GARTERGUNS’雑記帳

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エルドギアの科学力は世界一
2004年07月27日(火)

毎日暑いですね。
そして忙しないですね。
この時期になると、アイス片手にはしゃぎながら道をゆくプール帰りの小学生達一人一人に「足元がお留守ですぞ」と言いながらスライディングしたくて堪らなくなるTALK-Gですこんばんは。

さて、今日陽炎たつ中を台所の隅に放置されていたほうれん草の如くしおしおとくたびれ果てて帰ってきますと、配達用の宛名シールをぺたりと貼られたア・ダンボール箱が居間のテーブルの上に。
家に居た母に聞きますと、なんでもそれは親父が通販で衝動買いしたやたら高い人形なのだとか。
高い人形?ついに親父もスーパードルフィーにでも手を出したかなどと思っていたのですが実際はそんな事は無く、学研・大人の科学シリーズのからくり人形だったのでした。
自分で組み立てるこのからくり人形、ふたつある内「大江戸からくり人形」(カタカタとお茶を運んでくるアレ)は組み立て所要時間は1時間半ほどという事なのですが。
帰宅後すぐ組み立て始めたにも拘らず、5時間経った今も完成には至っておりません。頑張れ親父。

しかし「科学の実験」というのは良いですな!!
言葉の響きがもう既にワクワクですな!!
ガスバーナーでスチールウールを燃やしたり水素を燃やしたり勢い余って天井を焦がしたりした学生時代のあのときめきが、胸に押し寄せてきそうです。



―――――

*随分昔の話*




コンコン
ガチャ

「よ、ガルデン。何やってんだ、ベッドの上散らかして」
「あ、アデュー……」
「なんだ、また『エルドギア魔法科学実験セット』で遊んでたのか。
 今度は何だ?……何々、『自立歩行が可能なロボット・リュー』?
 あー知ってる知ってる、これ、今、凄い人気だよな」
「こら、触るな!」
「何だよ、ちょっと見せてくれたって良いだろ」
「お前はがさつだから壊しそうだ。部品を何処かに失くすかも知れん」
「ガルデンだって不器用な癖にさあ……こないだだって実験セットの『簡易ワープゲート』作ろうとして爆発させてただろ」
「あっ……あれは、少し力加減が巧くいかなかっただけで……他は完璧だったのだ!!」
「後で見たらパーツがかなり余ってたって聞いたけどな」
「……誰から」
「お前の従妹から」
「ナビアーー!!!」
「怒って呼んだって来ないぜ、カッツェんとこにお呼ばれだってさっき出てったから」
「…………」
「玄関のとこで会ってさ、少し留守にするけどお前の事宜しくって」
「……余計な事を……」
「…………」
「……何をニヤニヤしている」
「いや、俺ってお前のパートナーとしてナビアにも認められてるんだなあって。
 何つうのかな、家族公認、みたいな」
「たまたま其処に居たからそう言っただけだろう。
 お前なら図々しくも我が家の構造にやたらと詳しいから、茶菓子をすすめる手間も省けるしな!」
「ひ、酷え言い草だな。自分でお茶淹れて自分で菓子出して自分で勝手に食えってのかよ」
「そうだ、私はやらんからな。お前は客ではない」
「そうだな、俺は客なんかじゃなくて、もっとこう、深くて甘い関係者だもんな。
 こう……心も、体も……」
「……暑さで頭をやられたのか?」
「お前こそほっぺた真っ赤になってるぜ。普段は青白い癖に、こういう時はその長い耳の先っぽまで真っ赤になるんだよな、お前」
「……、………」
「わああ!!わ、判った、俺がふざけすぎた。
 あ、謝るからその手のハンダごてを下ろせ!こっちに向けるな、な?
 そ、そうだ、なんか持ってきてやろうか!その分だとどうせお前、朝から実験セットに夢中で何も食ってないんだろ?ちょっと休憩しておやつにしようぜ、おやつ!丁度いい時間だしな!キッチン借りるぜ!!」

バタバタ、ガチャッ、バタン

「……ふん……」



コンコン、ガチャ

「お待たせー!」
「……ああ」
「何だよ、休憩しようって言ったのに、ずっと続けてたのか。
 あんまり根詰めると却って巧くいかないぜ、体にも悪いしな」
「しかし、まだ半分も出来ていない……」
「そんな急がなくても、ゆっくり時間かけて楽しみながらやれば良いだろ。
 ほらほら、さっさと片付ける」
「……うう……」
「そんな顔しなくても、取り上げたりなんかしないって。
 傷付くよなあ、恋人が作ったおやつよりも科学実験セットの方が良いなんて……」
「そ、そういう訳では……」
「そうだよな、やっぱり俺の作ったおやつの方が良いよな!
 ガルデンならそう言ってくれると思ったぜ!」
「…………」
「溜息なんかついたって駄目だぜ、ちゃんと食べろよ。
 ……ベッドじゃ手狭かな、テーブルの方行くか?」
「……いい。このまま此処で食べる」
「おう、じゃあとりあえずその科学セットはこっちに置いとくからな」

