GARTERGUNS’雑記帳

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お題018
2004年06月15日(火)

018:ハーモニカ



プァー パー ファファー


風に乗って何処からか、柔らかく丸い音色が流れてくる。
視線をやればヒッテルが、子供たちに囲まれてハーモニカを吹いていた。

「兄ちゃんはああいうのん得意でなあ」

ガルデンにお茶を勧めながらカッツェが言う。

「泣いとった子や喧嘩し取った子らも、兄ちゃんのハーモニカが始まったらぴたっと大人しゅうなるんや」

一見無造作で、ただ鳴らしている様にしか聞こえない音の羅列……
けれど、じっと耳を済ませてみれば、いつか何処かで聴いた事のある様な、そんな不思議な感覚を揺り起こす。
それと同時に、あるはずの無い郷愁までも。
彼等とは違う「血」を持っていても……例え故郷に還る事すらない漂泊の民であっても、この心に刻まれたものは変わらないのだと―――――
無のレベルまで下りてゆく意識に命じられるままに、ガルデンの唇から歌が零れ落ちる。


「みんなまーるくタケモトピアノ……♪」


「……何か言うたか?」
「いや……」

カッツェの胡乱な視線に、茶を飲みながらガルデンは首を振った。



ファーファーファファ プァーパー



―――――

ごめんなさい。



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