A Thousand Blessings
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2004年10月20日(水) |
BANK BANDのアルバム「沿志奏逢」 |
実際に今の僕はアポーの状態だ。
でもって、BANK BANDのアルバム「沿志奏逢」。
桜井和寿がその歌を歌うことにではなく、 桜井に歌われるその歌自身に興味があるのだよ。僕は。 要するにオリジナルで聴きたいと。そういう訳。
桜井和寿は自分が歌うべき歌を書いてるのだから、 それで完結しているのだと僕は考える。
たとえば、アルバム最後の隠しトラックに収められている 吉田拓郎の「あの」“イメージの詩”のカヴァー・ヴァージョンは あまりにも洗練されたバック演奏とフェイクをかましながら歌う 桜井のボーカルで跡形も無く意味を失ってしまっていること。 それをどう思う? 拓郎があの曲で言おうとした事は、 オリジナル・ヴァージョンで全て語り尽くされているわけなのだから。 大嫌いなアンプラグドと同じ発想。 当然、衝撃度は落ちている。
オリジナル・ヴァージョンを良く知る者にとって、 カヴァー・ヴァージョンとはどのように捉えるべきものなのか。
“HERO”は、あのイントロがあっての“HERO”なのである。 “優しい歌”は、あのコーラスがあっての“優しい歌”なのである。 “糸”は世間で騒ぐほど優れたカヴァーだとは思わない。 中島みゆきを聴きたまえ。 『どこにいたの 生きていたの』 この一節を聴くだけでその違いに気付くはず。 残念ながら、桜井は歌いこんでいない。 いや、あえてそう聴こえるようにしているのかもしれないが、 やはりみゆきとの差は歴然だ。 “カルアミルク”の不健全性を桜井は表現しきれない。
僕が気に入っているのは、3曲。
“僕たちの将来” “トーキョー・シティー・ヒエラルキー” “限りない欲望”
特に“限りない欲望”に圧倒された。とてつもない名唱。 演奏も凄いぞ。 このギターは桜井だよね?思わず、唸ってしまった。
「桜井和寿が選んだ20曲」をオリジナル・ヴァージョンで収録した CDを聴きたい。すっごく聴きたい。絶対に聴きたい。 僕はもう、そういうモードなのね。
もちろん、ap bankの存在意義を十分に理解した上での 単なるアルバム感想文である。
追記
12曲目の隠しトラックは拓郎の“イメージの詩”と 浜田省吾の“僕と彼女と週末に”の2パターンがあるそう。 それっていけないんじゃない? 2枚買わせるつもり? まあ、友だち同士でコピーしあってくれ、という意味なのかも しれないが、友だちがいない奴は2枚買うと思うよ。 たぶん。
響 一朗
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