2024年09月08日(日) |
ぴっぱらん!!、チネチッタで会いましょう、海の沈黙 |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※ ※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『ぴっぱらん!! 비바람』 2009年9月紹介『ゼロ年代全景』など出演の俳優で、2022年 『北風アウトサイダー』にて監督デビューしている崔哲浩が 再度自らの出自に絡む物語を描いた作品。 監督自らが演じる主人公の要は祖父が創設した百鬼組の若き 組長。要は兄の峻、弟の湊と共に中学時代から百鬼三兄弟と 怖れられる存在だった。しかし祖父がヤクザの抗争で惨殺さ れ、復讐に向かった兄は返り討ちに遭ってしまう。 こんな経緯で組を引き継いだ要は、関東のヤクザ連合の一員 となって組を守ってきたが、祖父の遺志を継いで薬物には手 を出さないと誓ってきた要の方針が連合内に確執を呼び始め る。そこには政治家も絡んでいた。 出演は崔監督の他に、山口祥行、福士誠治がトリプル主演。 他に森本のぶ、中野マサアキ、許秀哲、上松大輔、玉木惣一 郎、新宮里奈、櫂作真帆、遠藤綱幸、幸将司、植松洋、ムン ス、奈良坂篤、原元太仁、マコト、玉木順一郎、深見亮介、 上久保慶子、夏井世以子、有希九美。 さらに並樹史朗、丈、趙博、西原亜希、木ノ本嶺浩、西田聖 志郎、永倉大輔、金守珍、津田寛治、渡辺哲、三浦浩一ら、 この手の作品では錚々たる顔ぶれが並んでいる。 自分が団塊世代の人間としては、パチンコ屋が韓国人という のは自明のことだったし、正直、実家の隣家はそういう方の 家でその家のお祖母ちゃんが作るキムチが美味しかったこと はよく覚えている。 従ってこの物語は有り得るだろうなという感覚は持っている ところだ。とは言うものの、映画の始めの方では朝鮮人同士 の繋がりみたいなものが標榜されるが、後半になるに連れて それが希薄になってしまうのは残念かな。 でもまあそんなこと関係なしの激しい抗争が描写されるもの で、その辺が好きな人にはたまらない作品と言うところなの だろう。そこに前回紹介の『対外秘』のような陰湿さがない ところは、監督らしさと言える。 後は映画の中で旭日旗が出て来たり、皇軍の軍歌が堂々と歌 われるのは監督の考え方なのかな。これでは韓国での上映は 難しくなってしまう感じもするが、敢えてそこを描くのも監 督の意気と感じた。 公開は11月1日より、東京地区はテアトル新宿、アップリン ク吉祥寺他にて全国順次ロードショウとなる。 なおこの紹介文は、配給会社渋谷プロダクションの招待で試 写を観て投稿するものです。
『チネチッタで会いましょう』“Il sol dell'avvenire” 2001年12月紹介『息子の部屋』でカンヌ国際映画祭の最優秀 作品賞(パルムドール)を受賞したナンニ・モレッティ監督に よる2023年の最新作。 物語の舞台はイタリア映画の中心地チネチッタ。世界最大級 ともされるそのスタジオで、1人の監督が新作の準備を進め ている。監督はそこまで5年おきに新作を発表していたが、 彼の頭の中にはアイデアが溢れ返っているそうだ。 そんな監督の傍にはプロデューサーでもある妻がいて、音楽 家の娘も彼の作品の作曲を手掛けるまでになっている。つま り彼の今までの監督人生は、順風満帆を絵にかいたようなも のだった。 ところが今回は、妻が売り出し中の若手監督のプロデュース も手掛けることになり、それが徐々に彼の作品に影を落とし 始める。しかも娘にも問題が発生し、遂には妻から離婚の話 まで飛び出してしまう。果たして彼の運命は…。 