A Thousand Blessings
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2004年01月11日(日) ナオタロの“太陽”の胡散臭さ

森山直太朗(以下、ナオタロと表記)の新曲“太陽”を聴いた。
“さくら”で匂わせていたアナクロ的な軍国歌謡風味をさらに進化させた
言わば、21世紀型帝国主義歌謡時代の到来を告げる記念すべき作品だと、
みた。
自衛隊のイラク派遣のテーマソングは“太陽”に決まったな。

ナオタロ人気の異常な急上昇が、この曲が持つ本質的な不気味さを
見えにくくしてしまうのが、実は怖い。
小泉首相が登場した時と非常に似た構図だからだ。
そのうち、ナオタロの人気にも小泉と同じように翳りが見えてくるかも
しれない。しかし、そのときではもう遅いのだ。
国民の絶大な支持の元、小泉が何をやってきたか、
そして今何をしようとしているかを見れば、「それに気付く」ということの
重要性が分かると思う。
ナオタロはおそらく今年中に若者のカリスマになるに違いない。
彼が歌詞の中で描きつづける世界が幻想ではなく現実的に
極めて「意味のあること」として何の抵抗もなく受け入れられてしまうこと
に危惧を覚える。

『花咲き誇る小さな島にこれ以上何を望みますか?』

ナオタロの中では、今の日本は満足すべき方向に向かっているのだろう。
こういう問いかけはすべきではない。聴き手の「柔な良心」にとっては
反論しにくい命題を投げかけるいやらしさ。
これ以上を望むことが、あたかも「正しくない事」であるかのように
思いこませる、いわばこの曲のキャッチコピーとでも言うべき箇所である。
「小さな島」の前に「花咲き誇る」というほとんど阿呆とも言える
形容詞がついているが、これはナオタロの理念(というほどのものが
あるのか、知らんが)の明確な提示である。
ナオタロに傾倒すればするほど、「花咲きほこ」っているように
思えてくるのだろう。怖いな。まさに軍国歌謡そのもの。


『銀河に浮かぶこの辺鄙な星の60億分の物語
 草木も眠るあの聖なる夜に
 偶然あなたが生れ落ちた 輝く奇跡を信じ生きる』

「草木も眠る」などというまともな神経ならとても使えない表現を
突如用いてしまうナオタロの幼児性は横に置いておいて、
この歌詞の部分からは、容易にキリスト教への絶対的な賛美が感じとれる。
ブッシュも大喜びの箇所であろう。(ブッシュは聴かないだろうが)
キリスト教は世界を救う。キリスト教だけが世界を救う。
誤解は一人歩きするものだ。
もしもナオタロがキリスト教者でないのなら、
絶対に「聖なる夜」とか「奇跡」などという紛らわしい表現は
避けるべき。言葉の持つ意味やちからに無頓着では、いけない。


そのうち小泉は言い出すよ。見ててみな。
「Xジャパンもいいが、森山直太朗もいいね〜!!」って。

カップリングの“声”は、母親譲りのファルセットが
耳障りだ。


メニエール病を患っているので、
長い時間パソコンに向かっている事が辛い。
耳の奥でずっと虫が鳴いている。ジー、、ジー、、と。




響 一朗

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