Leaflets of the Rikyu Rat
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2006年09月20日(水) To homo demens

ただ逃げてるだけだ、そんなんじゃ何処に行ったって絶対失敗するよ、と言われる。
行ってみないと絶対かどうかなんて分からない、
確かに失敗するかもしれない。失敗する可能性の方が高いかもしれない。また泣きをみるかもしれない。
それでもいい。

そう反論する。
いや論ですらない。ただの願望だ。
祈願しながら自分はどこにも行くことが出来ないような気がして途方に暮れ始める。
日常生活を送っている領域があって、その領域の中でしか行動が出来なくなっていくのではないか。
それ以外の場所へ行くことが出来なくなるのではないか。
そしてそのテリトリーが徐々に狭まってくるのではないかというおかしな強迫観念に晒されている。

いったいどこへ行けると言うのだろう。

何かを打ち破らなければならない。
そんな風に僕が思っていたのかどうかは分からない。

今朝夢の中で熊を殺した。
ナイフで滅多刺しにした。
起きたときの気分は最悪だった。
最悪の形で“打ち破”った。
僕はそうしたいのだろうか?

僕は感情を理性で押し込めているのだろうか。
それとも、理性に僕が押し込められているのだろうか。

二年前はあんなに泣かされていたのにいつからだろう、
裏切られてもまたかと思うだけで涙が出なくなった。
経験のせいなのか。
それとも、涙も何者かに押し込められているのだろうか。

泣くためにどこかへ行けるならそれでもいいと思った。

 (題名は鬼頭莫宏『なるたる』23話「ホモ・デメンスに向けて」より引用)


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加持 啓介 | MAIL

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