今回の夏季合宿は初日、台風の襲来があり、引率責任者として大変でした。しかしそれにもまして怖い思いをしましたので、ここに書き残しておきます。
■合宿は山派、湖派、川派などに分かれますが、私は断然、海派なのです。育ちが横浜の為、綺麗ではありませんが、海に親しみがあるのです。
それで、合宿にはふんだんに海水浴の時間が盛り込まれています。近年は二泊三日になりましたが、以前は三泊四日で四日間、泳ぎの時間を取っていたこともありました。もちろん、午前と夜の練習時間を取っての上ですョ。本山帰山した時だって、必ず海水浴はしていました。
■結構危ないことをやっていて、以前、静岡の御前崎の合宿で遊泳禁止だったにもかかわらず、一般部に手をつながせてその中で少年達を泳がせたこともあります。今振り返っても、よくぞ無事に済んだと神仏に感謝しています。あそこは、ただでさえ海が荒いのです…。
ここ２０年近く前から、夏季合宿は千葉の岩井に定着して現在に至っています。岩井海岸は遠浅の静かな湾で、地元の人に言わせると５０年間水難事故が無いと言います。
その安全なはずの岩井海岸で合宿１０日ほど前、水難事故がありました。４０ｍ沖で溺れて水死した、という新聞報道があったのです。なにか嫌な予感がしました…。
■初日は台風の為に泳ぎが出来ず、到着後の軽い練習と夜練、コンパのみで終了。そして次の日、まさしく台風一過の素晴らしい晴天となり、午前中の猛練習？のあと、午後は練習組と遊泳組に分かれて海岸に出ました。６０数名中、練習組は１０数名、圧倒的に皆泳ぎたいんです…。
私は泳ぎが好きで、毎年、麦わら帽子をかぶって一人沖に出て海水浴を楽しみます。富士山を眺めつつ、雑念を忘れてポカンと海に浮いているのは本当に楽しい…。
しかし台風の後ということもあり、多少のウネリや風、また頭の隅に新聞報道が残っていたのでしょう。例年とは比較にならないほどのところ、岸よりで泳いでいました。もちろん足は着きません。
■すると○窪クンが泳ぎ寄ってきました。続いて大きな声で私を呼びながら、○クンも泳いで来ました。ところが三人で立ち泳ぎとなった直後、○クンが突然「…先生、僕変です。助けを呼んで下さい」こう言ったのです。
私はなんの意味か分からず、「えぇー？」と聞き返すと、すでに「あぁー」と悲痛が声を発し始めました。こちらもパニックになり、後で聞くと○窪クンは○クンを支えようとしたのですが、自分が沈んで全然ダメだったそうです。
私は海岸に目をやり、ライフセーバーを探すのですが何処にいるかまったく分かりません。次に笛を吹こうとすると、このピリピリ鳴るタイプは水が入ると空鳴りしてしまいます。○クンの状態はどんどん悪くなって行きます。目を開いてなかったような…。
このままでは危ないので、「○○、(体を)横になって浮け！」と仰向けの姿勢を取らせ、再度、岸に向かって必死に手を振るのですが、波の音と人の歓声に虚しくかき消されてしまいます。
■運が良かったとしか言い様がありません…。そうこうしている内に、三人がわずかに流され、足が着く地点にズレたのに辛うじて救われました。他にも、
� �クンが鍛えているので、余力が残っていたこと。縦に沈んだらアウトだった。二人いても、多分何も出来なかったと思う…。
�∧冂瓦砲覆辰芯掌紂�岸に合図を送り続けなかったことで、○クンがパニックにならなかった。仰向けにさせたことも良かった。
�Ｄ�の流れが中潮の引き潮であったにもかかわらず、岸寄りに流されたこと。
�た景絞麁擦砲茲蠏�な予感がして沖目を避けていたこと。
などがあるでしょう。いずれにせよ、神仏のご加護があったと素直に感謝しています。
■○クンが後で言うには、「一人だったら死んでいました」そうです。
「何でそうなったんだ？」。私が理由を尋ねると、「前日遅くまで飲んでいたのと、日頃の疲労がたまっていたのが原因かもしれません」と答えました。
まあ…本当に怖かったです。私が沖で泳いでいるのは、死んでも良い？覚悟が出来ています。しかし道院生が目の前で溺れたら死なす訳にも行かず、かといって何も出来なかったことがショックでした。
海は怖い…。来年、安全対策を徹底します。
追伸：この件で、岩井海岸の観光協会(町会議員)に安全対策の徹底と、毎年監視している日本体育大学ライフセービング部に事件を報告しておきました。
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