A Thousand Blessings
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2004年03月13日(土) |
ECM「:rarum」シリーズ、吉田拓郎選曲の「ボブ・ディランBEST」。もっと知りたいアーチスト自身の声。 |
ECMレーベルにアーチスト自身の選曲による「:rarum」というシリーズが ある。 いくつかが国内盤でも発売されているのでジャケットをご覧になった方も いらっしゃるだろう。 僕も数枚購入し楽しませてもらっている。 僕はジャズファンだが、何故かECMを意識的に集中して聴いたことがなく、 いやむしろ非ECM的なものに惹かれていく傾向があった。 だから現在のようにECMの世界にはまると実に楽しい。 まだ聴けるジャズがこんなにあるんだ!という喜びでいっぱいだ。 友人のECMマニア曰く、今回の選曲にはECMファンが考えるベストと アーチストが考えるベストとの間に落差があるようだ。(僕にはまったく 分からないが) 最近ではパット・メセニーの「:rarum」でもそういう印象を受けたそうだ。 断言はもちろん出来ないが、おそらくアーチストは世間の人気・不人気には あまり左右されずに、もっと演奏やアレンジのディテールに こだわっているのではないだろうか? たとえば、たいした楽曲でなくても、何小節かスゴイ演奏が出来ちゃったとか、 メンバー間の楽しいやりとりが忘れられないとか、そういった 極めて個人的な感情に左右されているような気がするのだ。 そしてそれは、正しいと思うのだ。 日本のアーチストのベストアルバムは、単なるシングルの寄せ集めであったり、 ファンの支持率が高い曲を最優先した選曲であることがほとんどだが、 それは結局は単純に「売るための」商品に過ぎないと思う。 ベストアルバムをひとつの作品と捉えるECMのやり方は 十分に支持されるべきものだ。 カーラ・ブレイの「:rarumXV」を購入したが、 カーラ自身の考え方がよく分かる選曲だった、 と言いたいところだが、実はあんまりよくわからなかった。 僕なら、全曲選ばないけど(笑) まあ、それは言いすぎだが。 給料が入ったら、あと4〜5枚購入するつもりだ。
ベストアルバムといえば、その昔、吉田拓郎選曲による ボブ・ディランのベストLPが出ていた。 これは素晴らしい選曲だった。 人気・不人気を全く無視した、吉田拓郎の心に深く沁みついた作品ばかりなので、 ボブ・ディランを聴くと同時に吉田拓郎の世界観や人生観までもが 覗き見できてしまう面白さがあった。 当時、拓郎とディランに心酔していた僕は、 自分と拓郎の趣味が非常に似ていることに気付き小躍りして感動した 覚えがある。 あの極めて音楽的な「ベストアルバム」は何故かCD化されていない。 契約上の問題はないはずだ。それとも吉田拓郎=ディラン信奉者という 図式が今の人たちには理解されないために発売する意味がないと 考えているのだろうか?
余談だが、当時の吉田拓郎は「よしだたくろう」という風に平仮名で 記される事がほとんどだったと記憶する。 その昔、ザ・バンドとの共演話が現実味を帯びつつある頃、 あるラジオ番組で、たくろう自身が自作の元ネタをバラすという 画期的な企画があった。 “春だったね”がディランの“メンフィス・ブルース・アゲイン”、 “暑中お見舞い申し上げます”が同じくディランの“アイ・ウォント・ユー”、 “イメージの詩”もディランの“デソレイション・ロウ”と いった具合に数曲の元ネタが彼自身の解説つき(どういう理由でパクったとか、 どの部分をいただいた、とか)で実に楽しげにバラされていった。 結局、そのとき紹介された楽曲全ての元ネタがディランだったのだ。 現在の自分を作ったのはディランに他ならないということを ラジオを聴いているファンに伝えたかったのだろう。 今のアーチストにここまでの勇気はない。いや、勇気と言うより、 ある種の投げやりだったのかもしれない。 理由は何であれ、そこまでディランを崇拝していたたくろうは、 ディランのベストを選曲する事で、 自分の音楽人生の第一幕を終了させたかったのではないか?というのは考えすぎか? しかし、実際に彼はディラン的な作風からどんどん離れていく事になるのだから、 あながち僕の妄想とは言えまい。
さて、僕が知る限り、ひとりの外国人アーチストに絞って、 日本のアーチストが選曲したベストアルバムは、 拓郎のそれと山下達郎選曲の「ベンチャーズ・ベスト」(これも素晴らしい選曲!)、 それから山本精一(ボアダムス)やPANTAらが選曲した「フランクザッパ選集」 くらいしか知らない。 他にもあるかもしれないが思い出せない。 みなさん、そういうのに興味ありません? たとえばミスチルの桜井和寿選曲の「ビートルズはこれだぜ!20曲!」 とか、小山田圭吾選曲の「これで決まりだ!ブライアン・ウィルソン20曲!」 とか、遠藤賢司選曲の「ニール・ヤングと歌おう!20曲」とか。 考え出したらきりがないくらい面白い企画だと思う。 オリコンが絶対的な権威になっている我が国ではこういう企画物は 無理なのかしら?
だったら、こういう企画はどうだろう? むッ、盗まれる恐れがあるか?ま、盗まれてもいいや(笑)
日本の50アーチストに聞いた、 「あなたの人生にとっての10枚のアルバム」。 これを本で発売する。もちろんアルバムの写真は全てカラーで掲載。 値段は1200円くらい。 もし、この企画が実現したら、言い出しっぺは僕、墨田ですから(笑) とりあえず、50アーチストだけは選んでおいてあげよう。僕は親切だ。 ただし、嫌いな奴は選ばない。
1 桜井和寿(ミスチル) 2 鈴木JEN(ミスチル) 3 小沢健二(元・フリッパーズ・ギター) 4 小山田圭吾(元・フリッパーズ・ギター) 5 つんく♂ 6 筒美京平 7 三木たかし 8 直枝政広(カーネーション) 9 浅井健一(元・BJC) 10 大貫妙子 11 山下達郎 12 遠藤賢司 13 高田渡 14 大瀧詠一(元・はっぴいえんど) 15 細野晴臣(元・はっぴいえんど) 16 高橋幸宏(元・サディスティック・ミカ・バンド) 17 鈴木惣一朗(ワールド・スタンダード) 18 松本隆(元・はっぴいえんど) 19 鈴木慶一(ムーンライダース) 20 岸田繁(くるり) 21 菅野よう子 22 三上寛 23 横山剣(クレイジー・ケン・バンド) 24 早川美夫(元・ジャックス) 25 山本精一(ボアダムス) 26 ユーミン 27 鈴木博文(ムーンライダース) 28 荒木一郎 29 矢野顕子 30 曽我部恵一(元・サニー・デイ・サービス) 31 あがた森魚 32 玉置浩二(元・安全地帯) 33 白井良明(ムーンライダース) 34 坂本慎太郎(ゆらゆら帝国) 35 小西康陽(元・ピチカート・ファイブ) 36 小林武史(マイ・リトル・ラヴァー) 37 桑田佳祐(サザン・オールスターズ) 38 奥田民生 39 村上秀一 40 かまやつひろし(元・スパイダース) 41 高野寛 42 シュガー(バッファロー・ドーター) 43 大野由美子(バッファロー・ドーター) 44 加川良 45 久保田真琴(元・夕焼け楽団) 46 坂本龍一(元・YMO) 47 中島みゆき 48 「ロッカー73」こと墨田妖児のおふくろ(俳人) 49 友人のT氏(現・どうやら負け組らしい) 50 俺(現・どうやら負け組らしい)
響 一朗
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