道院長の書きたい放題

2003年08月15日(金) ◆PRIDE観戦(2)/戦略の転換を

■吉田選手と桜庭選手それぞれの試合は、改めて両選手の打撃攻防技の稚拙を露呈したものになりました。どちらもローキックが絡んで片方は防御技の稚拙、もう一方は攻撃技の稚拙です。

タックル打撃系、あるいはタックル寝技系は戦略の転換が必要のようです。どういうことかというと、ミルコ選手のように関節技やタックルは防ぎ技をもっぱらにして、攻撃は自分の得意技に絞るということです。

これを両者に置き換えると、例えば攻撃技として突き、蹴りを練習するのではなく、それの防ぎ方、手繰り方、体の寄せ方=入り身の仕方を練習する。いかに自分のフィールド/柔道やレスリングに持ち込むかを考えるのです。再三言うように、戦略が間違っているように思えます…。

■ですから吉田選手は、ヴァンダレイ・シウバ選手がどのようにローキックを捌いたか、自分の型に持ち込んだかを学ぶべきです。

シウバ選手は左構えの左内股を桜庭選手に攻撃された時(吉田選手も同様の攻撃をされた)、少林寺拳法の鶴立拳と反対の方向に膝を上げて攻撃を吸収し、その足を前に使いながら左上段突きとフック気味の右逆突きをすかさず決めました。見事な技でした。

吉田選手は得意な締め技で勝ちましたが、田村選手の執拗な同一場所へのローキックにまったく無策で、試合終了後、苦痛に顔を歪めました。確かに、それほどの痛みに耐えて勝利する精神力はたいしたものです。しかし今後の選手寿命を考えると、デフェンス、ないしそれからの反撃技をもっと研究するべきです。

■ビデオを見ていると打撃技を捕まえるはずの吉田選手、桜庭選手が打って出ているのです。まったく逆の試合展開です。吉田選手は開始早々、打撃技を仕掛けて田村選手のカウンター逆突きを簡単に食って早々にダウン。危ないところでした。

また、桜庭選手のローキックは股関節の位置が軸足=重心足の上に全く乗っていません。むしろ後方に引かれる状態での蹴りで、つまり稚拙でした。

それに輪をかけて、カウンターを狙っていたシウバ選手を読めずに“飛んで火に入った”ものですから、ひとたまりもありませんでした…。

■タックル打撃系、あるいはタックル寝技系の選手がより強い打撃選手と遭遇した時、マットに座り込んで誘うのは、プロとしての矜持が許さないでしょう。ですからそうしないで、いかに相手を自分のフィールドに引きずり込めるかを考えなければなりません。

打撃系とは違ったカウンター戦法(攻撃してくる手足を攻撃する。手繰って本体に寄る戦法)を取るべきです。この戦略、技術を確立しなければなりません。するとどうなるかというと、実力伯仲の場合、両者の長いにらみ合いが続くでしょう。

これは格闘家同士の心が闘っている訳で、これを楽しめない観客の前で試合をするのは本当は辛いですね…。


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あつみ [MAIL]