道院長の書きたい放題

2001年11月08日(木) ■開と対の理!

■ 中段攻防における開と対の理!

□同じく法形を理解する上で、開き構えと対構えの関係について述べてみたいと思います。

胴を蹴っていると、蹴りやすい体位があることに気が付きます。対構えでは順蹴り、開き構えでは逆蹴りが行いやすいことに、異論はないでしょう。さらに、相手にやや前傾してもらえば最高です。

これはつまり、攻撃の進入路に正と逆(と言うか、正門に対して裏門か…)があるのです。胴体の部位は球体ではなく、楕円形であり、正面を向かない限り、向かってくる力の方向をスカす形を、ママとる場合があります。攻者、守者はこれを理解しなければなりません。どちらかが、この理を味方に付けた方が有利となります。


□正の方向

対構えでは順蹴り、順回し蹴り、逆の返し蹴り、逆の足刀蹴り(膝を押し出す系統)、逆の後ろ回転蹴り、順突き、順鈎突きなどが正の方向からの攻撃であり、守者にとっては危険な方向/進入路となります。

開き構えでは、逆蹴り、逆回し蹴り、順足刀蹴り(膝を押し出す系統)、順返し蹴り、逆突き、逆鈎突きなどが正の方向であり、守者にとっては同じく、危険な方向/進入路となります。

正の方向は、良く守らなければなりません。


□逆の方向は、全てこの反対になります。

例えば、開き構えの布陣を取れば、順蹴り、順回し蹴り、逆の足刀蹴り(膝を押し出す系統)、順突きなどは逆の方向。特に直線攻撃はスカし易い形となり、構えがしっかりしてさえいれば、慌てずに対処出来ます。

対構えでは、逆蹴り、逆回し蹴り、順足刀蹴り(膝を押し出す系統)、逆突きなどが逆の方向。特に直線攻撃はスカし易い形となります。

逆の方向は、前回、述べたように構えさえしっかりしていれば、かなりな無理攻めなのです。


□中段攻防の法形で考えてみましょう。

守者、左一字構え、攻者、左中段構え(例なので、法形の構え通りではない)の対構え。

正の方向を教えている法形。
◎十字受け蹴り◎下受け順蹴り◎金的膝受け波返し◎三防受け蹴り◎段蹴り波返しなど

逆の方向を教えている法形。
◎下受け蹴り◎三合拳横転身蹴りなど


守者 左一字構え、攻者右中段構え(例なので、法形の構え通りではない)の開き構え。

◎逆蹴り地一◎逆蹴り膝受け波返し◎逆蹴り地三◎三合拳半転身蹴りなどは、正の方向を教えている法形です。

◎払い受け蹴り◎下段返し◎中段返し◎払い受け地二などは逆の方向を教えている法形です。

以上となりますが、何か気が付くことはありませんか…?


□少林寺拳法の法形の場合、特に対蹴り中段攻防法について、100%、相手の裏を取ることがありません。これは不思議です。下段を蹴る足刀引き足波返しでは、相手の裏に出る攻防法がありますが…。

教範には“掛け手、挟み受け、払い受けは流す”などの記述があるのに、これはどう言うことなのでしょう。

――掛け手攻防法や流し手の攻防法をずいぶんと研究しました。で、中野先生に質問したのです。

「何故、少林寺拳法では蹴りに対して、相手の表/内に入る技法が多いのですか?」

「足の急所はほとんど内側にあり、そこは受けられる/叩かれると非常に痛いところである。だから、少林寺では体を内に捌き、足を受けるのである」


□つまり、少林寺拳法の剛法、特に対蹴りの技法は“受け技有り”のようなんですね。先生の中では…。確かに、足を掛け手で取ったり、流して倒したりすると、金的を蹴ったり、倒した後、蹴ったり叩く形となり、悲惨な戦い方になる恐れがあります。

受けられたら痛い、中段攻防の法形は痛くて正解だったのです。ウーン、良く考えられていますね! でも、修練する時は、気を付けましょうね。


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あつみ [MAIL]