京のいけず日記

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2006年01月31日(火) 祇園そぞろ歩き

小雨降る日、用があり、姉と三条寺町で待ち合わせた。
仕事が暇になったら、ゆっくりランチでもしようと約束していた。

目指すは、netで検索した祇園に近い店。バスに乗らずに、三条河原町の交差点から三条大橋を東へ渡り、四条通りへ向かって南下した。

足の向くまま、気のむくまま、小さな角を折れ曲がる。
だいたいの見当があたっていれば地図を見るより、その方が面白い。
「あ。2時間ドラマでよう映る辰巳大明神やで」とか言いながら、そぞろ歩く。

白川に休むしぎ…?かいな

白川にいた…これは「シギ??」うーーん。何でしょ?
鳥や、野の草花の名前を言えたら、世界が面白いだろうなぁ。



古い町屋や、飲み屋の入るテナントビルの間をぶらぶら歩くこと20分あまり。
四条通りの南に一力亭(有名な茶屋。近藤さんも遊んだかも)の赤い塀を見る。

あれ? 目指す店は、四条通りより北側のはず。通り過ぎたのかしらん。
ここでようやくプリントアウトしてきた地図をおもむろに広げた。

…目的物到達最短距離派(→ダンナ)の方なら、きっと雷を落としてるでしょう。
合理派の彼の人も、きっとこんな無駄な人間嫌いなんだろうなぁ…(-_-;)

二人で熱心に地図を覗き込んでいると、
「どこかお探しですか?」と通りがかりの身奇麗な女性が声を掛けてくれた。
感激屋の姉はそれだけで目をウルウルと熱くし、皮肉屋の妹(私)は、
「けど返ってきたんが、京都弁でがっくりしはったんとちゃう?」などと笑ったり。

やっとお目当ての店を見つけて、とあるビルへ入っていったら、何と定休日。
…人の親切を笑ったバチがあたったのか。
いやいや、そもそも先にCheckするべきだったのだ…。この抜け作め。

ま、いいや。四条通りを渡って、そぞろ歩きを決行。
どこかいい店があれば入ればいい。至って気の長い姉妹なのだ。
一力さんの横、石畳の花見小路を南へ下がる。
祇園情緒に溢れた町並みを、ふんふんと観光客顔して歩く。

花見小路には、お茶屋さん風の洒落たお食事どころが立ち並ぶ。
…が。地元人が昼飯に入るにはどの店も高く、中々決まらない。
建仁寺さんまで今日は行く気はないので、足の向くところで脇道へそれた。

観光用ではなく、ふだん着の町の風情があり面白い。
花見小路へ向かう舞妓さんと遭遇したり、置屋らしい建物に見入ったり。

そうそう。ランチはいいお店を見つけました。
大和大路にある、おばんざいの店「かな谷」さん。隠れ家的なお店。
そろそろ我慢の限界にきていた二人。ランチあります、コーヒー付き1000円の無愛想な、ただの張り紙につられて、ふらふらとその路地へ。

玄関…へ?? 何の変哲もない普通の家の玄関でした。
おまけに鍵が掛かっていて、用のある方はベルを押して下さい、と。

ここ、ほんまに食べさせてくれる所か? やってはるん??
姉と不安げに顔を見合わせて、ベルを鳴らしたら、これまた、近所のおばさん(失礼 m(__)m)、という女性が現れて。

普通の家のように靴を脱いで上がる。
食べるところも普通の家の居間で、座布団と、座卓。
まるで自分の家か、知人の家に居るようで、何だかすごく落ち着く。

1000円の今日のメニューは、エビと魚と肉のフライ、キャベツとトマト、南京などの炊き合わせ、山芋とワカメの酢の物、お味噌汁、お漬物、ご飯、コーヒー。

見た目は華やかさもなく、フライ類はほんまに家で揚げたという感じでちんまりし、千切りキャベツも、短冊の山芋も、ぶきっちょさんで、太く、揃っていない。

が。小ぶりながらエビはプリプリとしているし、酢の物のワカメはフニャフニャでなく弾力があり、嫌味のない炊き合わせは感涙もの。ご飯も艶やかで甘みがあり、お豆腐の味噌汁も美味しかった。ご飯のお代わりをして、最後はお茶漬け。

いやー。姉も、私も、満足、満足。

こんな食事を毎日出してやったら、家族はどんなに喜ぶだろう。
出来合いのお惣菜が並ぶ我が家の食卓をちょっと反省する。

おばあさんと、娘さんの母子でお店をされているようで、夜はおばんざいのコース(3,000円ほど)があるとか。きっと地の常連さんとかいるんだろうな。
又、行きたいなぁと思った。ふだん着の味を求める人にはオススメです。

これも、お目当ての店が定休日だったおかげ。
足まかせのそぞろ歩きは、いや、ほんま楽しいです。


Sako