カチャカチャ

「これ、サンドイッチな。中身はハムとチーズときゅうり、卵焼きの四つ。
 一口サイズだから、お前でも気軽につまめるだろ?
 で、こっちがフルーツの盛り合わせと、飲み物は紅茶な。夏バテにも良いらしいからな。
 それから、棚に入ってたのをちょいと失敬してきたアップルパイを温めて、上にバニラアイスをこう、のっけてとろかして……どうだよこれ、溶け出したバターと林檎とアイスクリームが皿の上で綺麗に層になってるだろ?!」
「見れば判る」
「……そうだな」
「……お前の分は?」
「こんなに沢山、食べきれないだろお前。いっしょに食うから大丈夫」
「お前には足りないのでは?」
「や、作ってる間に結構つまみ食いしちまったからさ。
 気にしないで良いよ。
 それより、早く食べようぜ。どれが良い?」
「……言っておくが、自分で食べられるからな。
 お前の手は借りんからな」
「ちぇー」



「……ガルデン、口元にクリームついてる」
「見え透いた嘘を言いながら顔を近づけてくるな。
 お前など鼻の頭についているではないか」
「え、マジで?!」
「嘘だ」
「……………」



「ああ……何か腹いっぱいになったら……眠くなってきたな……」
「寝るならそちらのソファで寝ろ。
 ……ベッドに入ってくるな!」
「あー、眠い眠い……むにゃむにゃ」
「目をぎらぎらさせながら何を言っているのだ貴様は!」
「いや、だってさあ……お前、放っといたらまたあの実験セットに没頭しちまいそうだし」
「それの何処が悪い……、……
 !
 ど、何処を触っている!!」
「やっぱり俺は金属板やネジよりも、お前の肌の方が好きだな」
「そんな事は訊いておらん!
 え、ええい止めんか!離せ!!誰か帰ってきたらどうするつもりだ!?」
「誰も帰ってこないって。ナビアが言ってたぜ、皆暫く留守にしてるんだろ。
 だから俺にお前の事『宜しく』って言ったんだろう」
「……〜〜〜」
「また真っ赤になってるぜ。
 気難しいハイエルフ連中の中で、いっとう判り易いよな、お前って」
「………、……」
「そんな固くならなくても。俺が怖い事しないの知ってるだろ。
 な。いつもと一緒だって」
「……。………」
「ほら、ちゃんとこっち向いてみろよ……」







……かち、かちゃ、…パチン


「……ん……何やってんだ、ガルデン」
「……起こしてしまったか」
「……何だよ、また実験セットやってたのか。
 隣に愛しい男が寝てるってのに、つれないなあ」

カチ、カチ、パキン

「なあ……それってそんなに良いもんか?」
「…………」
「つうかさ、お前が作ってるのって、『リュー』シリーズん中でも組み立てが結構難しいやつじゃなかったっけ?ギミックが結構沢山あって、回路系統がややこしくてさ」
「…………」
「手先の器用なサルトビやヒッテルにも手伝って貰ったら、もっと楽に組み上がるんじゃ……」

カチ……

「……駄目なのだ、これは……」
「え?」
「これだけは、私ひとりで組み立てないと」
「……なんで」
「そんな気分なのだ。本当は私は余り『リュー』には興味は無かった。
 けれど、これだけは私が自分だけの力で組み立てないといけない気がするのだ」

……ぱき、ぱき、カチャ



―――――

そうして出来上がったのがシュテルだとか、そんな話。
主題がボケてしまっていますが。ああ。
以前何処かで書いた気がしますが、リューというものが本当は「神様」がホビーとして作ったプラモデルみたいなもので、それを人間たちが勝手に有り難がっている、とか、そんなだと良いなあと思いました。
もしくは病気がちでいつもベッドの上のハイエルフが、自由への憧れや自分の大事なものを守って欲しいと言う思いを込めて作った人形が魂を得た、みたいな。大映の大魔神ですか。

後、ガルデンの一族とナビアの一族に何か血縁みたいなのが有っても良いなあと妄想しています。
特殊能力を持つエルフ萌え。



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