井口健二のOn the Production
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2024年05月05日(日) チャーリー

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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
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『チャーリー』“೭೭೭ ಚಾರ್ಲಿ−777 Charlie”
ヒンディー語、テルグ語、タミル語、マラヤーラム語に次ぐ
インドで5番目の興行規模を持つとされるカンナダ語映画。
その中で史上5番目の興行記録を打ち立て、他の各言語にも
吹き替えられて全世界で1300万米ドル以上の劇場興行収入を
記録したとされる2022年本国公開のインド映画。
最初に登場するのは1匹のラブラドルレトリバー犬。悪徳ブ
リーダーの劣悪な環境下で飼育されていたメス犬が偶然犬舎
を脱出し、懸命に走ってとある住宅地に辿り着くところから
物語は始まる。そこでメス犬はごみ箱の影に隠れて、住人が
投げ捨てる残飯を漁っていたが…。
一方、その家の住人は町工場で働く溶接工。技術は優秀で勤
勉だが、ある事情で天涯孤独の彼は他人に心を開くことはな
く、同僚からも疎んじられた存在だった。そんな彼が紆余曲
折の末にメス犬を飼うことになるが、そこからも様々なトラ
ブルが彼らを襲うことになる。
こうしてトラブルごとに絆を深めていった1人と1匹だった
が、その物語はやがて南インドからヒマラヤを目指す壮大な
ロードムーヴィへと変貌して行く。そんな物語が、『犬の生
活』から『独裁者』までの様々なチャップリン作品やその他
の名作映画に彩られて進行して行く。

脚本と監督は、2011年発表の社会派的なテレビシリーズなど
で評価をされていたキランラージ・K。社会派という名にも
恥じない本作は初の長編監督作品となる。
出演はタイトルロールのチャーリーと、1983年生まれで工科
大学を卒業。学生時代に民族舞踊のダンサーとして映画出演
歴はあるが、卒業後はソフトウェアの専門家として2年間働
いた後に俳優に転身したというラクシット・シェッティ。
共演は、カンダナ語の女優兼モデルで世界スーパーモデルコ
ンテスト準優勝などの経歴を持つサンギータ・シュリンゲー
リ。映画出演歴は2018年から上がっているが本作の撮影開始
は2017年とのことで、デビュー作かもしれない。
他に、カンナダ語映画の監督・脚本家としても知られるラー
ジ・B・シェッティ。カンダナ語のコメディアン・司会者の
ダニシュ・サイト。タミル語・テグル語俳優のボビー・シン
ハー、子役のSharvariらが脇を固めている。
自分が犬を飼っていた経験からすると、この作品は犬と人間
の関係を実に見事に描いていると言える。実際に映画の中の
主演犬の一挙手一投足が自分の飼っていた愛犬を思い出させ
てくれた。
それにしても俳優名もチャーリーと表記されたこの犬の演技
は本当に素晴らしかった。それは演技から表情まで実に巧み
で、もしかするとCGIではないかと疑いを持つほどのもの
だ。ドッグトレーナー BC Pramodの手腕も称賛したい。

公開は6月28日より、東京地区は新宿ピカデリー他にて全国
ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社インターフィルムの招待で試写
を観て投稿するものです。


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井口健二