| 2003年08月14日(木) |
◆ＰＲＩＤＥ観戦(1)/打撃系の逆襲 |
合宿の二日目の夜、二回目？のコンパの最中、「今日は“プライド”で吉田や桜庭が出る」と誰かがささやいたので、こっそり抜け出して休息室の大型テレビで観戦しました。その後、５、６人の拳士も一緒になって観戦しました。皆さん、好きですね〜。
ビデオで検証して気が付いたことを述べたいと思います。
■最近の総合格闘技は、打撃系選手の巻き返しがされているようです。特に立ち打撃系ミルコ選手の戦略は抜群で、自身のフィールドでしか闘いません。
これは対タックル戦法＝定石を完成させた上でのことで、今後、この定石を打ち破らないと、タックル打撃系、タックル寝技系は相当の苦戦を強いられるでしょう…。
具体的な彼の対タックル戦法(裸体条件)は、
�”�ず相手の目線と自分の目線の位置/高さを合わせる。今回の闘いではミルコ選手、低くなった体勢からでも逆突きを放ったので、タックル打撃系、タックル寝技系はますますやり辛い…。
�▲織奪�ルは首と脇に弱点がある。これは太い胴体、腰部を抱える/両手を握り合う為に、腕を大きく開く為である。この点、相撲はマワシがあり、そこを掴むので両腕を開かなくても相手と組める。
＊相手が両腕を広げ上体に組もうとすると、脇を差し、掬い投げを打つ。あるいは首を挟んで振り投げる。
＊さらに低く来ると、目線を合わしているので素早く首を両腕で胸下に締め、下方に潰すことが出来る。後は膝攻撃。
以上は“ミルコ定石”と呼んで良いでしょう。
■彼を見ていると、関節技を深く練習しているとは思えません。もっぱら対タックルの防ぎ技、あるいは寝技からの逃れ方を練習するようで、これは防御であって攻撃ではありません。相手と組みさえしなければ、後は絶対有利な自身のフィールド/打撃の試合展開ですから…攻防技の見事な分業戦略といえましょう。
さらにこの試合、彼はどうも相手の目を狙ったようです。ボブサップ戦で証明されたように、ミルコ選手の左逆突きは想像以上に強烈のようで、その突きでもってボブチャンチン選手の左瞼を左ショートストレートでまず切り、ＫＯ直前、今度は右目を狙っていました。
相手の視力を奪い、ハイキックを狙う戦術だったのでしょう…。
■そんなミルコ選手の左ハイキックに思わぬ弱点があると思います。ビデオを良く見ると、この系統の蹴り全般に言えることでしょうか。
左ハイキックを蹴る直前、例えば右中段構えなら反対側の手、すなわち右手が大きく横に開くのです。どの身体動作よりも、これが先です。多分､重心の移動と関係した身体操作なのでしょう。
これは何を意味しているかというと、左構えのボブチャンチン選手にとって、向かって左側が安全地帯なのです。相手の腕が横に開く瞬間、自身が左に千鳥入り身をすれば良いのです。あるいは左側に振り身やら開き下がれば攻撃が緩和されます。彼等の身体能力をもってすれば、不可能なことではない筈です。
■それなのに、ボブチャンチン選手、不可解な動きをします。まずミルコ選手の右手が横に上がるにつれ、眼球がそれにつられ画面ではっきり動きます。自分が右フック(ロシアン・フックというらしい)が得意なので、それを一番警戒したのでしょうか…。
そうか…だから上体を右に倒し、左ハイキックに向かうが如く、まるで当たりに行くような動きとなったのでしょう。得意技が仇になった…。ここら辺り、一瞬の間でも心理が絡んで面白いですね。
…にしても、ミルコ選手、藤田選手との対戦の項（2002年01月28日(月) ＫＩ観戦！） で述べたように、自身の蹴りに瞬時に動体予測をかけることが出来るようです。
以上はビデオで動きを止めた上での話ですが、凄いですねー。
(続く)
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