A Thousand Blessings
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2004年02月16日(月) 映画「マグノリア」ジョン・ブライオンのスコアー集。くるりの新曲「ロックンロール」

映画「マグノリア」のサントラ盤には2種類ある。
エイミー・マンの歌を中心とした国内盤と
映画で使われたジョン・ブライオンのスコアー集の輸入盤。
当然、両方揃えるべき。
国内サントラ盤の方の“wise up”はエイミー・マンが歌っているが
(それはそれで素晴らしい)、映画では出演者が順番に歌っていくという手法が
とられている。
僕はそのヴァージョンが大好きなので、何とかサントラに収めて欲しかった。
余談だが、国内盤に収録されたスーパー・トランプの2曲はいいぞ!懐かしいし。

さて特筆すべきは、ジョン・ブライオンの書いたスコアー。
国内盤では1曲だけ収められているが、輸入盤を聴くと
もう彼の世界が全開である。
昨日も書いたが、ジョンはフィオナ・アップル、ルーファス・ウェインライト、
イールズ、ブラッド・メルドーらのプロデューサー、
あるいは自身も演奏家として知られているが、
本当に知られるべきは作曲家としての才能。
映画の中でも感動的に使われていた音楽だが、
サントラ盤で聴くとその良さが実に良く分かる。
オケによる演奏なのだが、僕はまったく個人的な感想として(的外れだと恥かしいが)
バーナード・ハーマンという大映画音楽作家との共通点を見出した。
言うまでもなく、ヒッチコックの作品で有名になった作曲家だが、
他にも「タクシー・ドライバー」という名作の音楽も書いている。
情景描写と心象描写をシンクロさせたときの画面に最も適した音楽を書く才能。
そのへんの共通点をすごく感じた。

このスコアー集は、一般のサントラファンよりも先鋭的なロックファンの方が
その個性を理解できるのではないか?と僕は思う。
ミニマリズムの影響が濃く、旋律の不思議さとあいまって
独特な浮遊感を生み出している。ハマったら抜け出せない音楽だ。
特に2曲目の10分28秒と5曲目の6分12秒、
さらには6曲目の11分00秒は蟻地獄にハマっていく感覚だ。
ああ・・・このまま眠るように死んでしまいたい、と思う。



くるりの新曲“ロックンロール”を買った。
アルバム「図鑑」以来、くるりには注目している。
「図鑑」を最高傑作と考えていたが、この新曲を聴き
3月発売のニューアルバムへの期待が俄然高まってきた。
何ともいい曲だ。アレンジ・演奏もけれんがない正攻法なもので
こういう直球勝負は実に気持ちがいい。
複雑なテイストを醸し出す作品も作り出せる彼らがあえて挑んだ
ロックンロール。それは意味深いことだ。新たな決意表明とも言えるかもしれない。
カップリングの“さよなら春の日”もアイリッシュ・トラッド風の名曲だ。
こういう方向へも彼らは行けるのだな。なんて素敵な連中なんだろう。
もっと素敵な事がある。
このマキシシングルには2曲収録(“ワンダーフォーゲル”と“東京”のライブ演奏。
いいライブだぞ!)のDVDが初回特典としてついている。
それでもってお値段は1000円。
ゆらゆら帝国といい、くるりといい、本当によく分かっている。偉いぞ!




響 一朗

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