002:階段 パティは何故か階段が好きだった。 階段を見つけると、とととっと走って行く。 のみならず、同行者にも「こっちから行きましょ」と主張する。 それが例え回り道になるとしても、階段を使って行くと頑固に言うのだ。 「何故だ?」 或る日ガルデンが、パフリシア城内でも特に長く続く階段を登りながらそう尋ねてみると。 その一段先を行くパティがふっと振り向き、立ち止まった。 「……ああ」 「ね」 合点するガルデンと、にっこり笑うパティ。 いつもなら見下ろしている彼女のすみれ色の瞳は、今は自分と同じ高さにあった。 ――――― 「文字書きさんに100のお題」配布元:Project SIGN[ef]F さま
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