井口健二のOn the Production
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2024年06月30日(日) モンキーマン、run for money 逃走中 THE MOVIE

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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
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『モンキーマン』“Monkey Man”
2009年1月紹介『スラムドッグ$ミリオネア』で一躍人気者
になったインド系英国人俳優デヴ・パテルが、子供の頃から
考えていたというインドの伝説に基づく原案で、主演も兼て
監督デビューを飾った作品。
主人公は猿のマスクを被り、キッドと呼ばれる悪役格闘家。
勝負の前半はリードするが最後は負けるのがお決まりの演出
だ。そんな男にはある心に秘めた決意があった。それは幼く
して母を失ったことへの復讐だ。
その目的のため男は、政財界の大物や警察、宗教家も絡む闇
の社会へと潜り込んで行く。そこは麻薬に女、そして暴力が
渦巻く禁断の世界だった。そんな世界で男は、格闘技の技を
武器にのし上がって行くが…。

共演はシャールト・コプリー、ピトバッシュ、ヴィピン・シ
ャルマ、シカンダル・ケール、アディティ・カルクンテ、ソ
ビタ・ドゥリパラ、アシュウィニー・カルセカル、マカラン
ド・デシュパンデ。馴染みのない名前が並ぶが、個性的な俳
優たちだ。
他にも抑圧された階層の俳優など、かなり意識を持った配役
もなされているようだ。
脚本はパテルとコメディ映画監督のポール・アグナウェラ、
それにパテル主演の2019年7月紹介『ホテル・ムンバイ』で
は脚本・監督のジョン・コリー。
製作にはパテルと『ホテル・ムンバイ』などのジョーモン・
トーマス、さらに2017年8月紹介『ゲット・アウト』などの
ジョーダン・ピールらが当たっている。
物語の舞台はインドの架空の都市だが、その景観はCGIで
構築されており、その技術力はさすがIT大国インドの面目
躍如という感じになっている。そのリアルさはインドのどこ
にこんな大都市があるのかと思ったくらいのものだ。
その一方で実写撮影は主にインドネシアで行われたとのこと
で、そこには2012年8月紹介『ザ・レイド』に参加したスタ
ッフも多く参集したとのこと。映画の後半はさもありなんと
いう展開にもなる。
しかもそれが『ザ・レイド』を上回ると言えるような強烈な
武闘劇で、いやはやこれが『スラムドッグ…』の純真な少年
なのかと思わせるくらいのもの。でもその背景には、インド
の伝統や現代社会の歪みなども描かれた作品だ。

これは見事と言える作品になっていた。
公開は8月23日より、東京地区はTOHOシネマズ日比谷他にて
全国ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社パルコ ユニバーサルの招待で
試写を観て投稿するものです。

『run for money 逃走中 THE MOVIE』
フジテレビ系列で2004年から放送されているヴァラエティ番
組の映画版。ただし番組そのものをドキュメンタリーで映像
化したのではなく、その内容から想起されたドラマ作品だ。
登場するのは、高校時代にはインターハイを目指していた元
陸上部員6名。しかし卒業後の進路はバラバラになっていた
ようだ。そんな6人に「逃走中」参加決定のメールが届き、
脚力に自信がある6人は参加することになるが…。
そして競技の当日、都内3か所に定められたスタート地点に
は様々な人たちが集まってくる。そこで久しぶりに再会した
6人は旧交を温め合うが、高額賞金が得られる競技の参加に
は家庭の事情などいろいろな思惑があった。
それでも定刻に始まった「逃走中」では、6人は脚力を駆使
して次々にハンターをかわして行くが、突然そのハンターの
様子がおかしくなる。果たしてゲームの裏で何が起きている
のか、やがてそれは命を賭けた勝負になって行く。

出演は、吉本興業のアイドルグループJO1の川西拓実、木
全翔也、金城碧海と、FANTASTICS from EXILE TRIBE の中島
颯太、瀬口黎弥、佐藤大樹。他に田鍋梨々花、川原瑛都、岡
宏明、長井短。
さらに内田慈、笠原秀幸、本多力、松平健。そしてお笑い芸
人のダイアン津田篤宏、錦鯉長谷川雅紀、安田大サーカスク
ロちゃん、とろサーモン久保田かずのぶ、三四郎小宮浩信、
HIKAKINらが脇を固めている。
この他にも大久保嘉人、ハリー杉山、景井ひな、大島麻衣、
横山涼、ガチャピン、ぐんまちゃん、出世大名家康くんらの
ゲスト出演もあるものだ。
監督はTVドラマ『電車男』などを手掛け、2018年『劇場版
コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命』で劇場用映画監督
デビューした西浦正記の劇場用第2作。
脚本は、2018年10月7日付題名紹介『家族のはなし』などの
青塚美穂。音楽をテレビ番組を多く手掛ける得田真裕が担当
している。
試写状を貰った時に一体どのような映画になるのか大変興味
が湧いた。それは例えば2600年代が時代背景とされる主催者
クロノス社の設定を描いても良いし、逆に番組の舞台裏をド
キュメンタリーで描くのもありそうだ。
しかし映画化されたのはゲームの参加者を主人公にしたドラ
マ。しかもその主人公が一般人というものだった。確かに最
近の番組では一般視聴者の参加もありなのかもしれないが、
そこはやはり芸人や所謂タレントの方が面白い。
そこにお涙もののドラマも挿入されるのだが、青春や友情な
んて後期高齢者の自分としてはやっぱり青臭さを感じてしま
うのだ。JO1とFANTASTICSの共演で若い人たちをどこまで
引っ張ってこれるのか? その辺が興味深い作品だった。

公開は7月19日より、全国ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社東映の招待で試写を観て投稿す
るものです。


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井口健二