Leaflets of the Rikyu Rat
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徒歩数分圏内で起こった強盗殺人はその家の三男が自殺未遂を図ったこと により急速に加速し、事件は解決へ向かうかと思われている。三男は僕の通 う大学の生徒であった。 事件発生当時、激しい感情の起伏(怒り・悲しみ・憎しみ・その他)に苦 しめられていた己は刹那、受験生の頃に読んだ本のことを頭に浮かべた。 主人公が父親を“比喩的に”殺す。(村上春樹「海辺のカフカ」) 犯行推定時刻の午前九時から正午に僕はぐっすりと眠っていた。 まさか僕が殺したはずは無いのだが、物語との類似を感じ一瞬だけでも考 えてしまったのは事実であり、不謹慎であると感じると共に恥ずかしくなった。 そしてその関連性によって想起したのは“軽蔑”と言う二文字により相手を “心の中で”殺す、山田詠美「風葬の教室」。 その瞬間、僕の心は彼女と同じ様に、“立ち込めていた霧が急速に晴れて ゆくのを感じ”たのだった。
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