| 2003年10月23日(木) |
■双龍出海(7)/秘伝?下振り子 |
■振り子について双龍出海からの立場で書きたい。通常、拳士が開足中段構えから行う突きを「振り子突き」と呼ぶ。しかし私は、これは単なる身体を捻る突きだと思っている。
少林寺拳法は連撃を多用する為、突き、特に逆突きの後は蹴りを意識した体重移動を行う。したがってその場合、結果、振り身=振り子のようになる。
単なる重心移動の突き、これが振り子突きと混同されているようである。さらにいえば、振り身受けと流水受けが混同されている。しかし今は触れない。
■教範に面白い記述がある。蛇突きについて、「…直線に比して“術化された突き”である」。この表現は他の基本技には無い。私は“術化された”という言葉に大変興味を覚える。
中野先生の小手抜きからの連反攻撃の形。抜きから蟹足しての中段突きが、この“術化された振り子突き”である。
先生曰く、「中段を突く場合は自分の顔が危ない。だから振り身をして、突いた反対側の拳は高めに顔を守るように構える」。
上の突き方は、相当に大きく振り身をされる独特の突きである。ちょっと補足すれば、引き手は高く取るのではなく、肩の脱力があるところに大きく振り身をされるので、結果、引き手が高くなるのである。
■このように振り子突きはすでに術であり、本来、法形・仁王拳に組み入れられるべきであったと考える。尚、振り子突き、振り身に関する教範の記述は以下の項目を参照されたい。
*教範「第五編・基本諸法/第八章・体捌」“振り身の名称と解説”の項。
*教範「第七編・剛法基本技/第三章・突蹴の基本訓練法」“単撃訓練”の項。
*教範「第七編・剛法基本技/第四章・突蹴の基本訓練法」“体捌きによる防技”の項。
■さて、前置きが長くなったが本題である。一般に少林寺拳法の振り身=振り子は上体を主にした体捌きである。乃至、顔を避ける意識で行われる。
対して、顔を避ける為に下体を意識する。乃至、下体を主にした振り身=振り子が存在する。秘伝?下振り子(“逆振り子”ともいいたい)である。これは膝と、特に股関節のリキミを抜いて実現する。
我左中段に構えている時、上段突きを左方に避ける場合は左膝(右股関節もある)で、右方に避ける場合は左股関節(右膝もある)を意識して下体を振る。すると上体を意識するより行い易い。
問題は股関節を基点とした場合、上体振り子とは重心が逆になるので蹴りが出ないことである。しかし、受けにはこの方=下振り子が適している場合がある。
■中野先生の“白蓮拳燕返し”の膝使いは独特であるが、素早い突きに上体を意識していてはこの膝の形は出来ない。下振り子を伴って出来ることに、やっと気が付いた。
また“上受け突き”の足の抜きが、上体の振り子を意識するのに比して、股関節の下振り子を意識した方が容易である。流水受けに併用すると体が容易に抜ける。さらに、柔法に併用すると技の威力が益す。この際は独特な使い方となる…。
双龍出海は肩のリキミを抜く。それは股関節にも通じる。肩と股関節は相関するからである。少林寺の拳士で肩に力が入り過ぎる人は、フラフープ?を行えば良いかもしれない…。
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