京のいけず日記

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2004年09月18日(土) 同棲時代


同棲時代より 飛鳥今日子 模写
(作者:上村一夫 漫画アクション・コミックス 双葉社 昭和47年初版)
黄色く焼けた紙面をスキャナで取り込み、
PhotoShop、筆ツール、ブラシ等で模写してみました。

同棲時代の主人公のひとり今日子さんです


2週分の新選組!の感想も、
昨日飛び込んだ嬉しいニュースのことも書きたいんだけれど、今日はこれ。


昨夜、日記を書いたあと、無性に
上村一夫の「同棲時代」が読みたくなって、押入れをガソゴソ漁っていた。

「おっ。みっけ!」

湿気た特有の本の匂い。黄色く焼けた紙面。何だかむず痒い…。
それでも嬉しかった。時間も忘れて、夢中でページを繰った。

昭和47年の初版本。時に私は青春の入り口、15歳(…あ。年がばれた)

ああ。…すごい!今でもこんなにキモチが揺さぶられる。
大人になった分だけ、微妙なニュアンスが分かるだけ、昔よりも切ない。

今日子が演じる女のいじらしさ、狂気…。
次郎が持つ、男のズルさや、可愛さや、弱さや、優しさ…。
15の私はどんな風に感じていたんだろう。

うーん。それにしても。15にして私はこんなものを読んでいたのかしら。
ビッグコミック系みたいな爽やか青年系ばかりじゃなく、
相当エログロのもあったような……。 oioi

そっか!
社会人だった兄が、漫画アクションやら、成人漫画誌を買ってきてたんだ。兄が読んだあと、隠れるようにして読んでたのかな。

でも、まてよ。この単行本、同棲時代(A4版!)は…?
読み捨て主義の兄が買うはずもなく。手塚ファンの姉でもない。
とすると。やはり15の少女が顔を赤くして本屋さんで買ってたのダ。

もともと、少年・少女マンガも、成人マンガも垣根がなく、
自分がこれはいい、好き、と思ったら、恥ずかしいこともぶっ飛んで、
本屋へ買いに走っていたんだろうな。

昨日の忘八武士道や、影狩り(さいとうたかを)、
カムイ外伝第二部(白土三平)らの時代劇画。
賭博者たち(バロン吉元)、博多っ子純情(長谷川法世)やら
単行本で全部買っていた。
もちろん、活字中毒。小説なんかも好きだったから、
本代って半端じゃなかったと思う。

あすなひろしは…成人漫画になるのかな…?すごく絵がきれいだったけ。
懐かしい。あと真崎守とか、村野守美とか…とかとか。

いいものって少年とか、少女とか、成人とか、関係ないよね。
悪いものも関係ないね。イケナイものはいけない。嫌なものは嫌だ。
児童書だから安全とか。成人モノだから悪書だとか。ナンセンス。
そんな安心はしたくない。させたくもない。

これだけの時間、小遣い、情熱…。
もっと利口なものに向けていたらと時々思うけれど。
そうなると、今の自分も、ここにはいないわけで…。それも嫌だな。うん。

ポニーテールの歳三さん

ちょっと休憩。古臭い話が終わったと思ったら、
今度は描く方の話で、まだ続きがあります…。すみません。


さて。落書き大好きな私。読んだあとで、無性に描いてみたくなりました。
黄ばんだ紙面をスキャナで取り込み、びっくり!

左右反転させてもデッサンがぶれない。…あ、それって当然なんですけど。でも…。私の落書きなんか、もともとデッサン力も、基礎もないので、
左右反転なんかしたら、そりゃもう、めちゃくちゃ…変…ですら。(T_T)

次に透かした下絵を筆ツールでなぞってみる。
トレースするだけだから、馬鹿でもチョンでもと思えるが、
ところがどっこい。違うんです。もう、まったく、全然、違う。

同じ線なのに、どうしてこうも違うのか。
(…身のほど知らずな感想で、どうも、すみません)
きれいな線。柔らかい線。体温のある線。ペンなら同じ感じになるかしら。
ペン先は、かぶらと、Gペン、丸ペン、使ってるのかなぁ…。
あ、この線、筆…面相使ってるんだ…。うわぁ…。

写すだけなのに線はビビリまくり、ガタガタ。何度も何度もやり直す。
筆圧感知入力にしてみる。全然、ダメ。あー。紙。ペン。カリカリしたい。
うーん。しゃーない。へたの横好き。

中には人マネなんて…という人もいるだろうけど、私は、
好きな人の絵、上手い人の絵を模写する、上達する近道だろうな、と思う。
絵に限らない。何でもそうだ。書も、武も、お稽古ごとも…。
真似ること、形から入ることで、その凄さが分かってくる。

だけど。子どもの頃はすごい天邪鬼だった。
手や、足の指ひとつ、満足に描けないのに、自意識ばかり高くて、
そのくせ、オリジナリティが一番だと顔ばっかり描いていた。
(今と変わらんやん。。恥ずかし)

漫画の好きな友達がいて、その人は手塚が好きだった。
学校の休憩時間などに、よく真似をして描いていた。
ちなみに勉強もすごく出来た。やっかみからか、
そんな真似ばっかりで、全然個性がないやん。なんて思っていた。

でも、誰が言わなくても、その子が一番上手だとちゃんと分かっていた。
顔のアップのオンパレード、雰囲気だけの絵じゃない、
動きのある絵が描けた。とってもきれいな線を描いていた。

今頃どうしているだろう…。優等生。
もしかしたら、マンガを描いていたことも忘れているかもしれない。
幼稚なのは私だけ〜。。。あー。

「おっ。お母さんが影つけてるー」
塾から帰ってきた長女(中3)が冷やかしにやってきた。

「これ。写して描いたんやけど。真似するのって上達するやろなぁ」
と、何気に言ったら、

「うん。うちもそう思う」と返してきた。意外だった。
てっきり、真似なんかしたらあかん、そう言うと思っていたから。

…この子。ほんまに絵が好きなんやなぁ。
努力もしないで、いちびってた私とは違う。そう、人に見せたいとか、
そんな欲もなくて、ただ無心に描いてる、そんな感じだ。

勉強の合間に描いたA4用紙のオリジナル絵に
ボールペンと、色エンピツで線入れ、色塗りを始めた娘。

「ペン買ってあげよか…」と言いかけて、やめた。

一生懸命な受験生を誘惑してどうするねん、この、あほ母。
志望校に行ったら、バスケはやめて美術部に入るという。
ダンナ似のまじめな勉強家のお姉ちゃん。
朝から仕事でも完徹してしまう、どこぞの馬鹿とは違う。


おい。娘さん。春がきたら絵具を買ってあげよう♪

そして、私は…。いつか。きっとね。きっと。
とびっきりの絵を描くんだ。きれいな線と、筆の持つ柔らかな濃淡で♪


Sako