祖父と同居していた。小さかった頃はいつも僕を膝に 乗せて、どこかの古本屋で借りてきた漫画を読んでく れたりした。当時僕らが面白がったのは「おそまつ君」 やパーマンだったと記憶しているが、祖父が自分が 知っている漫画を借りてきてくれるので、読んでもら ったのは、「矢車剣之助」や「鞍馬天狗」などの時代劇。
祖父は巻いてある半紙に筆でサラサラと達筆な字を書くよう な人だったが、読むほうがちょっと変わっていた。 それは、小さい「っ」や「ゃ」などをそのまま読んでしまう のだ。例えば、刀で敵を切るシーンの擬音「シュバッ」などを ”シュバツ”、「ハッハッハッハ」と笑う場面を、”はつはつはつはつ”!!
やつたな!とか がつはつはつはつ、とか パカツパカツパカツパカツ 笑
従って僕はそのように覚えてしまい 学校でしばらくひそかな物笑いになっていたのだった。
|