですので、当日中、あるいは翌日にかけ、表現の過不足を改める場合があります。印刷して読む場合は数日後にお願いします。
表現が異なったまま残るのは、私にしてみれば不本意であります。いずれ、リニューアル?=改訂して行きたいと考えています。★印なんか付けます。
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