2024年12月01日(日) |
ゆきてかへらぬ、くすぶりの狂騒曲、アプレンティス ドナルド・トランプの創り方 |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※ ※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『ゆきてかへらぬ』 大正期の詩人中原中也とその愛人で駆け出し女優だった長谷 川泰子、それに文芸評論家小林秀雄の関係を、2023年10月紹 介『ツィゴイネルワイゼン』などの田中陽造が脚色、2007年 5月紹介『サイドカーに犬』などの根岸吉太郎監督で映画化 した作品。 物語の始りは京都。古い家並みが続くその町で17歳の詩人と 20歳の女優が出遭う。やがて2人は東京へ旅立ち、東京では 詩人の才能を高く評価する評論家が2人を迎える。こうして 東京での3人の暮らしが始まるが…。 やがて3人の関係が縺れ始める。そしてそれは夭逝した詩人 の生涯に繋がって行く。そんな物語が、街並みを再現する大 掛かりなセットと、丁寧に演出された京都、東京の風情と共 に描かれて行く。 出演は2023年8月紹介『キリエのうた』などの広瀬すずと、 Netflix シリーズ『忍びの家』などの木戸大聖、2012年7月 紹介『ひみつのアッコちゃん』などの岡田将生。他に田中俊 介、トータス松本、瀧内公美、草刈民代、カトウシンスケ、 藤間爽子、柄本佑らが脇を固めている。 また音楽を2008年8月紹介『レッド・クリフ』などの岩城太 郎が担当。さらに撮影を儀間眞悟、照明を長田達也、美術を 原田満生と寒河江陽子、衣裳デザインを大塚満など、錚々た るメムバーがこの映画と若いキャストを支えている。 中原中也の自由詩に関しては、70年安保世代の自分としては 当時に話題にした記憶もあるが、それは混沌とした時代に生 きる現代の若者にも通じるところがあるかな。そんな気持ち にもなる作品だった。 結局は三角関係の愛憎物語なのだけれど、その頂点は女優な のか詩人なのか、しかもその結末が予想外の展開になって行 く。そんな不思議な物語が、見事に再現された大正期の風景 と共に描かれる。 正しく映画と言う感じの作品だった。それにしても1950年生 まれの根岸監督は70歳を超えているが、1990年代生まれの若 い俳優たちを相手によくぞこれを作り上げたという感じもし た。 公開は2025年2月21日より、東京地区はTOHOシネマズ日比谷 他にて全国ロードショウとなる。 なおこの紹介文は、配給会社キノフィルムズの招待で試写を 観て投稿するものです。
『くすぶりの狂騒曲』 2014年に開場した「大宮ラクーンよしもと劇場」を背景に、 そこに送り込まれた芸人たち「大宮セブン」の活動を、吉本 興業も製作に加えて描いた実話に基づくドラマ作品。 現在の「大宮セブン」には「マヂカルラブリー」「すゑひろ がりず」「ジェラードン」などもいて、それなりの人気はあ るようだ。そんな中で主人公の「タモンズ」は最初期からの メムバーとされる。 しかしその発足時には観客0の日も頻繁にあり、会社からは 非難や悪口を浴びせられ、とても順調な活動ではなかった。 しかもそこにコロナ禍が襲い掛かる。そのため収入は激減、 主人公らはアルバイトを続けながらの活動となる。 そんな中から「すゑひろがりず」がM−1グランプリ決勝進 出を果たし、さらにR−1グランプリで野田クリスタルが優 勝、「マヂカルラブリー」がM−1グランプリで優勝など結 果が出始める。 しかし最初期からのメムバーの「タモンズ」には飛躍の切っ 掛けが掴めなかった。それでも藻掻き続ける彼らの姿が描か れる。 出演は2023年4月紹介『オレンジ・ランプ』などの和田正人 と、2012年3月などで紹介『サイタマノラッパー』の駒根木 隆介。