京のいけず日記
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2005年08月26日(金) |
昇天する蛇に思うこと |
蛇を踏んずけてしまった経緯については、昨日の日記の通りです。 今日、通勤途中、なにげに空を見上げたら、こんな雲が流れていました。
青空を伸びやかに天に向かっていく蛇… を見つけた瞬間です。
可哀想な蛇は、確かに、あのあとまだ生きていました。 それでも、どこかで気になっていたんでしょう。 空のキャンバスの中に蛇の姿を見つけた時、嬉しくなって写真を撮りました。
もし私が、昨日、あのような出来事に遭遇していなければ。 この雲はきっと別の形に見えたのかもしれません。 それとも単なる雲であって、何の感慨もなく見過ごしたでしょう。
過ぎないものに意味を持たせ、別の名を名付ける。気持ちを代弁させる。
意味のない。愚かなことでしょうか。
…不思議だなぁと思います。
天に昇っていくかと見えるこの雲は、私が蛇だと思った瞬間に、昨日の蛇の化身のように、私の心の中に確かに存在するのです。
目に見える「雲」という物理的な存在とは別に。
上昇する空気の塊。水蒸気が凝結して…これが雲の始まり。 雲は雲であって自然現象に過ぎません。
それでも一つの雲の形に、どれほどの知らない世界があるのでしょうか。 一つの存在に、人は、どれほどの数の世界を見ているのでしょうか。
面白いと思う一方で、何やら全てが夢のような。 何一つとして存在しないような頼りない不安を覚えます。
私の乏しい言葉では、いったい何が言いたいのか…。 それさえ分からなくなってきました。
たぶん夢枕獏さんの「陰陽師」安倍晴明いうところの「呪」の入り口…。 そういったものかもしれません。
雲は単なる水蒸気の粒の塊…。 この方が単純明快で、心を迷わせる事はないのかもしれませんね。
この雲。あなたには何に見えますか。
Sako
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