TOM's Diary
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S氏はどこか懐かしい感じのする田んぼのあぜ道をあるいていた。 この道はどこまで続くのか。 目的地はまったく見えてこない。 気が遠くなる感じがする。
いや、歩いている感じがしない。 そう言えばなんとなく浮いている感じがする。 身体を上に引上げるように少し身体を動かすとすーっと空中に浮かんだ。 まるで水中にいるようだ。 もう一度身体を動かすとさらに高く上がる。 どのくらいまで上がるのだろう。 何度も身体を動かすとどんどん上がっていく。
10mくらいの高さに達したところで鳥が飛んできた。 それを避けるために少し高度をさげた。 少し右にそれてしまった。 左に身体を動かして道の上に戻る。
最初はうまく向きや高さをコントロールできなかった。 だが、なんども試すうちにだいたい思い通りに移動できるようなった。
なにも道沿いに進む必要はない。 目的地の方へ向きをかえる。 泳ぐようにして前に進む。
歩くよりははるかに楽だがそれでも移動しているのは疲れる。 だが、休憩するのも安楽だ。 なにしろ空中に浮かんでいるのだから。 もちろん力を抜くとゆっくりと地面に降りていく。 しかし、高度を十分にとっておけば十分にやすめる。
S氏は高度を十分にとって、からだの力を抜いて休憩を取ろうとした。 しかし、からだの力を抜いた途端、一気に落ち始めた。
S氏はビクン!として、目がさめた。 まだ夜は明けていなかった。 S氏は疲れきっていた。なのに目が覚めてしまったことに 苛立ちを覚える。さっきの夢もとても心地よい夢だった。 今見た夢はあまり覚えていなかったが、空中を飛んでいる ことは覚えていた。 もう一度同じ夢を見ようと寝る努力をする。
そうだ、この夢を実現できる良い装置はできないだろうか? S氏はまだ十分に目覚めていない頭で考えた。
そうだ! S氏は良い方法を考えついた。
さっそくメモを取ろうとするが、なかなか体が言うことを きかない。必死になってメモ用紙を手に取ろうとするのだが 途中で力尽きるように、再度夢の世界に陥ってしまう。 夢の中ではなんとかメモ用紙を手に取るのだが、なにを メモしようとしていたのか忘れてしまう。はっとして 目が覚めるのだが、またメモ用紙を取ろうとして力尽きてしまう。
そんなことを繰り返している内に朝がやってきた。 S氏は寝る前よりもはるかに疲れているように感じた。
重たい身体を必死になってベットから引きずりだす。 そう言えば夜中にすごい発明をしたような気がしたが、 どうしても思い出せなかった。 もしかしたら、発明したこと自体が夢だったのかもしれない。 そもそもなにを発明したのかさえも覚えていなかった。
とにかくS氏ははやく夜が来て夢の続きをみたいと思った。 もちろん、今まで夢の続きを見られたことは一度もないのだが・・・
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