京のいけず日記

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2004年08月10日(火) 誰のために (新選組!30回目の妄感)

再び、うらめし顔の歳三さん。すみません
● 新選組!第30回目の妄想的感想 「永倉新八、反乱」● ----------

演出:山本敏彦


待ちにまった
俳句のシーンではありますが。

何といってもコレですよ。この回は →
…違うって。ご、ごめんなさい。。

局長の増長を糾弾する建白書によって、
近藤が容保候に呼び出されたあと。

土蔵に入り、拷問道具を見つめる
山本歳三さんの表情。これに尽きます。

何の為に
これだけのことをしてきたのか。
もう引き戻れない。

自分への揺らぎと、
突き進む以外にないんだ、という意志。
そんな心中を思うと切なくて。

思わず。
「しっかりしろ。歳三さん」と言いたくなる。

鬼だろうが。 子どもだろうが。 あんたはそれでいいんだ。

なんてことは。
土方歳三という人生がもう終わっているから言えるのかもしれませんね。


その後、土方が土蔵の梯子を下りようとした所へ、山南さんが登場。
交わす表情。そして言葉もないまま、すれ違っていく二人。

山南の目の色には僅かながらも憎しみの色が見てとれる。
一方の土方には、憎悪の色というよりは、山南への戸惑いと、
非難の視線に動揺する弱さ(優しさ)を感じてしまった。
(なんて。ほとんど妄想です、はい)


建白書の進言。書を頼まれると、私が表に出てはまずい。
山南なりの近藤を思っての、新選組を思ってのことなんだろうけど…。

土方ならずとも、こういうやり方は好きになれない。
土方顔負けに策を弄する山南さん。
この山南さんは悲しいぐらいに賢すぎるんだろうな。


我々は同志であって近藤の家来ではない。
永倉の言いたいことは分かる。

天然理心流に弟子入りしていた井上や、土方や、
子飼いの内弟子であった総司とはそもそも違う。

だけど。結局は永倉にしても、山南にしても、
支えだけの存在に我慢できない、己がみんなと一緒に中心にいたい、
新選組の為と言いながら、要はそれも顕示欲ではないのか…。

それなら新選組を大きくするのが夢だ。
それが、すなわち近藤の為(その辺は悲しいが)だ、と。

ゆえに手段は選ばねえ、邪魔なものは排除していく。
言ってはばかりない土方の方が、いっそ気持ちがいい。

独断的な土方のやり方が正しいとは思わないけれど。

家来でなければ、肥大化する組織の中で、どうしていきたいのか。
どう維持していくのか。具体策がなければ、理想で、飯は喰えない。

「あんたらも小せぇ男だな。いつまでも仲間ごっこしてるんじゃねえ」
と憤懣を爆発させる、一生懸命な土方が切ない。ただそれだけ…。

そんな土方を見かねて、総司が、
「土方さんは欲得づくで動く人じゃない」と庇うけれども。

いや、いや。欲得づくで動く人だよ。歳三さんは。
誰でもそうじゃないのかな…? 何らかの欲で生きている。

ちなみ私は食欲で生きてます…。。

意地を張って、命を燃やして、自分も騙して…、馬鹿ばかしい。

「やめた。俺ァは降りるわ。おまえら勝手にしろよ」
なんて言えたら良かったね。歳三さん。


切なかったのは他にもある。近藤×土方の2ショットが2回。

「1年と半年…。上出来だよ。俺達、がんばったよな」
と、近藤さんと二人っきり。無邪気に喜びを見せる土方。
山本歳三さんの顔がいかにも嬉しそうな、やんちゃなトシで可愛い。

それに応えて、トシの為にも、大げさに喜んで見せる香取勇さん。
二人のズレが悲し過ぎる。

そのあと宴席に声をかけなかった山南さんが現れて…。
気まずい雰囲気に。ありますね。こういう時。

ところで、永倉反乱の一因にもなった報奨金の分け方ですが。
武功のあったものだけが貰える、そうすれば先を争って精を出す。
確かにその考え方は分かるけれど。

敵の襲来に備え、屯所を守るのも仕事じゃないのか。
だいたい山南さんに留守を守ってくれ、って言ったんは自分やん。
違ったっけ?歳三さん。

池田屋の報奨金…。新選組内部で取り決め配分したものだったけ…?
どうだったかな。ちょっと本を探してみよう。

もう一つ永倉を怒らせた原因、山南外しの組織表ですが。

それは邪魔な者を除け者にするとか、そんなんじゃなくて。
身内への甘え、言わなくったって、山南、
「あんたなら分かってくれるよな」的な
自分勝手な甘えが、土方の中にあったのではないかしら。


そして。2回目の近藤×土方のシーン。

「俺達、ちょっと急ぎ過ぎたんじゃないか、トシ」
「聞きたかねぇよ」
と拗ねる土方に、勝ちゃんの、久々の「俺に任せろ」セリフ。

そして、永倉達に向かって、近藤は土方を庇う。
「あいつの胸中は新選組のことしかないんだ。
これからも理不尽な事を言うだろうが、あいつの事を分かってやってくれ」

…そうなんやけどね。
誰のために理不尽な事を言うんだろう。
何のために新選組はあったんだろう。
新選組以外に生き方はなかったのか。
何のために死んでいかなきゃいけなかったのか。

このドラマでの近藤にとって新選組とは何だったのか。
歳三さんが、子どものようで、胸が痛い。



では!最後に明るい話。

待ってました。やっと出てきた俳句のシーン。
三味線と言えば…。お琴さんはどうしちゃったんだろう…。
あ、いえ。このまま出ないで…。

総司×土方のボケとツッコミの迷漫才コンビ。
藤原総司と山本歳三のこのコンビ。
何だか、ちょっと見るのがまだ照れくさい感じです。うふ。

 …ノリがぎこちない? いやー。すんまへんな。吉本新喜劇育ちの関西人やねん。


Sako