サウンドスケープ

2004年07月30日(金) 祖父の電話

僕が小学校4年のときだったろうか。家に初めて電話が
入った。当時としては標準的な時期だったと思う。
黒いダイヤル式の今はほとんど見かけないジリリリン
と鳴る普通の電話器だった。

祖父にはもちろん初めての家電話で、本人興味なさそう
にしていたが、内心は興味深々だったのだろうと思う。
数日後、電話がなった。



まだ、殆ど電話番号を知らせていなかったので、かかって
くるのは家族しかいない。母が電話に出て「もしもし?」
というと、電話の向こうから明らかに祖父の声が聞こえて
きた。「どちら様ですか?」これは母の言葉ではない。
電話をかけてきた明らかに声でわかる祖父の言葉であった。

しばらくして、散歩から帰ってきた祖父は何食わぬ顔で
「電話がかかってこんなぁ」とのたまう。
僕は母とこっそり顔を見合わせたのだった。


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