2024年07月14日(日) |
ジョイランドわたしの願い |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※ ※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『ジョイランドわたしの願い』“جوائے لینڈ” 2014年に史上最年少でノーベル平和賞を受賞したマララ・ユ スフザイと、2022年4月紹介『FLEEフリー』を手掛けたリズ ・アーメッドが製作総指揮を務め、2022年の第75回カンヌ国 際映画祭「ある視点」部門で審査員賞を受賞したパキスタン 映画。 登場するのはパキスタン第2の都市とされる古都ラホールに 暮らす家族8人の一家。その構成は家長として家族のすべて を取り仕切る父親、長男夫妻とその娘3人、そして子供のい ない次男夫妻というものだ。 そんな一家で長男の妻はインテリアデザイナーの資格を持つ が現在は家に入り、資格を活かしていない。一方、次男の妻 はメイクアップアーティストとして実力をつけており、無職 の次男に替わってお金を稼いでいる。 しかし家長の父親から次男には「早く仕事を見つけて妻を家 に入れ、子どもを作れ!」との厳命が下されている。そして 次男は知人から仕事を紹介されるが、それは町の劇場に立つ トランスジェンダー歌手のバックダンサーだった。 そんな劇場の仕事に家族は反対だったが、仕事を得たという 事実に変わりはなく、徐々に家族の生活に変化が訪れる。し かしそれが悲劇を生むことになる。 脚本と監督はラホール出身でTVドキュメンタリーや短編映 画を手掛け、各地の映画祭での受賞歴もあるサーイム・サー ディク。長編デビューとなる本作は監督が成長と共に長く育 んできたもので、自身の自伝的な要素もあるそうだ。 出演は、舞台演劇の出身で本作が映画デビューとなるアリ・ ジュネージョー。監督とは大学在学中からの知遇で本作が長 編映画デビューのラステュ・ファルーク。監督の短編作品の 主演をオーディションで勝ち取ったアリーナ・ハーン。 さらにパキスタンで「もっとも責任感のあるセレブリティ」 と称されるサルワット・ギラーニ。モデル出身で多くのTV シリーズに出演のソハイル・ハミール。 またロジャー・ムーア主演のTVシリーズ『セイント 天国 野郎』などにも出演のパキスタン系英人俳優のサルーマン・ ピアザダ。多くの演劇、テレビ、映画で主演を務めるサニア ・サイードらが脇を固めている。 家父長制というのは近代社会では禁忌とも言えるものだが、 それが根強く残っていることも事実だろう。本作ではさらに そこにトランスジェンダーを持ち込んで話を複雑にしている が、これらはある意味問題の表裏とも言えるものだ。 ただし映画ではそこに解決策が提示される訳ではなく、ただ 現実の姿としてそれが描かれる。そして最後にただ一か所の フラッシュバックで描かれるシーンがそれを際立たせる。そ の構成も巧みな作品だった。 なお本作はパキスタンでは一旦は上映禁止となったが、製作 総指揮者2人の支援でその禁は解かれたとのこと。しかし監 督の出身地ラホールではいまだに禁止のままだそうだ。何も 解決できない悲しみ。それが現実なのだろう。 公開は10月18日より、東京地区は新宿武蔵野館、ヒューマン トラストシネマ渋谷他にて全国順次ロードショウとなる。 なおこの紹介文は、配給会社セテラ・インターナショナルの 招待で試写を観て投稿するものです。
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