井口健二のOn the Production
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2024年05月19日(日) HOW TO HAVE SEX、デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション後章、フォールガイ

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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
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『HOW TO HAVE SEX』“How to Have Sex”
2023年サンダンス映画祭の受賞作や数多の大物アーティスト
のPVなどにも関ってきた撮影監督モーリー・マニング・ウ
ォーカーの長編監督デビュー作で、2023年カンヌ国際映画祭
「ある視点」部門での受賞など世界19冠に輝いている作品。
登場するのはイギリスからギリシャ・クレタ島のリゾート地
にやってきた3人の10代の女性。高校を卒業し、大学進学ま
でのひと時を楽しもうという旅行だが、そこにはある目的も
潜んでいるようだ。
そんな若い女性たちは酒やたばこに耽り、ホテルで隣り部屋
の若者との交流や、夜な夜な開かれるパーティやクラブに潜
り込んで青春を謳歌して行くが…。そんな仲間の1人に夜の
浜辺でのアバンチュールの時が訪れる。

出演は2009年11月紹介『フォース・カインド』でミラ・ジョ
ヴォヴィッチが演じた主人公の娘役だったミア・マッケンナ
=ブルースと、2017年10月紹介『パーティで女の子に話しか
けるには』に出ていたというララ・ピーク。
他にテレビシリーズや配信映画に多く出演のサミュエル・ポ
トムリー、本作で英国インディペンデント映画賞助演俳優賞
受賞のショーン・トーマス。さらにオーディションで抜擢の
エンヴァ・ルイス、TikTokerのラウラ・アンブラーらが脇を
固めている。
物語は脚本も執筆したウォーカー監督の実体験にも基づいて
いるそうだが、日本でも一時期は伊豆諸島での若者の生態が
問題になっていたから世界中変わらないのかな。それがロン
ドンからクレタ島というのはスケールが違うが。
そんな眼で観ていて物語に新しさはあまり感じなかったが、
ただ今までは主人公が女性でも脚本家や監督など男性目線で
の映画作りというのはあったもので、その点が女性監督とい
う作品では新鮮さは感じられたのかもしれない。
とは言っても男性の自分にはなかなか判断が難しいところで
はあって、これに賛成しても反対しても文句は付きそうだ。
でもまあこういう作品を作れる監督が登場してきたことには
称賛を贈りたい作品ではあった。

公開は7月19日より、東京地区はヒューマントラストシネマ
渋谷、シネ・リーブル池袋、シネマート新宿、アップリンク
吉祥寺他にて全国ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社カルチュア・パブリッシャーズ
の招待で試写を観て投稿するものです。

『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション後章』
3月10日に紹介した『前章』に続く作品。
『後章』では主人公たちが大学生になってからの物語が展開
される。とは言っても、主人公らはオカルト研究会に入って
フィールドワークと称して合宿に出掛けたり、東京上空に浮
かぶUFOとの関りは殆んどないまま進行するのだが…。
一方、UFOの内部ではトラブルが起きてそれで地上に現れ
た異星人に迫害や虐殺が行われたりもする。因に後章では過
激な描写で鑑賞年齢に制限が掛る可能性もあるようだ。それ
でも主人公らには関りの無いところで事件は起きて行く。
そんな描写が次々に挿入されて事件の全容は観客には知らさ
れて行く仕組みだ。それにしてもこの描き方は、正にリアル
に有りそうで、ひょっとするとUFOは無いけど今も何かが
起こっているかもしれない、そんな恐怖にも駆られた。
「前章」の東日本大震災に続いて「後章」では、国民の移動
の制限などCOVID-19禍での社会情勢が暗示されているようで
もある。いやはや参りましたという感じで、とにかく観て恐
ろしさを感じ取って欲しい作品だった。

なお声優では、前作からの幾田りらとあのに加えて新たに竹
中直人が登場しているが、その他のスタッフ・キャストの顔
ぶれは「前章」と同様なので、3月10日付の記事を参照して
ください。
とは言うものの、本作は単一の作品としてはどうなのかな。
それは原作の読者には了解済みかもしれない展開が、本作の
単体ではかなり端折られている感じで、全体の物語が把握し
にくい感じがした。
でもまあ最近の日本のアニメにはこんな作品も多いようだか
らこれでいいのかな。ただ僕自身がSF映画ファンとしての
個人的な感想では異星人の侵略の事情とか、彼らの来歴みた
いなものはもっと詳しく描いて欲しかったかな。
その辺りで描かれる個々のエピソードにはかなり深いものも
あったような気もしたし、SF映画ファン的にはそんなもの
をじっくり観たかったものだ。前章・後章がそれぞれ2時間
ずつの作品だが、もっと長くても良い気がした。
前回も書いたけど、作品の世界観には圧倒される作品で、日
本アニメの実力を目の当たりにする感じの作品だった。

「後章」の公開は5月24日より、全国ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社ギャガの招待で試写を観て投稿
するものです。

『フォールガイ』“The Fall Guy”
アメリカでは1981年から86年まで5シーズン放送された人気
TVシリーズを、2017年10月紹介『ブレードランナー2049』
などのライアン・ゴズリングが主演と製作総指揮も兼ねて映
画化した作品。
主人公は映画の撮影で危険なシーンのアクションを俳優に替
わって演じるスタントマン。しかしとある撮影で落下のスタ
ントに失敗。骨折と共に彼のプライドも砕けてしまう。その
ため彼はスタントマンの仕事から身を引くことを決意、気鋭
の女性カメラマンで共に夢を語り合ってきた恋人の前からも
姿を消してしまう。
それから18か月後、身体の傷は癒えたものの心の傷は治らな
いままレストランの駐車係として働いていた彼は、店に来た
俳優に見つかってしまう。それでも映画界への復帰は固辞す
る主人公だったが…。数日後、以前に付き合いのあったプロ
デューサーから1本の電話が架かる。
それは彼の元カノが監督デビューを果たすSF映画の撮影で
どうしても彼のスタントが必要だから、オーストラリアの撮
影地まで来てくれというものだった。この要請には否応なく
承知した主人公は、シドニーのオペラハウス前の撮影現場で
元カノとの再会を果たすが、その陰では映画界を揺るがす陰
謀が進められていた。

共演は、2018年8月12日付題名紹介『クワイエット・プレイ
ス』などのエミリー・ブラント。2019年6月紹介『アス』な
どのウィンストン・デューク。2010年10月紹介『キック★ア
ス』などのアーロン・テイラー=ジョンスン。
他にハナ・ワディンガム、テリーサ・パーマー、ステファニ
ー・スーらが脇を固めている。
監督は2023年6月紹介作など『ジョン・ウィック』シリーズ
では製作総指揮を務め、2017年8月27日付題名紹介『アトミ
ック・ブロンド』で監督にも進出したデヴィッド・リーチ。
元々がスタントマン出身の人だそうで、本作にはぴったりの
人材のようだ。
オリジナルのTVシリーズは、日本では『俺たち賞金稼ぎ!!
フォール・ガイ』のタイトルでシーズン1、2までしか放送
されなかったようだが、これは日本で評価されなかったとい
うよりは、全体的に海外TVシリーズが下火になってきた時
期に重なるものだ。
ただしTVシリーズは邦題にある通り「賞金稼ぎ」だったも
のが、映画版では主人公自身が関る事件になっており、この
辺の改変がファンにどう映るかは気になるところ。でもまあ
そんなファンへの飛び切りのサプライズも用意されている。

公開は8月16日より、全国ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社東宝東和の招待で試写を観て投
稿するものです。#映画フォールガイ


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井口健二