A Thousand Blessings
2004年1月〜最新ひとつ前に戻るひとつ先に進む


2004年03月02日(火) シュートしろよ、坂本龍一!夏川りみに酔いながら呟く僕。

坂本龍一の新作「CHASM」の1曲目に“undercooled”という
曲が収録されている。
韓国人ラッパー、MCスナイパーによるラップナンバーなのだが、
その歌詞の内容はかなり辛辣だ。
作詞はMCスナイパー自身。もちろん作曲は坂本だ。

たとえばこういう事が語られている。

『忘れたの?
 果てしない人間の欲望で作り上げた過去の悲劇を
 「テロに屈するな」なんて奴らは言うけれど
 ふざけるな!命を犠牲にする戦いに何の価値もないのに
 武力で他人の土地を奪うために送られる兵士達
 弾圧と抑圧!
 正当化される殺人行為
 心の中で叫ぶ歌』

真っ直ぐなメッセージだと思う。

問題はこのメッセージを坂本は何故日本語と英語で伝えようとしなかったのか?
という点だ。
韓国語で語らせる事も重要だろう。
しかし、今は日本語で日本国民に、英語でアメリカ国民に
メッセージを伝えるべきなのではないだろうか。
1曲目に日本語ヴァージョンを、最後に英語ヴァージョンで収録したほうが
良かったと思う。
韓国語にしたことを坂本の「逃げ」とまでは言うつもりはないが、
たとえば、サッカーで言えば最高のセンタリングをシュートし損なったような
後味の悪さを残してしまった気がする。
今しかないそのチャンスを逃したことが、後々響いてくるのではないか?
世界のサカモトと言われるほどのアーチストなら影響力も絶大なはずだ。
(ちなみに歌詞カードには英訳・日本語訳が載っているが・・・。)



夏川りみの新作「沖縄の風」の1曲目、“海の彼方”が素晴らしい。
声があいかわらずいい。
どこか下世話でありながらそれでいて透き通ったその声の魅力の
虜になって随分経つ。
“涙そうそう”も収録されているが、やはり彼女のヴァージョンが
一番優れている。
芸術を志向する平原綾香に対し、
芸能を志向する夏川りみ。
共に極めて歌が上手いが、上手さの「意味」が随分と違うように思う。
「癒しの音楽」という言葉で語られる二人だが、僕は僕と同じ地平に立っている
(ように感じる)夏川りみの歌に癒される。
気がつくと「歌が上手い」ということを忘れて聴き入ってしまっている。
いい酒が喉をスっと通っていくあの感覚だ。


響 一朗

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