井口健二のOn the Production
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2024年05月26日(日) カミノフデ/怪獣たちのいる島、長岡大花火 打ち上げ、開始でございます

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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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『カミノフデ/怪獣たちのいる島』
1958年『大怪獣バラン』をスタートに、1963年『マタンゴ』
や1965年『大怪獣ガメラ』などの造形を手掛け、1977年には
香港ショウブラザースが製作した『北京原人の逆襲』の造形
やスタントなども担当した村瀬継蔵が企画・総監督を務めた
特撮ファンタシー作品。
物語の主人公は怪獣の造形師を祖父に持つ少女。その祖父が
他界しその追悼イヴェントの会場に彼女はやってくる。そこ
には母親も来ているが、特撮マニアなどが興奮する会場で、
少女自身は祖父へのあまり良い感情は持っていない。
そんな会場で特撮マニアの同級生と出くわした少女は祖父の
知人と称する男性と出会い、祖父が残した企画書を渡される
と共に「神の筆」を探し出し世界を救ってくれと頼まれる。
そして同級生と共に異世界へ飛ばされる。
その異世界は祖父が残した企画書に描かれた怪獣たちのいる
島だった。そこで少女は一緒に飛ばされた同級生の力も借り
て怪獣に立ち向かうが、時間の経過と共に企画書に書かれた
内容が消失し始める。

出演は2018年12月23日付題名紹介『こどもしょくどう』など
の鈴木梨央、2018年にヒットした楽曲『パプリカ』を歌って
いたFoorinのメンバーだった楢原嵩琉。さらに釈由美子、斎
藤工、佐野史郎。
他に町田政則、馬越琢己、吉田羽花、樋口真嗣、笠井信輔ら
が脇を固めている。
脚本は2013年3月紹介『燃える仏像人間』などの中沢健。音
楽は小鷲翔太。そして主題歌の「Kaiju」をヴォーカルの吉
田美和が村瀬総監督と同郷で、作曲の中村正人が怪獣ファン
だというDREAMS COME TRUEが手掛けている。
さらにオリジナルコンセプトデザインを『仮面ライダー』な
どの高橋章。怪獣デザインを2013年以降の『ウルトラシリー
ズ』などの西川伸司。背景美術を黒澤明や大林宣彦作品を手
掛けてきた島倉二千六が担当している。
作品は総監督自身が「子たちどもが喜ぶ怪獣映画」と称して
いるもので、展開などには甘さも感じられるかな。でも今時
こんなアナログな怪獣映画を観るのも嬉ししさもあったもの
で、自分なりに満足感は得られたものだ。

公開は7月26日より、東京地区はTOHOシネマズ日比谷他にて
全国ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社ユナイテッドエンタテインメン
トの招待で試写を観て投稿するものです。


『長岡大花火 打ち上げ、開始でございます』
毎年8月2日、3日に新潟県長岡市信濃川河川敷で行われる
長岡大花火。日本三大花火とも称される打ち上げ花火大会の
模様を映画館の大画面に再現するドキュメンタリー。
映画では2020年からCOVID-19禍で中止されていた花火大会が
2022年に再開され、その翌年の2023年の模様が20台のカメラ
を駆使した多角的な映像で紹介される。しかし映画の内容は
それだけではない。
それは長岡花火を代表作とする山下清画伯の言葉に始まり、
江戸時代末期の北越戊辰戦争で焼け野が原となった郷土史や
1945年8月1日の大空襲、さらには2004年10月23日の中越大
地震など、幾多の災害から復興した人々の歴史も描く。
その一方で長岡花火を世界に知らしめた花火師・嘉瀬誠次氏
の存在や、長岡空襲の記憶を語り継ぐべく行われている子供
たちの演劇、そして打ち上げ当日の花火師やスタッフたちの
動きなど、実に多様な角度でその様子が描かれたものだ。

監督は、元テレビ新潟放送で各種のドキュメンタリーの制作
に携わってきた坂上明和。第52回ギャラクシー賞など多数の
受賞に輝いた2014年2月紹介『夢は牛のお医者さん』で制作
統括を務めていたテレビマンの初監督作品ということだ。
またナレーションを新潟県出身の佐藤栞里が務めている。
長岡大花火の歴史的な背景に関しては、中で紹介される子供
たちの演劇も含めて2012年4月紹介の大林宣彦監督作品『こ
の空の花』でも描かれていたものだが、本作ではそれをさら
に広く深く描き切った感じの作品になっている。
しかしここまでくるとさすがに盛り込み過ぎではないかとも
思えてくるが、それが実に巧みに整理されて観終わってその
全てが心に残る作品になっていた。しかもそれに加えて大迫
力の打ち上げ花火の大ヴィジュアルも登場する。
正直に言ってこのヴィジュアルを観た後にも上の印象が残っ
ているのだから、これは本当に見事な作品と言えるだろう。
ただ打ち上げ花火の映像はもっとたっぷり見たかったかな。
でもまあそれは現地に観に来いということか…。
因に上記の大林作品は上映時間2時間40分。それに対して本
作は1時間40分で、まあドラマ部分が無いからこの時間差は
理解できるが、それにしても見事な作品だった。それと子供
演劇でお母さん役だった子には注目しておきたい。

公開は6月28日より、東京地区は新宿ピカデリー他にて全国
順次ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社NAKACHIKA PICTURESの招待で試
写を観て投稿するものです。
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 なお今週はもう1作品観ているが、その作品は情報解禁が
6月5日に指定されているため、それ以降の投稿とさせてい
ただきます。


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井口健二