京のいけず日記

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2004年05月11日(火) 命日

明治2年(1869)5月11日 歳三没

これじゃまるで学ラン服の歳三さん

まるで学ランの洟垂れ小僧?すみません。たらこ唇になっちゃった。

死んだら、魂は、どこへ往くのかな? もう二度と会えないのかな?

35歳 カケル 2.5倍

テレビも見ない。ラジオも聞かない。 
病室の無機質な壁の隅を、焦点を合わすでもなく窪んだ目で眺めている。

何が見える? 何かを考えているの? 
体だけが本能のように生きようとしているだけなのか。

それでも今日は話しかけると、とんちんかんだが会話になった。
それでも今日は、カステラをほんの少し食べ、美味しいと言った。 

「また来るしな」と耳元で言うと
「おおきに。またおいでな。元気でやりや」

いつもの母。
「お母ちゃん、病人が心配してどうするんや」 はしゃいで言ったら、
続く言葉は意味不明の尻切れトンボ。ブツリと切れた。
そしてまた、病室の白い壁と、カーテンを、無言で見つめている。

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老々介護。年下の父は自宅で看取たいと言う。
外的手術も、投薬も、放射線も、もはや病院にいてもしょうがない。
寿命のままに。

病院の医師や、掛かりつけの医者、看護婦、ケアマネジャー、ヘルパー
自宅で看取るためのネットワーク。頭が下がる。

何より、いつも優しい姉に頭が上がらない。 

家の天井にメリーでも吊るそうか、と、姉と真顔で相談する。
童謡のCD、アイスクリーム、母の好物カツオの造りも、今が旬だ。
美味しいものを食べよう。点滴じゃなしに。昔みたいに笑ってほしい。

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さすがに明治・大正生まれの人は体が丈夫ですね、と 医師が言う。
体にすっかり怠け癖のついた私達は、そうはいかないらしい。

天保生まれの歳三さん。教えてえな。
死んだら、魂は、どこへ往くんかな? 二度ともう会えないんかな?

私ね。時々、思うんよ。
もし、この世に、輪廻とか、そういうものがあるとしたら、
私の前世は、きっと、その辺にいる虫のような気がするん。

生まれてきて 生きて 種を残して ただ死んでいく。
それ以外に考えたこともなく。それ以外に世界はなく。
寿命まで生きる。そうして、やっと合格点をもらって。

神さまが人間の世界に送ってくれた。
そんなことを考える。 …おかしいかな? 私って変なんやろか?

だから時々 
どう感じていいかさえ、自分の感情に戸惑ったり。
この気持ちをどう始末したらいいのかしら、と迷ったり。

優しい気持ちで満たされたと思ったら、
とたんに気持ちがはがれたように、薄情になったり。

悲しいのに一方で現実の計算をしたり。

とすると、自分は何て思いやりのかけらもない人間かと
嫌悪の淵に落とされたり。

しょうがないよ。虫だったんだもん、と言い訳したり。

神さまがいたら、こう言うかもしれない。
おまえには早すぎたようだ。もそっと、修行をしておいで、と。


Sako