京のいけず日記
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同棲時代より 飛鳥今日子 模写 (作者:上村一夫 漫画アクション・コミックス 双葉社 昭和47年初版) 黄色く焼けた紙面をスキャナで取り込み、 PhotoShop、筆ツール、ブラシ等で模写してみました。

2週分の新選組!の感想も、 昨日飛び込んだ嬉しいニュースのことも書きたいんだけれど、今日はこれ。
昨夜、日記を書いたあと、無性に 上村一夫の「同棲時代」が読みたくなって、押入れをガソゴソ漁っていた。
「おっ。みっけ!」
湿気た特有の本の匂い。黄色く焼けた紙面。何だかむず痒い…。 それでも嬉しかった。時間も忘れて、夢中でページを繰った。
昭和47年の初版本。時に私は青春の入り口、15歳(…あ。年がばれた)
ああ。…すごい!今でもこんなにキモチが揺さぶられる。 大人になった分だけ、微妙なニュアンスが分かるだけ、昔よりも切ない。
今日子が演じる女のいじらしさ、狂気…。 次郎が持つ、男のズルさや、可愛さや、弱さや、優しさ…。 15の私はどんな風に感じていたんだろう。
うーん。それにしても。15にして私はこんなものを読んでいたのかしら。 ビッグコミック系みたいな爽やか青年系ばかりじゃなく、 相当エログロのもあったような……。 oioi
そっか! 社会人だった兄が、漫画アクションやら、成人漫画誌を買ってきてたんだ。兄が読んだあと、隠れるようにして読んでたのかな。
でも、まてよ。この単行本、同棲時代(A4版!)は…? 読み捨て主義の兄が買うはずもなく。手塚ファンの姉でもない。 とすると。やはり15の少女が顔を赤くして本屋さんで買ってたのダ。
もともと、少年・少女マンガも、成人マンガも垣根がなく、 自分がこれはいい、好き、と思ったら、恥ずかしいこともぶっ飛んで、 本屋へ買いに走っていたんだろうな。
昨日の忘八武士道や、影狩り(さいとうたかを)、 カムイ外伝第二部(白土三平)らの時代劇画。 賭博者たち(バロン吉元)、博多っ子純情(長谷川法世)やら 単行本で全部買っていた。 もちろん、活字中毒。小説なんかも好きだったから、 本代って半端じゃなかったと思う。
あすなひろしは…成人漫画になるのかな…?すごく絵がきれいだったけ。 懐かしい。あと真崎守とか、村野守美とか…とかとか。
いいものって少年とか、少女とか、成人とか、関係ないよね。 悪いものも関係ないね。イケナイものはいけない。嫌なものは嫌だ。 児童書だから安全とか。成人モノだから悪書だとか。ナンセンス。 そんな安心はしたくない。させたくもない。
これだけの時間、小遣い、情熱…。 もっと利口なものに向けていたらと時々思うけれど。 そうなると、今の自分も、ここにはいないわけで…。それも嫌だな。うん。
ちょっと休憩。古臭い話が終わったと思ったら、 今度は描く方の話で、まだ続きがあります…。すみません。
さて。落書き大好きな私。読んだあとで、無性に描いてみたくなりました。 黄ばんだ紙面をスキャナで取り込み、びっくり!
左右反転させてもデッサンがぶれない。…あ、それって当然なんですけど。でも…。私の落書きなんか、もともとデッサン力も、基礎もないので、 左右反転なんかしたら、そりゃもう、めちゃくちゃ…変…ですら。(T_T)
次に透かした下絵を筆ツールでなぞってみる。 トレースするだけだから、馬鹿でもチョンでもと思えるが、 ところがどっこい。違うんです。もう、まったく、全然、違う。
同じ線なのに、どうしてこうも違うのか。 (…身のほど知らずな感想で、どうも、すみません) きれいな線。柔らかい線。体温のある線。ペンなら同じ感じになるかしら。 ペン先は、かぶらと、Gペン、丸ペン、使ってるのかなぁ…。 あ、この線、筆…面相使ってるんだ…。うわぁ…。
写すだけなのに線はビビリまくり、ガタガタ。何度も何度もやり直す。 筆圧感知入力にしてみる。全然、ダメ。あー。紙。ペン。カリカリしたい。 うーん。しゃーない。へたの横好き。
中には人マネなんて…という人もいるだろうけど、私は、 好きな人の絵、上手い人の絵を模写する、上達する近道だろうな、と思う。 絵に限らない。何でもそうだ。書も、武も、お稽古ごとも…。 真似ること、形から入ることで、その凄さが分かってくる。
だけど。子どもの頃はすごい天邪鬼だった。 手や、足の指ひとつ、満足に描けないのに、自意識ばかり高くて、 そのくせ、オリジナリティが一番だと顔ばっかり描いていた。 (今と変わらんやん。。恥ずかし)
漫画の好きな友達がいて、その人は手塚が好きだった。 学校の休憩時間などに、よく真似をして描いていた。 ちなみに勉強もすごく出来た。やっかみからか、 そんな真似ばっかりで、全然個性がないやん。なんて思っていた。
でも、誰が言わなくても、その子が一番上手だとちゃんと分かっていた。 顔のアップのオンパレード、雰囲気だけの絵じゃない、 動きのある絵が描けた。とってもきれいな線を描いていた。
今頃どうしているだろう…。優等生。 もしかしたら、マンガを描いていたことも忘れているかもしれない。 幼稚なのは私だけ〜。。。あー。
「おっ。お母さんが影つけてるー」 塾から帰ってきた長女(中3)が冷やかしにやってきた。
「これ。写して描いたんやけど。真似するのって上達するやろなぁ」 と、何気に言ったら、
「うん。うちもそう思う」と返してきた。意外だった。 てっきり、真似なんかしたらあかん、そう言うと思っていたから。
…この子。ほんまに絵が好きなんやなぁ。 努力もしないで、いちびってた私とは違う。そう、人に見せたいとか、 そんな欲もなくて、ただ無心に描いてる、そんな感じだ。
勉強の合間に描いたA4用紙のオリジナル絵に ボールペンと、色エンピツで線入れ、色塗りを始めた娘。
「ペン買ってあげよか…」と言いかけて、やめた。
一生懸命な受験生を誘惑してどうするねん、この、あほ母。 志望校に行ったら、バスケはやめて美術部に入るという。 ダンナ似のまじめな勉強家のお姉ちゃん。 朝から仕事でも完徹してしまう、どこぞの馬鹿とは違う。
おい。娘さん。春がきたら絵具を買ってあげよう♪
そして、私は…。いつか。きっとね。きっと。 とびっきりの絵を描くんだ。きれいな線と、筆の持つ柔らかな濃淡で♪
Sako
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