A Thousand Blessings
2004年1月〜最新ひとつ前に戻るひとつ先に進む


2004年03月23日(火) ロッキンオン・ジャパン4月号の「桜井和寿ロングインタビュー」より。

「ロッキンオン・ジャパン4月号」の特集は、桜井和寿のロングインタビュー。
好きな音楽誌ではないが、この時点でミュージックマガジンは敗北。
インタビューの内容は言うまでもなく良い。実に良い。
桜井の発言すべてに賛同できる。
詳しくは本屋で立ち読みしていただくとして、
個人的に非常に興味深い箇所があった。
僕は仲間内では有名な筒美京平マニアだが、少なくとも
僕が知る範囲では、桜井の口から筒美京平の名前が出た記憶がない。
まあ、僕が桜井の熱狂的なファンになったのは、恥ずかしながら一年前からなので、
その前には筒美ことを語っていたかもしれない。

正直、ちょっと驚き、内容を読んで合点がいった。
最近も友人と、桜井のサビって最後に「もうひとつ」用意されてるよね!
なんていう会話をしていたばかりだ。
桜井のインタビューに「おお!」となるしかないだろう。
その部分を抜粋してみる。

『筒美京平さんとかの曲を聴いていると、
 「何なんだろうこの貪欲さは?」っていう。サビの中に、三重構造くらいで
 サビが織り込まれていたりして。
 これは何か「どうせこいつらわかんねえんだから。俺が徹底してサービス 
 精神でサビをいっぱい盛り込んでやんないと」って、リスナーを
 信頼していないのか(笑)はたまた、ものすごいサービス精神からやってる
 のか。どっちなんだろうなあって考えることがあって。
 でもそうこうしてる間に、その筒美さんがどういう思いでやっているか
 っていうことよりも、じゃあ、どういうことをテクニックとしてこっちは
 読み取れるだろうかっていうか、技術としてマニュアル化できるだろうか
 っていうのを、聴きながら読み取っていって。
 それを自分なりに、今度は作品にする時に出していく・・・。
 メロディー、普通にバーンって書いていった時に
 「これじゃあ筒美さんはオッケー出さないだろうなあ」と思ったら、
 なんか・・・・その人を超えたいと思うし。』

ということを桜井は考えているのだ。

作詞家としての桜井ばかりが語られがちだが、作曲家(これは曲を書く人という
単純な意味ではなく、プロの仕事として曲を書く人の事。)としての
凄さも語るべきだろう。
アルバム「it’a wonderful world」を聴いた時、
A&M系の職業作曲家が書いたような曲があって、
「桜井は想像していたよりずっと作曲の幅が広い」
というようなことを友人に語った覚えがある。
その時は漠然としていた考えが今はっきりとした形を持ってきた。
「筒美さんはオッケー出さないだろうなぁ」という部分。
筒美京平をここまで意識していると言う事。
職業作曲家。この響きが嫌ならプロの作曲家と言い換えてもいい。
これを桜井が目指していることが明確になった。
彼の作品に多く見られる転調の魅力は筒美京平譲りだったのだ。
そういえば新作の中の1曲“天頂バス”の天頂は「転調」に
引っ掛けているそうだ。
桜井は、まだ他人に曲を提供した事がない。(あったら、ごめん・・)
これは意外といえば意外だ。
これからの桜井の仕事上の展開からは、そういう可能性も生まれてくるだろう。
いずれソロアルバムも作るだろう。
それが何年後かは分からないが、楽しみに待っていたい。
もちろん、ミスチルはずっとミスチルのままでいて欲しいと願う。


響 一朗

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