TOM's Diary
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2011年03月14日(月) 続き-(2)

では、放射性物質とはなにか?

放射性物質とは放射能を持つ物質のことである。
ウランやプルトニウムと言った放射性元素は当然放射性物質だ。
そのほか外部から放射線を受けることによって生成された放射性同位体などもある。

放射性同位体は比較的身近にある。
たとえば年代測定に使われる炭素14は普通の炭素12の同位体(判りやすく書くと重さが違うだけの同じ物質)である。
宇宙からやってくる中性子線と空気中の窒素原子が反応して炭素14が出来上がる。
炭素14は半減期が判っているので、古墳などから出土したものの炭素14の量を測定すると時代がわかる。

放射性物質のなにが危険なのか?

自然界においては、危険はあまりない。
ウラン鉱床などに行かなくても、普通に放射線には被爆している。
さらに宇宙からも中性子線などは飛んできており、また食物などにも含まれておりこれらの体内被爆も含めると、年間で2.4ミリシーベルトくらいはみんな被爆している。
ブラジルのどこだかに1年居れば10ミリシーベルトは被爆するし、CTスキャンを一回受ければ7ミリシーベルトである。

(1シーベルトは、1000ミリシーベルト、1ミリシーベルトは1000マイクロシーベルト。)


放射性物質が一箇所に固まって存在すると、核反応が一気に起こり数百ミリシーベルト、あるいは数千ミリシーベルトと言った放射線が放出されることがある。
このようなことは様々な条件(量、濃度、形状、周囲の状況など)整わないと発生しないのだが、地球上で自然界で発生したこともある。(オクロの天然原子炉)

原子力発電所は人間の手によりコントロールされた状態で核分裂反応が連鎖を引き起こさないレベルに制御されているのが通常の状態である。
これが人間の手で制御できなくなることを事故と言い、中でも勝手に核分裂反応が進む状態にまでなると臨界に達した、あるいは臨界事故と呼ぶ。

なお、臨界に達したからと言ってすぐさま核爆発にはならない。
核爆発にまで発展させるには相当の技術が必要であり、北朝鮮でも核実験は行われているが、故意に核爆発を起こそうとしているのにも関わらず、成功したという話はない。
それだけ核爆発は起こりにくいのである。

現在福島第一原発では、燃料棒の間に制御棒と言うものが差し込まれており、このまま暴走が続いても臨界に達するまでには、炉心の構造的な崩壊などが無い限り臨界には達しないはず。

炉心の構造的な崩壊と言うと炉心溶融と言う現象もその一つであろう。
冷却が十分に出来ずに燃料が溶け出すことである。
テレビを見ていたら、溶けた燃料が炉心の底に貯まって臨界に達するとか・・・
確かにスリーマイル島事故では溶けた燃料が底に貯まったけど、臨界には達していない。

核反応の連鎖反応は、次のようにして起こります。

1)ウラン235で核分裂が発生する。
2)熱と高速中性子が放出される。
3)周囲の減速材で高速中性子が減速され熱中性子に変わる。
 (福島第一原発では水が減速材を兼ねている)
4)熱中性子が他のウラン235に吸収される。
5)熱中性子を吸収したウラン235で核分裂が発生する。

もし、水が抜けると高速中性子が減速されずにウラン235に吸収されない。
そのため、連鎖反応は起きない。

また、制御棒が挿入されていれば、高速中性子が遮蔽されるため、次のウラン235に届かない。
そのため、連鎖反応は抑制される。

さらに、燃料棒の内部で核分裂が起きても発生した高速中性子は、すぐそばにあるウラン235に吸収されないで出て行ってしまう。
よって、連鎖反応は起きない。

炉心の底に貯まった溶けた燃料棒の内部では、どんなにたくさん貯まっていても燃料棒内部の反応と同じで連鎖反応は起きない。つまり臨界に達することはないのである。

まぁ、これらは理論上の話であって、保障はしないけど。

現実にスリーマイル島の事故の調査結果とかを見ても、冷却材喪失事故と書いてはあるが、臨界事故とは書かれていない。


なお、この先は私の推測で申し訳ないが、
空焚きで炉心溶融した高熱の炉心に水(海水でも良い)を注入すると水蒸気爆発を起こしかねない。それでも注水は続けられている。炉心溶融は起きていないのか?
水蒸気爆発の勢いはすごい。炉心を吹きとばし、スリーマイル島どころか一気にチェルノブイリなみの事故になってしまう。

原子炉建屋の屋根が吹き飛ぶ爆発を起こしているということは、燃料棒の被覆管のジルコニウムが反応して水素が出ているのは間違いないだろう。だが、冷却水は上から無くなっていく。上部だけが溶融し、下部については、一時的な空焚き状態になってしまったとしても、十分に低温状態のままなのであろう。だから注水が続けられているのだと思う。
上部の熱は熱伝導によって、下部に伝わり、冷却水で冷やされる。
満タンにしちゃうと高熱になった燃料棒に触れて水蒸気爆発を起こしてしまう。
原発の技術者たちは絶妙な制御を行っているんだと思う。


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