A Thousand Blessings
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2005年07月16日(土) |
健’z with friends |
音楽評論家の萩原健太と元L-Rの黒沢健一による ユニット「健’z」の2ndアルバムが発売された。 全曲カヴァー曲である。 今回はヴォーカル&コーラスに高田みち子と曾我泰久が全面参加し、 ちょっとこれは傑作なんじゃない?というアルバムが出来上がった。
バックは萩原健太が弾くアコースティック・ギターのみ(いくつかの曲では パーカッションも使用)。 萩原のギターの腕前は噂には聞いていたが、いや、まさかここまで プロだとは・・ちょっと驚き。 複雑なコードの使用(もちろん必要性があっての使用)が随所に見られ 日頃からヴォイシングにこだわる萩原の面目躍如である。 非常に雄弁なギター。そういう表現がピッタリくるとおもう。
黒沢健一のヴォーカルは、完璧でしょう。 彼しか出せない独特な雰囲気があって、それが今回選曲された カヴァー曲にぴったり合っていて、実に気持ちがいい。 高田みち子の起用は、もう満塁ホームラン級の大正解! 聴き終えた後、僕には高田みち子以外に このアルバムに相応しい女性シンガーの名前は浮かんでこなかった。 彼女がソロをとるナンバーの瑞々しさと可憐さにしばし言葉をなくした。 コーラスも素晴らしい。 曾我泰久の参加でコーラスに厚みが出て、さらにそこに磨きがかかり、 洗練という表現に相応しい声のバランスが生まれた。
そして驚くべきは、その選曲。
1曲目にブライアン・ウィルソンとヴァン・ダイク・パークスの聖域 “サーフズ・アップ”をいきなり持ってくる大胆さ。 気が違ったかと思った(笑) 続けて「ペットサウンズ」収録の名曲“ドント・トーク”という掟破りの挙に 出るのだ。しかも3曲目は「サンフラワー」収録の“フォーエヴァー”だ! おいおい!と思わず突っ込みたくなるほど怖いもの知らずの選曲。 しかし、僕はこの3曲で打ちのめされた。 いい・・・。あまりにもいいのだ。 オリジナルに対するほとんど宗教的ともいえるリスペクト状態でありながら たとえば、アコギ一本で表現する意味をしっかりと提示しているから 頭が下がる。これは萩原健太の耳の良さがあって初めてなし得るものであると 考える。
ブレッドの名曲“ダイアリー”のカヴァーは、 もしかしたら今年聴いた一番のワクワクかもしれない。 ちょっと泣いてしまいそう。
みんな、買ったほうがいいと思うよ。マジで。
『健’z with friends』 2005.7.13発売
1 SURF'S UP(ビーチボーイズ) 2 DON'T TALK ( 同上 ) 3 FOREVER( 同上 ) 4 FOOLS RUSH IN(リッキー・ネルソン) 5 DIARY(ブレッド) 6 RUBY BABY(ディオン) 7 LEAVES THAT ARE GREEN(サイモン&ガーファンクル) 8 CALICO SKIES(ポール・マッカートニー) 9 THE NIGHT HAS A THOUSAND EYES(ボビー・ヴィー) 10 WILL YOU LOVE ME TOMORROW(キャロル・キング) 11 THIS I SWEAR(スカイライナーズ) 12 SAVE YOUR HEART FOR ME(ゲイリー・ルイス&ザ・プレイボーイズ)
参考までに1stアルバム「健'z」の曲目も 載せておきます。もちろんこれもカヴァー曲集! 泣ける選曲、、、っす。
『健'z』
1.VANILLA SKY(ポール・マッカートニー) 2.MELT AWAY(ブライアン・ウィルソン) 3.I JUST WASNT MADE FOR THESE TIMES(ビーチボーイズ) 4.BABY’S REQUEST(ウィングス) 5.EVERY NIGHT(ポール・マッカートニー) 6.HEART OF THE COUNTRY(ポール・マッカートニー) 7.SO BAD(ポール・マッカートニー) 8.JUNK(ポール・マッカートニー)
響 一朗
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