「…駅に行く途中の道で、蛇を踏んでしまった。」川上弘美さんの小説「蛇を踏む」の話じゃありません。今日、ほんまに蛇を…、チャリンコで踏んでしまったのです!!!こんな感じで道のど真ん中に伸びていた。今日も夕方からの遅い出勤で、チャリンコで駅へ向かっていました。道中、風を受けながら、今年初見のトンボを追いかけたり、アブラ蝉に混じるツクツクボウシの声を聞いたり。…あぁ、こうして少しずつ秋になっていくんだなぁ。などと、侘び寂びに浸っていたのです。ペダルを漕いで15分。駅に着いて、野ざらしの駐輪場に自転車を止めようと、脇道へ入った時のことです。目の下、前方に、灰黒いホースのような、厚みのものが横たわっていました。ちょうど、チャリのタイヤチューブのような太さでした。ホースの先っぽは、止めてあったバイクのタイヤの陰に隠れていました。邪魔だなぁ…。と、目の悪い私が思ったその時でした。ゴミであるはずの、ホ、ホースが震えたのです。…えっ!? へ、へびッ、だぁー!辛うじて、チャリのハンドルを切った時には既に踏んづけていました。…恐いものみたさで遠巻きに見ると、そいつは動きを止めて、死んだ振りのつもりか、じっとしたままです。心配になって、しばらく見ていると、顔の見えない蛇は、するり、するりと、まるで店じまいでもするような鈍い動きで、残りの体を引きずっていきました。蛇って泣くのかな…。もしも蛇が泣くんだったら、どんな声でなくんだろう。声を出すことも出来ないのなら可哀そうだな。こちらも仰天したけれど、向こうはさぞやビックリしただろう。突然のン十キログラム、プラス、自転車の重み。その時の様子や、表情を浮かべて、申し訳ないやら、おかしいやら…。今日はほんまにビビリました。ホースの厚みぐらい弾力のある大きな蛇でした。とぐろを巻かず、蒲焼のごとく、堂々と地面に伸びていた蛇でした。何やら因縁めいて…。小説のごとく蛇が女になって、「あなたのお母さんよ」と現れたらどうしましょう。