京のいけず日記
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午前と、夜の仕事の間に実家へ寄る。
母の容態は一喜一憂…。 足の血管から点滴を入れる。 相変わらず尿の出は少ない。
あまり良くないと聞いて、 今日は義母がわざわざ見舞いにきてくれた。
中間テストが終わった長女も 顔を見せに連れていった。
プリンやかぼちゃのペースト状のものを スプーンで一口ずつ運ぶと、 食べようと、わずかに口を動かそうとする。
時おり表情を見せるが会話は成立しない。
離乳食を思い出す。 みんな赤ちゃんに還っていくんだろうか。
訪問看護婦さんが来て 「大丈夫。きれいなお顔ですよ。もしもの時はお顔にも出ますから…」と。
義父を見送った時のことを思い出す。 義父は病院で逝った。母と同じで癌だったが、年寄りには癌も手加減してくれるらしい。
危篤の知らせを受け、幾度も駆けつけるうちに、重く嫌な気持ちに襲われた。
無事な姿に安堵する一方で、 どこかで自分は義父が逝くのを待っているのではないか…。 別れの時間が分かればいいと思っているのではないか…。
何度かそう思った。そして、たまらなく自分が嫌いになった。
予告なく突然に訪れる死はどんなに辛いだろう。 自分より年若い者が先に死んでいく悲しみはどんなだろう。
だけど。 目の前に予告された死、順番でいうなら当然来るはずの死であっても、 逝くものも、残るものも、耐えがたい何かを試されているような気がする。
兄が来て、お葬式は自宅でせずに葬儀場を借りようと切り出した。
無事を祈る一方で、現実の話がある。 もう子どもではないのだからと分かっているくせに、辛い。
「今日はもう帰るわな」 そう言うと、母は分からないまでも悲しそうな声をあげる。 このまま母の側にいたい。
なのに。今日も今から仕事に出る。帰りは10時を回る。家族もいる。
仕事を休もうか、と思った。 残された時間が少ないなら…。いつまで…?それは辞めるに等しい。
うだうだと。また嫌な自分がいる。殴りたい自分がいる。
優しくなりたい…。
Sako
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