空虚。
しずく。



 過去。続。

小学校2年生の夏休みが終わった頃。
新学期が始まる、始業式の日だった。
私は、リビングで学校の準備をしていた。
私には一つ違いの弟がいる。
今日も、一緒に学校に行こうと思っていた。
だけど、登校時間になっても弟は起きてこない。
私が見に行くと、弟は布団をかぶったまま言った。
「学校に行きたくない。」
衝撃だった。

「子供は学校に行って当たり前。」
まだ「不登校(登校拒否)」
は認められていなかった時代だった。
(今は、認められてきていると思う。)

とにかく、慌てた私は親にその事を言った。
母も父も驚き、母が弟を説得しようとした。
けれど、弟は応じない。
たまりかねた父親が弟の部屋に入って・・・。

怒鳴り声。衝撃音。弟の泣き声。

私は凍りついた。
初めて感じた、"恐怖"だった。
男性の怒鳴り声が怖いのは、
多分この出来事がトラウマになっているのだと思う。

弟は、結局学校に行かなかった。
その日以来、彼は一度も学校に行っていない。

ずっと、誰にも言えない痛みを抱えていたのかな。
私、何も知らなかったね。
気付いて、あげられなかったね。
誰よりも、近い場所にいたのに。
ごめんね。
ダメなお姉ちゃんでごめんね。

今も、弟に対する罪悪感は消えない。


小学2年生。初秋。

父に対する"恐怖"が芽生えた日。
そして、"私"の人生が変わった日。

続。

2001年11月17日(土)
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