TOM's Diary
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2005年04月21日(木) 浮揚装置

S氏はなかなか夢で思いついた発明の内容を思い出せなかった。

思い出せないのなら、改めて考えればよい。
だが、夢の内容さえよく覚えていなかった。
とにかく、ふわふわと水の中を浮かんでいるような気分だけは覚えていた。

そうか、空気の密度を上げれば人間の浮力が大きくなるので
浮かぶことができるに違いない。そう考えたとたんに昨夜の
夢が思い出されてきた。

さっそくS氏は空気の密度を上げる装置を作った。
装置は身体に装着することができるようにベルト式にした。
このベルトのバックル部分を中心に半径1mほどの空気の密度が高くなる。

S氏はベルトを装着しスイッチを入れた。
すると周りの景色歪んで見えた。
空気の密度が変わったので光が屈折したのだ。
どうやら、装置はうまく作動しているようだ。
恐る恐る足を床から放すと体がふんわりと浮かんだ。

よし、よし。
夢で見たように上昇してみよう。
S氏は素もぐりの要領で天井を目指した。

しかし、上に上がろうとするのだがすぐに落ちてしまう。
原因はすぐに判った。
S氏が上昇するとベルトも上昇する。
ベルトが上昇すると空気密度が高い部分も一緒に上昇しようとする。
しかし、周りの空気よりも重たい空気密度が高い部分は重力で下に落ちてしまう。
だから、床の上に浮かんでいることしかできなかったのだ。

だったら、密度の高い空気が下に下りていっても上から補充される
空気をすぐに密度を上げてやれば浮かんでいられるに違いない。
S氏は装置のパワーをあげてみることにした。
幸いパワーの調整はスイッチの横に付けたダイヤルで調整できるようにしてあった。

S氏はそのダイヤルをひねった。
すると、上から空気がどんどん流れ込んできた。
目一杯ダイヤルをひねった。
すると、さらに強い空気の流れができた。
しかし、身体が浮かびあがるほどではない。

そこでバッテリーが切れてしまった。

S氏は100V仕様に装置を作り替えた。
また、装置のパワーもさらにアップさせた。

さっそくスイッチを入れると猛烈な空気の流れが発生し、
S氏の身体は浮上し始めた。ダイヤルを少しづつひねると
浮上速度は増したが、まるでヘリコプターの下にいるような
猛烈な風に呼吸が苦しくなるほどだった。

・・・S氏は思った。
これって、プロペラこそ付いていないもののヘリコプターの
原理と一緒じゃないか?
こんなことならヘリコプターの方がはるかに楽じゃないか?

S氏がそんなことを考えている間に、天井にたどり着いた。
下を見下ろすと猛烈な風で部屋はめちゃくちゃである。
その途端、電源のブレーカーが落ちた。

一瞬にして風が止んだ。
幸いにしてクッションの上に落ちたためS氏に怪我は無かったが、
部屋の後片付けをする元気は残っていなかった。


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