他に2022年10月紹介『I AM JAM』では脚本、監督、主 演を務めた辻凪子。 さらに2023年4月紹介『渇水』に出演の永瀬未留、徳井義実 (チュートリアル)、2019年8月紹介『生理ちゃん』などの岡 田義徳らが脇を固めている。監督は立川晋輔、脚本は中村元 樹が担当した。 作品は「大宮セブン」の面々が総登場のものだが本人は出演 せず、全て俳優が演じているという仕掛け。それが「マヂカ ルラブリー」や「すゑひろがりず」など結構似ていて、「タ モンズ」の2人も宣材写真などを見ると似ているものだ。 ただ最近は前回紹介の『死に損なった男』などこの手のお笑 い芸人の話を多く見掛けるが、それぞれ映画の中でちゃんと 芸を披露してくれていたもの。それが本作ではドラマに集中 しているものだが、それは多少物足りないかな。 そのドラマも売れない芸人の話など今時どこででも聞かれる もので…。せっかく吉本興業が製作するなら、せめて主人公 の2人だけでも、もっとしっかりとしたお笑いを見せて欲し かった。 公開は12月13日より、東京地区は新宿バルト9、イオンシネ マ他にて全国ロードショウとなる。 なおこの紹介文は、配給会社イオンエンターテインメント、 吉本興業の招待で試写を観て投稿するものです。
『アプレンティス ドナルド・トランプの創り方』 “The Apprentice” 2023年2月紹介『聖地には蜘蛛が巣を張る』などのアリ・ア ッバシ監督が、政治ジャーナリストのガブリエル・シャーマ ン執筆による脚本を映画化。次期大統領が全米での上映阻止 を画策したとされる作品。 時代は1970年代の初め。大学を出て父親の不動産業を継ぐこ とになったドナルド・トランプは、政財界の大物が集まる高 級クラブの最年少会員となり、そこで辣腕弁護士ロイ・コー ンと出会う。 そして弁護士に気に入られたトランプは、立ち居振る舞いや 政財界で生き残るための様々な手立てを伝授されて行く。一 方そのクラブでは将来の伴侶となるイヴァンナとの出会いも 果たすことになるが…。 出演は2023年12月紹介『ダム・マネー』などのセバスチャン ・スタンと、2013年1月紹介『ゼロ・ダーク・サーティ』な どのジェレミー・ストロング。さらに2007年4月紹介『ボラ ット』の続編に出たというマリア・バカローヴァ。 それに1990年代から活動を開始し、1996年にはジェーン・カ ンピオン監督作品で全米批評家協会賞を受賞した2004年6月 紹介『16歳の合衆国』などのベテラン、マーティン・ドノヴ ァンらが脇を固めている。 映画は政治問題化するような内容のものではないが、個人的 にはかなり恥ずかしいかな。だからと言って公的に上映阻止 を出来るようなものではない。単にトランプの横暴というレ ヴェルの問題で、それは傍目には笑えたものだ。 そんな作品だがこの映画を観ていて気になったことが一点、 映画の後半に差し掛かった辺りのパーティの場面で、トラン プが「アキオサン」と呼びかけてその人物に近付いて行こう とするシーンがあった。 このシーンでアキオサン自身は写らないのだが、はて?これ は誰だろうということだ。ここで僕が思い付くのはソニーの 盛田昭雄氏。この当時はSONY of America の立ち上げ時期で 盛田氏はアメリカで陣頭指揮を執っていた。 つまりこの時点で盛田氏はトランプとファーストネームで呼 び合うほどの仲だった訳で、その後のソニーのアメリカでの 躍進の基礎が築かれた切っ掛けが判る中々のシーンだったの かもしれない。 日本人としてはそんなことも気になる作品だった。 公開は2025年1月17日より全国ロードショウとなる。 なおこの紹介文は、配給会社キノフィルムズの招待で試写を 観て投稿するものです。
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