ふだんは花を活けたり、飾ったり、花とは無縁の我が家。
けれども毎年5月は花に縁があるようで、家の中が華やいでいる。
4月の長女の誕生日に贈った花篭。母の日にもらったカーネーション。たぶん、今年もダンナからもらうであろう結婚記念日の薔薇の花束。そして昨年の暮れ父からもらったアマリリスの球根が大輪の花を咲かせている。
ちなみに花の贈り物は、父に花を愛でる趣味があるわけではなく、実家の煙草屋業のいわゆる斡旋注文というヤツである。いつもはコシヒカリだの、煮込みハンバーグなどの実用ギフトが、昨年は姉の希望でアマリリスとなったわけだ。
(左)は自宅のアマリリス。4つ花を付けました。
(右)は義母宅に贈ったもの。
茎がやや元気よく伸び過ぎたものの、可愛いピンクの大きな花です。昨日、仕事が休みだったので、父を見舞った。
思いのほか顔色は良かったが、食欲がなく、体重も減っているとのこと。
ズボンのベルトの穴がこんなに詰まったと細い胴を見せてくれた。
アマリリスの球根が。
姉宅も、義母んちも、うちも、知り合いのおばさんちも、咲いたのに。
父の手許に届いたものだけが、花を付けない。
茎葉だけが異常なほど伸びているのに、まだ花の蕾すら見えない。
水を与えたり、様子を見たり、花の世話は、店と一緒で姉まかせの父。
さして落胆もしていない父に、デジカメで写した花の写真を見せた。
「咲かへんのが(贈った先ではなくて)、お父ちゃんとこで良かったなぁ」
ふだんなら気遣いで終わる姉の言葉に一瞬ドキリとする。
花が付かなければ、確か取り替えると説明書に書いてあった。
咲かない球根は不良品、取り替えればいいが、父の体は取り替えられない。
花にも分かるんだろうか。 どうして咲かない?
華やいだ気分になるのを遠慮したか?
咲かない花がうちのであれば良かった。
「もう。お母さんが面倒みいひんから」と、悲しいけれど笑ってすませた。
いずれ花弁は落ちるにしても。 どうして咲かないんだ。
Sako