Leaflets of the Rikyu Rat
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2006年12月03日(日) 生きた男の一部分

感情は時間と共に風化しその間にまた別の感情が芽生える。或いは変遷する。

殺意は慈愛へ
憎しみは懐古へ
理性は感情へ

それが良いことなのか悪いことなのかは判らない。
けれど己の変化を認めれば良いと思う。思う。
理性は感情へ変わりまた別の理性が僕を秩序立てる。
そのようにして僕は更新され続ける。
僕の中のどうしようもない部分
僕の中のこうしたいという希望
僕の中のそうする理性
僕の中の感情
全てが混沌としていて全てが僕の中にあるのに
僕が手にとるのはそのときいちばん近くにあるものとなる
それが良いことなのか悪いことなのかは判らない。
もう少し遠くまで手を伸ばしてみてもいいかもしれない

ジャンクションは切り替わる
ある日あるコミュニケーションをとったその日から
突然に
それはとても楽しいことだ。
人間の本質はコミュニケーションの中にこそ存在するのだと実感する
コミュニケーションによって自己は確立する
と僕は考えるから僕は揺らぎ続ける
それはとても楽しいことだ。

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  ねーねーねーねー、あたしだれかにいいふらしたい。Kがあたしとおさけ
 のんでくれたんだよ、それでこうしてるといいひとだなあっておもうって
 いってくれたんだよ。やりたくってやりたくってあたしのことひっぱりま
 わしたんだよ。ひろみとしたいっていったんだよ。キスしてくれたべろん
 べろんのキス。それでもって、あたしはちっとももとにもどりたいってお
 もわなかったんだよ。Kはやさしかったよ、ずっとむかしのKみたいだっ
 たよ、やさしくてりりしいKにあたしきのうあったんだよ、Kはあたしを
 だきしめつつしゃせいしたんだよ、ねーねー、セイエキがグリセリンでで
 きてたらどーなるとおもう? ってたちあがったKにあたしいったんだ。
 わらって。ねー、セイエキがグリセリン。
  え?
  セイエキがね、グリセリン。浣腸しちゃうよね。ぜんぶ出るよね。

 (伊藤比呂美<青梅>「虚構です」より)
 (題名は伊藤比呂美「生きた男の一部分」より)


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