A Thousand Blessings
2004年1月〜最新|ひとつ前に戻る|ひとつ先に進む
現在、生活苦の真っ只中。給料日までまだ12日もある。 っていうか、給料もらってからまだ17日しか経っていないのだが・・。 CD買ってるからだった。貧乏の理由は。あはははは・・・。
山田太一脚本のずっと昔のTBS名作ドラマに「さくらの唄」というのがあった。 一時期、半分本気でシナリオライターを目指した僕も、特にこのドラマは お気に入りだった。 若山富三郎と加藤治子の両親に樹木希林と桃井かおりと (名前忘れた)男の子の三人の子供たち。 樹木の亭主に美輪明宏。桃井があこがれる弟の家庭教師に田村正和。 様々な出来事が時に可笑しく時に哀しく描かれていく。 まさにホームドラマの決定打である!と僕は思ったものだ。
いつも最後にマッサージ師の若山富三郎が診療に行く場面で歌が流れた。 美空ひばりの“さくらの唄”だ。 これが聴きたくて、毎回、放送のエンディングを楽しみにしていたものだ。
ちょっと話はそれるが、 吉田拓郎は「いい曲だなぁ!と思うといつも筒美京平だった!」と語っている。 僕の場合は「すごい曲だなぁ!と思うといつも筒美京平で、 沁みる曲だなぁ・・・!と思うといつも三木たかしだった」になる。 話は戻る。
“さくらの唄”の作曲が三木たかしであることをつい数日前に知った。 これにはちょっと驚いた。 自分の感性に驚いたのだ。やはり心に沁みる曲は、三木たかしが書くものなのだ! という定理(?)みたいなものを発見した。 実は、この曲、歌手時代の三木たかし自身によって歌われていたという 事実も突きとめた。あ〜ら、おどろき! まったくヒットもせず、そのままになっていたのを番組の為に 美空ひばりがわざわざ歌ったのだそうだ。 作詞は、なかにし礼。
「なかにし礼アンソロジー〜昭和・忘れな歌〜」という3枚組が出ている。 そしてその3枚組はすでに僕の部屋のデスクの上にある。あははは・・・。 貧乏まっしぐら。水を飲んで暮らすか??
“さくらの唄”を聴くためだけに買った。というわけではなく、 やはりこういう風に、なかにし礼の全体像が見渡せる全集というものは 持っていなくてはいけない。 今でも、かつて発売された「阿久悠選集」を高いという理由で購入しなかった ことを悔いている。
なかにし礼も詩人だなぁ、と思う。 何でも書けるタイプの阿久悠とはちがって、 どちらかというと人間の悲しみや人生の虚しさといった負の部分を描くのが得意である。 さらに情念や恨み、といった部分にまで至ると、もう、なかにし礼にしか 描けない世界がリアルに見えてくる。
『何もかも 僕は失くしたの 生きてることがつらくてならぬ もしも僕が死んだら 友達に 卑怯な奴と 笑われるだろう 笑われるだろう 今の僕は何をしたらいいの こたえておくれ 別れた人よ これでみんないいんだ 悲しみも 君と見た夢も終わったことさ 終わったことさ 愛した君も 今頃は 僕のことを忘れて 幸福だろう おやすみを言わずに眠ろうか やさしく匂う 桜の下で 桜の下で 桜の下で』
響 一朗
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