出演は、主人公を監督自身が演じる他に、監督の作品には常 連のマルゲリータ・ブイ、15年ぶりに登場のシルビオ・オル ランド、チェコスロヴァキア出身のバルボラ・ボブローバ、 さらにフランスからマチュー・アマルリックらが脇を固めて いる。 劇中で監督が撮っている作品は、1956年のイタリア共産党の 話。その伝で共産国ハンガリーのサーカス団を招請するが、 比較的自由が認められていた国家にソ連軍が侵攻し、母国を 愛する団員たちがモスクワへの抗議を開始してしまう。 この事態に板挟みになったイタリア共産党の苦悩を描く政治 的な物語のはずだったが…。出演するゾウの手配が上手く行 かなかったり、女優は勝手に恋愛沙汰を持ち込んだり、そこ に家庭内の問題も生じてしまうというものだ。 ここでこのハンガリーのサーカス団の話に何となく聞き覚え があって、そこは多分実話に基づいていると思うのだが、そ の原典が見つからなかった。でもそこを乗り越える主人公の 姿に映画を感じたものだ。 そしてその撮影がチネチッタで行われていて、そのステージ やバックステージが丁寧に描かれているのも素敵な作品だ。 因にモレッティ監督は2001年以降は5年おきに新作を発表し てきたが、本作は前作から3年目。これも面白い。 公開は11月22日より、東京地区はヒューマントラストシネマ 有楽町、新宿武蔵野館、アップリンク吉祥寺他にて全国順次 ロードショウとなる。 なおこの紹介文は、配給会社チャイルド・フィルムの招待で 試写を観て投稿するものです。
『海の沈黙』 テレビで『北の国から』や『やすらぎの郷』を手掛け、映画 でも1982年『駅/STATION』で日本アカデミー賞脚本賞を受賞 している脚本家・倉本聰が、1988年『海へ See you』以来の 映画脚本を手掛けた作品。 発端は権威のありそうな美術館での展覧会。そこで文科大臣 と共に作品を観ていた老画家が、自作と記された油絵の前で 足を止める。その絵は自分の代表作とされるものだが、そこ に飾られていたのは自分の筆のものではなかった。 そしてその場は黙ってやり過ごした老画家だったが、後日に 記者会見でその事実を暴露。そして関係者が自死する事態に 発展する。その状況に美術鑑定士などが動き出すが、老画家 の妻にはある確信があった。 出演は倉本聰作品には初挑戦という本木雅弘。他に小泉今日 子、清水美砂、仲村トオル、菅野恵、石坂浩二、萩原聖人、 村田雄浩、佐野史郎、田中健、三船美佳、津嘉山正種、中井 貴一。 監督は、2019年12月紹介『Fukushima 50』などの若松節朗が 務めている。 折しも徳島県の美術館などで西洋絵画の贋作問題が世間を騒 がしているところだが、元作者が亡くなっている場合はまだ しも、作者が存命中というのはかなり大胆な話になる。そし てそこにザ・人間ドラマが展開されるという作品だ。 それは骨太とかいうものではなくて、決してあるはずはない と思いながらもそのドラマに引き摺り込まれる。正に人間ド ラマの極致という感じの作品になっていた。いやはやこれが 匠の技なのだろう。 しかも物語のキーで大きなドラマがあったはずの過去の事件 は、台詞としては語られるが詳細は削除され、逆に現在進行 形のサブストーリーが巧みに物語を彩る。そんな展開にも酔 わされる感じがした。 そして最後の謎解きまで、見事に鼻づらを掴まれて引きずり 回されるような感覚の作品だった。 さらにそれを支える俳優陣。チャラチャラしたアイドル俳優 にはない、しっかりした演技がザ・人間ドラマをスクリーン に焼き付けてくれる。特に中井は、一方で『嘘八百』シリー ズを持ちながらの出演には興味を引かれた。 公開は11月22日より、全国ロードショウとなる。 なおこの紹介文は、配給会社ハピネットファントム・スタジ オの招待で試写を観て投稿するものです。
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