京のいけず日記

もくじ前の日次の日


2004年03月17日(水) ボケまくり…。 「ケツをまくる話」

コワイ顔の歳三さん
「新選組!」第10話の感想文を
いざ書こうと思って
ビデオをまわし始めたら、

えんえんと続く黒い画面…。
あぁ。やってもた。

記憶から言葉にするには
断片的にしか浮かばない。

何そーでなくても、いつもや?
…すんまへんな。

土曜日(再放送)を待ちます。
で、えーと…。そうそう。

3月15日は、前の日記通り、
釈迦堂のお松明があったんだけど。

3月15日といえば、
思い出すのが「ケツ!」にまつわる
甘辛い思い出。

えー。「ケツ」…お尻のことです。
多摩は東京だから、やっぱり「尻」っていうんだろうか、歳三さん?

「ケツをまくる」んじゃなくて、尻をまくる。
ま、どっちにしても可愛い良い子の女の子は言いません。

ちなみに、うちの母などは「おいど」と呼んでいた。
おいどが痒い、などと言う(た、た、たいへん失礼しました)

で、「ケツ」が、なんで3月15日かというと。

大昔、20代の頃、某税理事務所に勤めていた。
3月15日といえば、言わずと知れた確定申告の締め切り日。

入所して2年目の私は、それまでの補助的な仕事ではなく、
いくつかの顧問先(といっても個人事業主、いわゆる青色申告程度)の
決算書を組むまでをまかされ、すごいプレッシャーだった。

そうでなくとも手が遅く、頭の融通がきかない私。
毎晩遅くまで居残り、土日の出所、泣きそうになっていた。

その事務所には看板先生のほか、
男の人が二人、女の人が新米の私を含めて三人いた。

男の一人は40ぐらいのおっさんで、
一見、場外馬券売り場などにたむろしてそうな感じの人。
仕事は出来るが、悪い冗談を言う名人だった。

「そんなペースで(申告が)間にあうのか」
カタブツで、そのくせ譲らない頑固者のマイペースな私は、
その都度、顔を真っ赤にして、「大丈夫ですッ」と言い返した。

…ほんとは、ちっとも大丈夫じゃなかった。
任された仕事は何としても最後までしたかったのだ。

次々と組まれたものが提出される。
ふだんは穏やかな好々爺のような(その実、恐い)先生にも
ついに、仕事が遅い、と、みんなの前で叱咤された。
確定が終わるまでは、みんな神経がピリピリしている。

その週の日曜日、仕事をしに事務所に行った。
その頃はオルガンほどもある馬鹿でかい会計専用の端末機で
データ入力などをしていた。
デスクトップのような大きなワープロ端末がきたのもその頃だ。

事務所には誰も来ていなかった。
ひとりでぽつねんと仕事を始めていたら、昼近くになっておっさんがきた。

みんなより仕事の遅れている自分が情けなくて、
目も合わさず、小さな声で挨拶した。

返事はなかった。
おっさんは少し離れた席で、仕事前の日課のごとく、
ショートホープの煙をたゆらせ、
スポーツ新聞に目を通しているようだった。

嫌な沈黙の中での仕事。それから少したった頃。

「出来るな。…ケツは拭いたる」

おっさんの笑わない顔が、そこにあった。
よこせ、とは、言わなかった。
私は黙って頭を下げた。返事をしたら、たぶん泣いていた。

それが、私の3月15日にまつわる「ケツ」の思い出。

もう一人の男性は「おっさん」とは好対照なマジメな青年。
親身になってアドバイスしたり、なぐさめてくれたりしたけれど、
たくさんの優しい言葉より、手助けより、
おっさんの「ケツ」のひとことの方が、すごく嬉しかった。

結局、情けない私は土壇場になって、
「どこまで組んでる?」
と、言葉通り、ケツを拭いてもらったんだけど…。

おっさんの年になった今、
格好だけじゃ言えない、言葉の重み、責任…よく分かる。

ちょっと言ってみようかな。

「ケツ、…お、お尻、拭いてあげる」変態じゃ〜〜!

ま、子ども達のお尻はさんざん拭いてきたけれど。
くさーい話で、ども、すんまへん。


Sako