仕事を終え、買物をし、帰宅したのが、夜7時前。辺りはもう真っ暗だ。
いつもなら玄関先にあるはずのまる子の自転車がない。
土曜日の今日は部活も昼までなら、塾もない。遊びに行ったまま、まだ帰らないのか…。何とはなしに不安になって、家に居た長女に聞くと、3時頃から遊びに行ったという。
時計の針が7時20分を回る。まだ帰ってこない。
明るい夏場ならともかく、いくらなんでも遅い。
塾のある日なら夜10時近くになる。それで時間の感覚を忘れているのか。
いや。暗くて、寒い中、もう外で遊べる時間じゃない。
どこかの家で遊んでいるなら、その家の親が早く帰れと追い出しているだろう。
…事故か、と嫌な予感が走った時、電話がなった。
ナンバーディスプレイの番号に心当たりはない。
「まる子さんのお母さんですか?」の声に、
危うく、又どこかの勧誘かと受話器を置きかけて、顔面蒼白となる。
相手は警察官だった。
子ども…。親はいつまで、どこまで守れるか。
強く優しく育ってほしい。こっちがヘタる前に。…切実に思う、今日この頃。 友達何人かで近所の大きなスーパーへ行き、プリクラを写していたらしい。
高校生ぐらいの不良グループに恐喝まがいの暴力を受けたという。
幸い、一緒にいたお友達の機転で助けを求め、大事にいたらなかったが。
殴る、蹴る、髪を引っ張るなどされたらしい。
しばらくして連絡を受けた後、拠点の署へ迎えに行った。
被害届がどうの、ビデオがどうの、手続き説明云々。凍えた廊下で、お友達のお父さんと、警官が言い争いに。居たたまれず、早く娘に会わせてと申し出た。
「だから言わんこっちゃない。無事で良かったものの…
子ども同士がお金を持ってウロウロするところじゃない」
叱り付けるつもりが、子どもらの無事な姿を見たとたん、言葉を飲み込んだ。
蹴られたり、一番ひどかったのが、まる子だと聞いて背筋が冷える。
いったいどんな親なのか。もしも取り返しのつかない事になっていたら…。
無事でほんとうに良かった。
…まだ中学生なのか。もう中学生なのか。
小遣いの額にしても。行動範囲にしても。何かにつけ迷う時がある。
私も、ダンナも、少々年がいっているせいか、考え方が堅く、古臭い。
同じように世間には色んな考え方の親がいる。何が正しいなどとは言えない。
押さえつければ、はねかえる。放任すれば調子にのる。
家に縛り付けておけば安心だろが。それでは何もできない。
どこまでが安全で。どこまでが危険か。目に見える境界線があればいいが。
義務教育期間。目は離せない。うっとおしく思われるのも役目か。
帰りの車の中。私とダンナと長女とまる子。
学校の話、友達の話、性格の話、いろんな話をした。
何やらガラが悪いとか…、荒れている、とか、そんな話になって。
そしたら、至って品行方正なダンナが、
「お母さんちなんか、タバコ吸う環境やったらんやから」
などと分けの分かんないこというもんで (…確かにうちは煙草屋だったが)
で。思わず、言っちまった。
「同級生の男の子にドキドキしながらタバコ売ったり…(え!?)
高校の時にはパチンコ屋さん行ってたよ、一人で…(お!?)」
そうえいば、いろんな子がいたなぁ。見るからに危ない子もいたし。
複雑な家の事情を抱えてる子も多かった…。
でも、どうなんだろう。
数にもの言わせた、弱いもんイジメや、暴力…、こんなに多かったかなぁ。
※ 父が退院しました。父の病気といい、まる子といい、もっと、身内に気を配れの警告かもしれません…。あ。ダンナにも。
Sako