道院長の書きたい放題

2003年11月18日(火) ■双龍出海(12)/居捕り・考

■開祖が初めて拳法なる技法に接した場面。カッパブックスを読むと、小柄な陳老師に掛けられた逆技であり、固めであり、蹴飛ばされてノビたと述べられた通り、剛柔共々の荒っぽい出会いであった事が分かる。

興味深いことは、最初の逆技が“居捕り”だったことである。もっとも日本文化たる正座ではなく、椅子文化であった中国風の居捕りである。いずれにせよ、中国拳法でも居捕り技?が存在していたことが類推される。

さらに同書で、中国大陸から引き揚げの際、居捕りによる開祖の格闘場面も述べられている。

これは、開祖がすでに学んだ中国文化たる拳法を、相当速い段階で日本風にアレンジ=消化できていた証明である。

■一体に開祖が習われた中国拳法は、立ち技系の剛柔技が主であったと考えられる。しかし帰国後、護身というリアリズム、日本という風土に適合する護身術とするならば、(現在より遥かに身近であった生活習慣である)正座からの技法は無視できなかったのであろう。

面白いことに、椅子での居捕りが原点のはずなのに、逆に日本少林寺拳法では未発達になった。それにしても正座の居捕りでは、立ち技系で使える足捌きが使えない。伏虎系は確かに座位だが、正座である技法と根本的に異なる発想であると思う。そのことを日本風と述べた。

少林寺拳法の居捕りは伏虎構えとなるのが基本である。すなわち片足を立てて構える。剛法への配慮もあるのであろう。ちなみに、カッパブックスにある居捕りの格闘では、モデルをされている中野先生は伏虎構えを取られている。ただし、先生は居捕りからの技を膝立ちしないで行う場合がある…。

■少林寺拳法でもっとも非中国的?な技法は上げ抜きである。乃至、居座対居座の技法である(中野先生は膝抜き二種を指導して下さったことがある)。果たして足捌きを伴わない正座からの崩しと、中国拳法の崩しは本質的に同質であろうか…。

いやこれは、単に居捕りに止まらず「丹田=日本武道」を主とする技法と、「気=中国武道」を主とする技法の違いとなるのである。尚、“上げ抜き”も“伏虎構え”も昭和二十七年度版の初期教範に見られる。

私は少林寺拳法には二つの系統というか、本質的に異なるであろう技法が存在していると考えるのである。しかし別の表現をすれば、日中武術の融合が開祖によってなされたと言えるであろう。

さらなる研究が必要である。



【注意】本「書きたい放題」は気持ちの問題もあり、即日にアップします。ですので、当日中、あるいは翌日にかけ、表現の過不足を改める場合があります。印刷して読む場合は数日後にお願いします。

表現が異なったまま残るのは、私にしてみれば不本意であります。いずれ、リニューアル?=改訂して行きたいと考えています。★印なんか付けます。


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あつみ [MAIL]