仕事先で花の話題となる。
真っ赤な霧島ツツジは咲いている時はすごくきれいだが、花が枯れた後が汚い。
桜のように散るのではなく、花をつけたまま黒く枯れていくのだそうだ。
汚いと… 笑いながら…
何やら残酷な話だ。
母の命日が近づいてきた。
月日の経つのは早いですね…。知人が見た話をふと思い出した。
ヨボヨボの痩せた貧相なお爺さんが、スーパーの買物袋を手にしたままで、
道端の電柱に抱きつくようにして、そのまま静かに息を引き取ったそうです。
周囲はてんやわんやの騒ぎとなったけれど、現場を目撃した知人の目には、
不思議なことにそのお爺さんの顔が穏やかに見えたんだと…。そんな話。
高齢になっても日常の世話を誰もする人がない。孤独で、惨めで、薄汚くて…。
あぁ可哀想に、お気の毒に、と他人は憐憫の目で見るだろう。
憐れな…? そうだろうか…。
私も、お爺さんの顔が穏やかに見えた知人の目と同じだ。
そのお爺さんは、行き倒れのように逝く、自分の事を憐れと思っただろうか。
最後まで来た…という不思議な安息感に包まれ、幸せだったのではないか。
これで終わる。精一杯の人生。
例え、まわりに人はいなくとも、この身一つで生きたことに。
お爺さんの表情は時計の針が止まるように、静かで、穏やかだったのだ。
他人が思うほどに自分を不幸な人間だとは思わなかったに違いない。
黒く枯れた花びらを、花自身は汚いと思っただろうか。
きれいだとか。汚いだとか。人がいてそう思う。
花は花だ。
自然のままに受け入れて、ちゃんと枯れていったんだろう。
「散る花」「枯れる花」 …いろいろあるけれど。
咲くだけマシね。 枯れたくとも 「咲かない花」はどうしましょう。
蕾もマシね。 …根腐れ……悲惨… (^-^;)
Sako