A Thousand Blessings
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2006年02月21日(火) |
冨田ラボの新アルバム 『シップランチング』 |
冨田ラボこと冨田恵一の2ndアルバムがリリースされた。 本当に素晴らしい!何もかもが素晴らしい!説明するのももったいないほど素晴らしい! 素晴らしい、を3回続けて使用した時点で僕は評論家にはなれないな。(笑)
ようするに欠点が見つからないのだ。ホーンセクションとストリングセクション以外は 全て彼自身による演奏。(ただしドラムスは打ち込み。その話はのちほど) それにしてもベースもギターもキーボードも上手い。上手すぎる。 エンジニアも彼。録音場所もマンションの彼の部屋。 作曲・編曲も彼。最後の曲ではAOR系の味のあるヴォーカルまで披露している。 1962年北海道生まれ。僕の友人と同じ。これは関係ないか(笑)
1 まず曲がいい。転調の嵐も感動的だが、さりげないメロディーラインのものにも センスが光る。何度でも繰り返して聴きたくなるメロディ。 2 卓越したアレンジ。松任谷正隆(ユーミンのご亭主)のセンスに一番近いかな。 特に楽器の使い方と、その音のバランスの絶妙さといったらもう・・・。 3 1曲ずつ変わるゲストヴォーカル(インストナンバーもあるが)が、全て良い。 ケミストリーなんて見直してしまった。 4 極めて70年代色の濃いサウンドテイスト。アナログサウンドへのこだわり。 5 密室的な作業にありがちな独りよがりとか箱庭的な音づくりへ安易に 傾倒していく間違いを一箇所も犯していない。
どうだ!これだけ聴いてもすごいのはわかるだろうが。 最後に。
驚くべきは、ここで聴かれる全てのドラムスが打ち込みであるという点。 ホンモノそっくりとか、そういう次元を遥かに超えてしまっている昨今の打ち込み事情だが それでも一応タイコ叩きの僕としては、それが打ち込みかどうかの判断はつく。 と、思ってた。 どこで判断するかというと、微妙な「ズレ」の感覚。意識的であれ無意識であれ 生のドラムスには必ずズレが生じる。そしてそのズレが他の楽器(主にベースギター)と 重なったときにグルーヴが生まれる。つまり、その演奏にグルーヴがあるということは ズレが生じていることの証なのである。 すごいね。もうズレまで計算して打ち込んでいく時代なんだね。 センスがなければ不可能。ドラムスを実際に叩くだけではだめで、ドラムスを徹底的に 聴きこんだ者でなければズレをコンピューター上で再現する事は 絶対にできない。これは断言。 で、冨田恵一は、このアルバムでそれをやってのけている。しかも音色にまで神経が 行き届いている。これって、作った音ではなくて、誰かが叩いた音をサンプルとして ストックしてるのか?だとしたら、すごい数のサンプルではないだろうか。 それらのサンプルを分解し組み合わせ新たな架空のドラマーを作り出す アナログ感覚の作業にはどれほどの根気がいるのだろうか。
今年、日本人でこれ以上の感動的なアルバムを作れるアーチストがいるかなー?
響 一朗
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